概要

モスは、スウェーデンのカスタール(Kasthall)が製造するハンドタフテッドのラグである。設計はグニラ・ラーゲルヘム・ウルベリによる。長く粗いリネン糸と、短く柔らかなウール糸を混ぜて打ち込むことで、一枚の面に二種類の質感が同居する。名称はスウェーデン語で苔を指す。

特徴・コンセプト

性質の違う糸を混ぜる

ウールとリネンでは、太さも張りも染料の乗り方も違う。同じ色で染めても発色が揃わないため、一つの面のなかに濃淡が生じる。単一の素材で織ればむらのない面になるが、性質の違う糸を混ぜれば斑が残る。

長さも変えてある。長く粗いリネンが表面から突き出し、短く柔らかなウールがその間を埋める。光の当たり方によって、突き出た糸と沈んだ糸の見え方が変わる。

パイルを長くとる

パイル高は約40mm、総厚は約44mm。総重量はおよそ4,400g/m²に達する。スウェーデンの伝統的なリュアラグ(rya)は毛足の長い織物で、モスはその系譜を現代の製法に置き換えたものにあたる。

素材と製法

パイルはウール70%、リネン30%。基布はポリエステル、裏材にはポリプロピレンとリサイクル糸が用いられる。職人がハンドタフティングガンでパイルを打ち込む工程で、カスタールのキンナの自社工場で製作される。洗濯機による洗濯とドライクリーニングはいずれもできない。

サイズと色

140×200cmから350×450cmまでの標準サイズに加え、直径240cmの円形、任意の寸法と形状のオーダーにも対応する。色は白から灰、青、緑、珊瑚色まで10色が展開される。

エピソード

ウルベリは1987年から2015年までカスタールのデザインディレクターを務めた。キンナの工場に通い、織機のかたわらで糸や色、織りの技法を試しながら設計を詰めたと伝えられる。下絵には水彩とグワッシュが用いられた。絵具の滲みと揺らぎが、タフテッドラグの表面に近いためである。

カスタールは1889年、スウェーデン西部の町キンナで創業した。

評価と影響

ウルベリはモスのほか、カスタールの定番となるラグを複数手がけている。2012年にはスウェーデン版エル・デコレーションのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。2015年に逝去している。

4館の公開データでは、モスの収蔵は確認できていない。

基本情報

名称 モス / Moss
デザイナー グニラ・ラーゲルヘム・ウルベリ(Gunilla Lagerhem Ullberg)
ブランド カスタール(Kasthall)
デザインの成立国 スウェーデン
分類 ラグ
製法 ハンドタフテッド(キンナの自社工場)
パイル素材 ウール70%、リネン30%
構造 長く粗いリネンと短く柔らかなウールを混ぜ、染料の乗り方の差で斑をつくる
パイル高/総厚 約40mm/約44mm
サイズ 標準7種(140×200cm〜350×450cm)、直径240cmの円形、任意寸法のオーダー
手入れ 洗濯機・ドライクリーニングとも不可

Reference