建物の主要な部分を柱で持ち上げ、地上階を壁のない開放的な空間にする構成、またはその柱のこと。
ピロティ
ピロティとは、建物の主要な階を独立した柱で地面から持ち上げ、その下の地上階を壁のない開放的な空間にする構成、またはその柱のこと。語はフランス語で杭を意味する。
解説
ピロティを近代建築の原理として掲げたのは、ル・コルビュジエである。彼がまとめた「近代建築の五原則」の第一がピロティで、鉄筋コンクリートの柱と床で建物を支えることにより、壁を構造から解放し、自由な平面、自由な立面、横長の連続窓、屋上庭園を可能にした。地上を建物の占有から解き放ち、庭や通路として人に返すという考え方も込められていた。
その代表例が、パリ郊外ポワシーのサヴォア邸(1928〜31年)である。主階は細い柱の上に浮かび、地上階には自動車の動きに合わせた曲面のガラス壁の玄関と、車庫や使用人室が収められた。室内から見ると、ピロティは建物全体を「地面から切り離された箱」として感じさせる装置でもある。
日本では、集合住宅などで1階を柱だけの駐車場や玄関ホールにする構成も、広くピロティと呼ばれる。ただし、上階に比べて壁の少ない1階に変形が集中しやすく、1995年の阪神・淡路大震災では、ピロティ形式の建物に大きな被害が出た例が報告されている。現在の設計では、こうした弱点への対策が求められている。
高床との違い
高床は、床を地面より高く持ち上げて湿気や動物を避けるという、古くから世界各地にある建て方である。ピロティも床を持ち上げる点では似ているが、近代建築の用語としては、鉄筋コンクリートなどの柱で建物を支え、地上階を壁のない空間として開放するという、構造と空間の考え方を指して使われることが多い。
Reference
- House Three: The House on Stilts—Villa Savoye(MoMA Learning)
- https://www.moma.org/momaorg/shared/pdfs/moma_learning/docs/CL_3.pdf