概要

グニラ・ラーゲルヘム・ウルベリ(1955-2015)は、スウェーデンのテキスタイルデザイナーである。1987年から2015年までカスタールの主任設計者を務めた。長さと太さの異なる糸を混ぜて織ることで、面に凹凸と色の揺らぎを生む構成をとる。同社の絨毯の性格を28年にわたって決めた立場にあたる。

バイオグラフィー

1955年3月10日、ストックホルムに生まれた。コンストファック(国立芸術工芸デザイン大学)の夜間課程などで学んでいる。

卒業後、イケアとノルディスカ・コンパニエットの絨毯部門で働いた。スウェーデン手工芸協会のための制作も行っている。

1987年、カスタールの主任設計者となった。同社は西部キンナに工場を持つ絨毯のメーカーである。

2013年に自身の会社を設立し、個人の制作も行った。2015年に没している。

デザインの思想と方法

絨毯の図案は、通常は色で描かれる。ラーゲルヘム・ウルベリが用いたのは、糸そのものの性質を組み合わせる方法である。長さ、太さ、素材の異なる糸を混ぜれば、色を変えずに面の表情が変わる。

異なる糸を混ぜて織る

長い麻の糸と、短く粗い羊毛の糸を混ぜる。麻は光沢があり、羊毛は光を吸う。同じ面に両者が混在することで、霜降りのような濃淡が生まれる。

パイルの長短で凹凸をつくる

毛足の長さを部分ごとに変えれば、面に高低差が生じる。足で踏んだときの感触も変わり、視覚と触覚の両方に差が出る。

織機の制約を試す

織機には、扱える糸の太さと打ち込みの密度に限界がある。この限界の内側で何ができるかを試す作業に多くの時間をかけた。

工場の残材を使う

製造の過程で出る糸の端材を用いる系列もある。多数の色が混在するため、規則的な図案では成立しない。素材の側から構成が決まる。

代表作にみる方法

ヘッガ(1980年代後半)

シャフト織りによる絨毯の系列である。6種の割付と、混色または単色の糸を組み合わせられる。カスタール着任後の初期の設計にあたる。

モス

長い麻の糸と短く粗い羊毛の糸を混ぜて織った絨毯である。麻は光沢があり羊毛は光を吸うため、同じ面に霜降りのような濃淡が生まれる。→カスタール モス

フォッグ(1998年)

毛足の長い絨毯である。麻の糸の性質と多色の組み合わせにより、見る角度で色が変わる。

グレータ(2007年)

工場の残材を素材として用いた絨毯である。12種の糸を使い、多数の色が混在する。規則的な割付では成立しないため、素材の側から構成が決まる。

ハーバリウム(2012年)

カスタール在職25年を記念した企画である。1年以上かけて収集し押した花弁と葉を、手作業で配して図案の原型とした。

評価と影響

ラーゲルヘム・ウルベリは、1987年から2015年まで28年にわたりカスタールの主任設計者を務めた。同社の絨毯の性格を長期にわたって決めた立場にあたる。

糸そのものの性質を組み合わせるという方法をとった。色ではなく素材の側から面の表情を決める点が特徴になる。

1985年にアストリッド・サンペ奨学金、1991年と1997年にウトメルクト・スヴェンスク・フォルムを受けている。2015年に没した。

受賞・収蔵

受賞

  • 1985年 アストリッド・サンペ奨学金
  • 1991年、1997年、1998年 ウトメルクト・スヴェンスク・フォルム

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。スウェーデン国内の館については照合手段がない。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1980年代後半 絨毯 ヘッガ、アーカード Kasthall
1990年代 絨毯 カスタール モス Kasthall
1998年 絨毯 ストリング、フォッグ Kasthall
2007年 絨毯 グレータ Kasthall
2012年 絨毯 ハーバリウム Kasthall
2016年 絨毯 アーキペラゴ(遺作) Kasthall
1987-2015年 絨毯 カスタールのための製品 Kasthall

プロフィール

生没年 1955年3月10日〜2015年
出身地 スウェーデン・ストックホルム
国籍 スウェーデン
活動拠点 ストックホルム、キンナ
分野 絨毯、テキスタイル
主な協働ブランド Kasthall

Reference

Kasthall
https://www.kasthall.com/
Nationalmuseum, Stockholm
https://www.nationalmuseum.se/en