コルクファミリー / Cork Family
コルクファミリーは、イギリスを代表するプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが2004年にヴィトラのために発表したスツール兼サイドテーブルのコレクションである。天然コルクのみを素材とし、旋盤で削り出された無塗装の表面は、ベルベットのような滑らかな触感と自然な風合いを持つ。スツールとしてもサイドテーブルとしても使える汎用性と、コルクがもたらす軽量性・耐久性を兼ね備え、発表から20年以上を経た現在も生産が続けられている。
特徴・コンセプト
コルクファミリーは、モリソンが深澤直人とともに提唱した「スーパーノーマル」——奇抜さや過剰な装飾を排し、日常のなかで長く使える「あたりまえ」の美しさを重んじる考え方——に沿った製品である。素材と形の必要以上の主張を抑え、実用と佇まいの両立が図られている。
コルク樫の樹皮から採取されたコルク粒を高圧で凝縮・成形し、旋盤で一つひとつ削り出す製法により、工業製品でありながら個体差と温もりが生まれる。表面には塗装を施さず、コルク本来の質感をそのまま残している。触れると素材の柔らかさと弾力が伝わり、見た目の素朴さとは異なる感触が得られる。
本コレクションは当初、それぞれ異なるシルエットを持つモデルA・B・Cの3種で構成されていたが、後にモデルD・Eが加わり、現在は全5種が展開されている。いずれも直径はほぼ共通で、輪郭の曲線が少しずつ異なる。並べて置くと、まとまりのなかに個体ごとの違いが見える構成になっており、「ファミリー」という命名にもモリソンらしい愛着が感じられる。
素材:コルクという選択
コルクはワインの栓として広く知られるが、軽量で弾力に富み、断熱性・防水性・防音性に優れ、かつ再生可能な天然資源でもある。モリソンはこの素材の触感と、空間にもたらす落ち着いた雰囲気に着目し、その特性を家具の文脈で引き出すことを試みた。塗装を排した無垢のコルクは、経年とともに角が丸みを帯び、使い込むほどに風合いが変化していく。
評価
コルクファミリーは、発表以来ヴィトラのホームコレクションにおける定番のひとつとして扱われている。天然素材のみで構成されたサステナブルなプロダクトとして、環境意識の高まりとともに改めて注目される機会も増えている。
インテリアの実務においても、住宅からホスピタリティ空間、オフィスまで幅広く採用され、北欧的なミニマリズム、和の空間、コンテンポラリーモダンなど、さまざまなスタイルと合わせやすい。スツール、サイドテーブル、置きオブジェのいずれとしても機能する点が、空間設計における使い勝手につながっている。
基本情報
| 商品名 | コルクファミリー / Cork Family |
|---|---|
| デザイナー | Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン / イギリス / 1959年〜) |
| デザイン年 | 2004年(モデルA・B・C)/後年にモデルD・E追加 |
| メーカー | Vitra(ヴィトラ / スイス) |
| カテゴリ | スツール / サイドテーブル |
| 素材 | ソリッドコルク(コルク粒凝縮材)、旋盤加工、無塗装仕上げ |
| サイズ | モデルA・B・C:Ø31 × H33 cm/モデルD・E:Ø31 × H32 cm |
| バリエーション | モデルA/B/C/D/E(各モデルごとに異なるシルエット) |
| カラー | ナチュラルコルク(無塗装・1色展開) |