ROLF BENZ ロルフ・ベンツ

ROLF BENZ(ロルフ・ベンツ)は、1964年にドイツ南西部の「黒い森」地域ナーゴルト市で創業した、ドイツを代表する高級家具ブランドです。創業者である椅子職人ロルフ・ベンツは、約35名の従業員とともに家具づくりを始め、世界で初めてコーナーソファを発表したことで注目を集めました。応接用品であったソファを、リビングでくつろぐための家具へと再定義したのです。以来60年以上にわたり、インターナショナルでタイムレスなデザイン、座り心地、そして「Made in Germany」の品質をテーマに、50カ国以上に製品を提供し続けています。

ブランドの哲学と特徴

ロルフ・ベンツのブランド哲学は、「デザイン」「快適性」「品質」という三つの要素のバランスに集約されます。これらの価値は創業時から受け継がれ、すべての製品に通底しています。

同社のデザイン思想で特徴的なのは、ソファは部屋を支配する存在ではなく、そこに暮らす人々のためのものであるという信念です。家族や友人とともに快適に過ごし、リラックスできる空間を生み出すこと――この考え方が製品開発の根底にあります。

座り心地へのこだわり

ロルフ・ベンツの評価を支えてきたのが、「ロルフ・ベンツ・シッティングテイスト」と呼ばれる座り心地です。硬さの異なる高密度ウレタンフォームを層状に重ねる独自の多層クッション構造により、長時間の着座でも身体を支えます。

人間工学に基づく設計で、姿勢よく座る場合もくつろぐ場合も適切なサポートを提供します。すべてのソファはドイツの自社工場で熟練職人の手作業により製作されています。

「Made in Germany」の品質

ロルフ・ベンツは、厳しい品質管理のもとで選んだ素材のみを使用し、ドイツの工業規格を遵守したうえで、自社ではさらに高い基準を設定して品質を維持しています。製造は黒い森地方の自社工場で一貫して行われ、2020年には家具分野で初めて公的に認められた地理的表示「Möbel Made in Germany(家具・メイドインジャーマニー)」の認証を、いち早く取得しました。

張りぐるみ家具は、家庭用途だけでなく公共空間でも使用できる耐久性を備えています。

ブランドヒストリー

創業期(1960年代)

テレビが一般家庭に普及し、リビングルームが家族の憩いの場として新たな意味を持ち始めた時代。この変化をとらえた椅子職人ロルフ・ベンツは、1964年、約35名の従業員とともにナーゴルトで会社を創業しました。

創業と同時に発表したモジュラー式ソファシステム「Addiform(アディフォルム)」は、世界初のコーナーソファとして注目を集めました。部屋の形状に沿って自由に組み合わせられるこのソファは、従来の応接セットの概念を一新し、テレビを囲んで家族が団らんする新しいライフスタイルを提案。大きな成功を収め、ロルフ・ベンツの名を広めました。

革新的なソファで急成長を遂げた同社は、1974年にナーゴルト近郊のメッツィンゲンに第二工場を設けました。

成長期(1980-1990年代)

1980年代に入ると、インテリアを自らのライフスタイルの象徴ととらえる意識が高まり、ロルフ・ベンツの高級家具が注目を集めます。1985年には、デザイナーのマティアス・ホフマンによる「6500」シリーズが発表されました。発売から数十年を経た現在も生産が続くロングセラーで、同社を代表する製品の一つです。

1980年、ヴェストファーレン地方の家具一族ヴェレ(Welle)が経営権を取得しますが、ブランドは独立性を保ちました。1994年には創業者ロルフ・ベンツのもとで株式を公開。スイス、オーストリア、北欧をはじめとするヨーロッパ市場へ販売網を広げ、ドイツを代表する高級ソファブランドへと成長しました。

1990年代にはラインアップを拡充し、ソファに加えてテーブル類、椅子、カーペット、クッションなどを展開。トータルインテリアブランドとしての地位を確立します。1998年には、ヴェレ社の株式の過半数がヒュルス・グループへと移りました。

2000年代以降の展開

1999年に創業者ロルフ・ベンツが退任。2000年には株式を非公開化し、合資会社(KG)へと組織を改めました。2011年には、よりカジュアルな層に向けた新ブランド「freistil ROLF BENZ」を発表。あわせて公共空間やオフィス向けの「ROLF BENZ CONTRACT」を立ち上げ、ホテルや空港ラウンジなどのプロジェクトにも展開しています。

2014年には、創業50周年を記念して「ROLF BENZ 50」を発表。「Addiform」へのオマージュとして、ミラノ国際家具見本市で披露されました。

2018年3月、中国の家具大手KUKA Home(顧家家居/Jason Furniture、杭州)がロルフ・ベンツを買収し、現在の親会社となっています。買収後もブランドのアイデンティティと黒い森での生産体制は維持されています。

日本市場への展開

日本では、大塚家具が1996年から20年以上にわたり正規輸入代理店として取り扱ってきました。2020年1月25日には、世界で初めての公式認定フラッグシップショップ「ROLF BENZ TOKYO(ロルフベンツ東京)」が東京・青山にオープン。2019年に発表されたグローバル・フラッグシップ・デザインを採り入れた店舗で、内装は「VOLO」を手がけたlabsdesignが担当しました。2025年2月1日には神宮前へ移転しています。現在の日本正規代理店は、株式会社ヤマダデンキ 大塚家具事業部(IDC OTSUKA)です。

代表的なデザイナー

ロルフ・ベンツは創業以来、外部のデザイナーとの協働を重視し、コレクションに新しい視点を採り入れてきました。

Beck Design(ベック・デザイン)

ノルベルト・ベック(Norbert Beck)とシリア・ベック(Silja Beck)の夫妻によるデザインチームは、ロルフ・ベンツの主要なデザイナーです。1997年に最初の仕事(伸長式テーブルの提案)が生まれて以来、20年以上にわたり協働を続けています。代表作には「MIO」、創業50周年記念モデル「ROLF BENZ 50」、日本語の「雲」にちなんで名付けられた「KUMO」、創業60周年記念モデル「SINA」などがあります。

自然から着想を得た有機的なフォルムと、ものづくりへの真摯な姿勢が特徴で、精巧な模型を制作しながらデザインを進める手法をとっています。工房はドイツ・ボーデン湖畔にあります。

Mathias Hoffmann(マティアス・ホフマン)

「6500」シリーズのデザイナー。1985年に発表された「6500」は、可動式の背もたれによってハイバックソファにもなる機能性と、レザーと金属パーツによる存在感を兼ね備え、長く生産が続いています。

その他の協働デザイナー

ジーノ・カローロ(Gino Carollo)、Sebastian Herkner(セバスチャン・ヘルクナー)、Katja ReiterとTamara Härty、Edgar Reuter(エドガー・ロイター)、Johannes Steinbauer(ヨハネス・シュタインバウアー)、Formstelle、Christian Werner(クリスチャン・ヴェルナー)、そして「VOLO」を手がけたlabsdesignなど、多様なデザイナーが作品を手がけています。

代表的なコレクション

Addiform(アディフォルム)

1964年の創業と同時に発表された「Addiform」は、世界初のコーナーソファとして知られる製品です。モジュラー式でリクライニング機能を備え、テレビの普及によって変化するリビングルームに合わせて自由に構成できました。従来の応接セットの概念を一新し、家族がくつろぐ空間としてのリビングを提案したこのソファが、ブランドの出発点となりました。

6500シリーズ

1985年に発表された「6500」は、30年以上にわたり生産が続くロングセラーです。デザイナーのマティアス・ホフマンによるこのシリーズは、二段階に調節できる背もたれにより、通常のソファからハイバックソファへと変化し、頭部までサポートします。

本革と金属パーツによる重厚なフォルムが特徴で、高密度ウレタンフォームの多層クッション構造とサポートクッションにより、長時間の着座でも快適な座り心地を提供します。発表から長く生産が続く、ロルフ・ベンツを代表するモデルの一つです。

ROLF BENZ 50

2014年、創業50周年を記念して発表された「ROLF BENZ 50」は、「Addiform」のデザインを受け継ぎつつ、現代の技術を組み合わせたモデルです。Beck Designによるこのシリーズは、座り心地やリラックス機能、レイアウトの自由度を継承しています。

シートの高さや奥行きは2通りから選べ、シングル・セクショナル・コーナーソファとして構成できます。200種類以上の布地と100種類以上のレザーから選べるカバーリングに対応し、ガス圧スプリングによる無段階の背もたれ調整機能を備えます。発表後は国際的なベストセラーとなりました。

KUMO(クモ)

日本語の「雲」にちなんで名付けられた「KUMO」は、Beck Designによるソファシリーズで、2021年秋のロルフ・ベンツ・ハウスメッセで初披露されました。角やエッジを持たず、外側の面が滑らかに連なる有機的なフォルムが特徴です。

背もたれから座面への流動的な移行を実現するため、生産には熟練の技を要しました。各エレメントは独立して配置でき、組み合わせによって多様なレイアウトをつくれます。

SINA(シナ)

創業60周年(2024年)を記念して2023年に発表された「SINA」は、Beck Designによるモジュラーソファシステムです。上部に湾曲した独立した背もたれが加わることで構成の自由度を高め、開放的なエレメントが多様な座り方と視線方向を可能にします。

その他の人気シリーズ

「DONO(ドノ)」は独自のデザインコンセプトを持つソファシリーズ。「Plura(プルーラ)」は身体に合わせて変形・調整できる多機能ソファ。「MERA(メラ)」は機能性と快適性を備えた多機能ソファ。「JACK(ジャック)」は浮遊感のあるラウンジチェアとして親しまれています。

ソファ以外にも、コーヒーテーブルやダイニングテーブル、アームチェア、チェアなど、多彩な家具を展開しています。

ブランドの現在

ロルフ・ベンツのコレクションは、豊富な品揃えと機能性、タイムレスなデザインで、多様化するライフスタイルに応えています。

2018年には、ポルシェのチューニングブランドであるTECHART(テックアート)社と協働し、ポルシェ「カイエン」の内装にロルフ・ベンツのアップホルスタリーを採り入れたエディションを発表しました。同年9月の自社見本市で初公開され、住空間の素材を自動車のインテリアへと持ち込む試みとして注目されました。

現在、ロルフ・ベンツの製品はリビング、ダイニング、ベッドを含む総合的なコレクションとして、世界50カ国以上で展開されています。特にドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)では高い知名度を持つブランドです。創業から60年を超えた今も、「デザイン」「快適性」「品質」という創業理念のもとで製品づくりを続けています。

基本情報

ブランド名 ROLF BENZ(ロルフ・ベンツ)
設立 1964年
創業者 ロルフ・ベンツ(Rolf Benz)
本社所在地 ドイツ連邦共和国 バーデン=ヴュルテンベルク州 ナーゴルト市(Nagold, Baden-Württemberg, Germany)
主要製品 ソファ、アームチェア、テーブル、ベッド、アウトドア家具、アクセサリー
製造拠点 ドイツ・ナーゴルト近郊(メッツィンゲン、プファルツグラーフェンヴァイラーほか/Made in Germany)
展開国 世界50カ国以上
品質認証 「Möbel Made in Germany」(RAL認証、2020年)
親会社 KUKA Home(顧家家居/Jason Furniture、中国・杭州、2018年〜)
日本正規代理店 株式会社ヤマダデンキ 大塚家具事業部(IDC OTSUKA/1996年より取扱い)
公式サイト(グローバル) https://www.rolf-benz.com/
公式サイト(日本) https://www.rolf-benz-tokyo.jp/