概要

アディフォルムは、ロルフ・ベンツが1964年に発表したソファとアームチェアのプログラムである。ソファと2脚のアームチェア、コーヒーテーブルを向かい合わせに置く当時のドイツの居間の一式に対し、単位となる要素を足しながら住み手が配置を決められるようにした。コーナーへ回す配置と、座席の列に挟み込むテーブル要素を備える。ロルフ・ベンツが自身の会社を立ち上げた年に出した最初の製品であり、このメーカーの製品の起点にあたる。現在は生産されていない。

特徴・コンセプト

単体でも列でも成り立たせるための形

この製品の条件は、ひとつの要素が三通りの使われ方をこなすことにある。単独で置いても椅子として成立し、並べれば座面が続くベンチになり、直角に振ればコーナーになる。連結を前提にすると、要素の側面はまっすぐな面である必要がある。公式アーカイブの写真では、アームが薄く低く抑えられ、外側の面が垂直に立てられている。厚みのあるアームを持つ応接椅子は、隣り合わせても両者のあいだに隙間と段差が残るが、側面を平らな面に整えれば、並べたときに座面と背が途切れずにつながる。

テーブルを列の一部として扱う

メーカーの解説によれば、アームチェアはコーヒーテーブルを挟んで連結でき、ベンチにしたうえでコーナーのテーブルによって側面を閉じることもできる。座る要素だけを並べると、列の端部と入隅の納まりが残る。テーブルを列の構成要素として同じ高さに組み込むことで、この二か所が処理され、飲み物を置く面も同時に確保される。写真では、木の天板を持つ低い台が座面の高さに合わせて座席のあいだに挟まれている。

細い脚で量塊を床から離す

公式アーカイブの写真では、各要素は細い金属の脚に載っている。十字に開いた台座で受ける例と、角断面のフレームで箱状の座部を持ち上げる例が確認できる。座面の下に隙間が空くため、床の面が要素の下を通って見え、複数を並べても壁のような塊にならない。かさのある当時の応接一式に対して細い輪郭を対置したという説明は、後年のドイツの報道にも見られる。

張り地の面と木の面

座部は詰め物を張り地で包んだ構成で、公式アーカイブの写真では織り地が用いられている。テーブル要素の天板は木材で、列をつくると張り地の面と木の面が交互に現れる。ソファについては、引き出して寝る場所として使えるとメーカーが説明しており、座るための一式に寝るための用途が加えられている。

エピソード

ロルフ・ベンツが1959年に興した事業は、家具のフレームを供給するものだった。1964年、ナゴルトで bmp(Benz Möbel Programme)を設立して張り包み家具の生産に入り、その最初のプログラムがアディフォルムにあたる。フレームの製作と張りの技能を併せ持っていたことが、アームチェア、ベンチ、コーナー、テーブルという複数の要素からなるプログラムを最初の製品として出す下地になっていた。「Rolf Benz」の名を冠したソファのコレクションが登場するのは1974年で、アディフォルムは bmp の製品として市場に出ている。

発表当時のドイツの居間は、ソファと2脚のアームチェア、コーヒーテーブルを向かい合わせに置く一式が標準だった。ベンツ自身は2023年に当時を振り返り、テレビが家庭に入ってきたことで従来の家具が居間に合わなくなり、限られた面積を有効に使いながら快適さを高めることが求められるようになったと述べている。固定された組み合わせではなく、部屋の形や住み手の使い方に合わせて要素を足していける構成が、その答えとして置かれた。メーカーの解説はアームチェアを「加える(addiert)」ことができると説明しており、名称もこの加算的な構成に対応している。

アディフォルムから生まれたL字の配置は「ベンツ・エッケ(ベンツのコーナー)」と呼ばれるようになり、この呼称はロルフ・ベンツ本人を指す言い方としてドイツの報道で使われ続けた。

評価と影響

一般に、要素を足していける最初の可変式プログラムとして、その後のドイツの住まい方に影響を与えた製品と評価されている。メーカー自身も、VIDA や ONDA といった後年のモジュール式プログラムをこのプログラムの延長として説明している。

創業50周年の Rolf Benz 50(2014年)と、60周年の SINA(2024年)は、いずれもアディフォルムを参照した製品として発表された。どちらも当時の設計をそのまま復刻したものではなく、要素を組み合わせて配置をつくるという考え方を引き継いだ新しい設計である。

基本情報

名称 アディフォルム / Addiform
デザイナー ロルフ・ベンツ(Rolf Benz)
ブランド ロルフ・ベンツ(Rolf Benz)/発表時の社名は bmp(Benz Möbel Programme)
発表年 1964年
デザインの成立国 ドイツ
分類 ソファ(組み合わせ式)
構成 アームチェア、ベンチ、コーナー配置、テーブル要素
主要素材 張り包みの座部、木の天板を持つテーブル要素、金属の脚(公式アーカイブの写真による)
機能 ソファは引き出して寝る場所として使える
生産 現行のラインアップには含まれない

Reference