このページについて
アニ・アルバースのラグは、同氏が残したテキスタイルのデザインをもとに、クリストファー・ファーがジョセフ&アニ・アルバース財団の許諾のもとで製作するラグである。壁掛けや習作として構想された図案を、床に敷く寸法へ起こしている。いずれも限定数を定めて製作される。
このページでは、現行の各モデルの仕様と寸法、製法の違い、同じ枠組みで製作される他の作家のラグとの比較、手入れ、購入できる場所を扱う。設計者については紹介ページを参照されたい。
アニ・アルバースの設計思想や経歴について詳しくはアニ・アルバース プロフィールページをご覧ください。
アニ・アルバースラグコレクションのデザインストーリーについて詳しくはアニ・アルバース ラグコレクション紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
アニ・アルバースのラグは、クリストファー・ファーにより「Editions」ライン(比較的入手しやすい限定生産品)と「Made to Order」ライン(受注制作の希少なギャラリーピース)の二つのカテゴリで展開されている。いずれもジョセフ&アニ・アルバース財団の監修のもと、原作に忠実な再現を目指して制作される。
共通情報
| デザイナー | アニ・アルバース(Anni Albers) |
|---|---|
| 製造 | クリストファー・ファー(Christopher Farr)/英国ロンドン |
| 監修 | ジョセフ&アニ・アルバース財団の許諾による |
| 生産形態 | 限定製作。モデルごとに枚数が定められ、作家名を記した番号入りのラベルが付く |
| 製造国 | インド。手紡ぎのウールを用いる |
Editions ライン(限定生産・在庫あり即納モデル)
Editionsラインは、アルバースのデザインをより多くの人に届けることを目的とした比較的手頃な価格帯のコレクションである。ハンドタフト製法により、限定数で生産される。
Study Rug(スタディ・ラグ)
1926年にアニ・アルバースがバウハウス在籍時にデザインした壁掛け用グワッシュ(習作)を忠実にラグとして再現したモデル。水平線と垂直線が交差するバウハウスの典型的な構成に、マスタード、トマトレッド、バトルシップグレーといった力強い色彩が織り込まれている。
| 正式名称 | スタディ・ラグ / Study Rug |
|---|---|
| 原作年 | 1926年(バウハウス時代) |
| 素材 | ウール 100%(ミルスパン・ウール) |
| 製法 | ハンドタフト |
| サイズ | Small: 91 × 152 cm(3' × 5')/ Large: 122 × 183 cm(4' × 6') |
| 限定数 | 各サイズ150枚限定(第2エディション) |
| 付属品 | ナンバリング入りラベル(アーティスト名記載)、真正性証明書 |
| 価格 | 正規取扱店の公表価格は Small £450、Large £750(2026年8月19日確認) |
Runner(ランナー)
1959年にアニ・アルバースが制作したランナー(細長いテーブルランナー型テキスタイル)のデザインを、アルバース財団との協働によりラグとして再現したモデル。催眠的ともいえるリズミカルな幾何学パターンが特徴。
| 正式名称 | ランナー / Runner |
|---|---|
| 原作年 | 1959年 |
| 素材 | ウール 100%(ハンドスパン・ウール=手紡ぎウール) |
| 製法 | ハンドタフト |
| サイズ | 275 × 75 cm |
| 限定数 | 150枚限定 |
| 価格 | 正規取扱店の公表価格は £595(2026年8月19日確認) |
Small Child's Room Rug(スモール・チャイルズルーム・ラグ)
1928年にアニ・アルバースが子ども部屋のために制作したテキスタイルデザインの再現。原色を基調とした幾何学の構成をとる。
| 正式名称 | スモール・チャイルズルーム・ラグ / Small Child's Room Rug |
|---|---|
| 原作年 | 1928年(バウハウス時代) |
| 素材 | ウール 100%(ミルスパン・ウール) |
| 製法 | ハンドタフト |
| 限定数 | 250枚限定 |
| 価格 | 正規取扱店への問い合わせによる |
Made to Order ライン(受注制作・ギャラリーピース)
Made to Orderラインは、アニ・アルバースの代表的大作をハンドノット(手結び)技法で再現する、より希少性の高いコレクションである。英国産ハンドスパンウールを使用し、極めて少数の限定生産(多くが10枚限定)で制作される。価格は非公開のモデルが多く、クリストファー・ファーへの直接の問い合わせが必要となる。
Smyrna Rug(スミルナ・ラグ)
1925年のアルバースの習作(MoMAに寄贈された原画)に基づく大型ラグ。複雑な幾何学パターンをハンドノットで実現した芸術性の高い作品で、カール・ラガーフェルドのコレクションにも含まれていたことで知られる(2021年サザビーズにて出品)。
| 正式名称 | スミルナ・ラグ / Smyrna Rug |
|---|---|
| 原作年 | 1925年 |
| 素材 | ウール 100%(ハンドスパン・ウール) |
| 製法 | ハンドノット(手結び) |
| サイズ | 245 × 305 cm(8' × 10') |
| 限定数 | 10枚限定 |
| 価格 | 正規取扱店への問い合わせによる |
Camino Real(カミノ・レアル)
1967年の「Study for Camino Real」(紙にグワッシュ)を原作とする大型ラグ。もとになった壁掛け「Camino Real」(1968年完成)は、建築家リカルド・レゴレッタとルイス・バラガンの依頼により、メキシコシティのホテル・カミノ・レアルのためにアルバースが制作したものである。
| 正式名称 | カミノ・レアル / Camino Real |
|---|---|
| 原作年 | 1967年 |
| 製法 | ハンドノット |
| サイズ | 305 × 335 cm(10' × 11') |
| 限定数 | 10枚限定 |
その他のMade to Orderモデル
上記のほかにも、以下のモデルがクリストファー・ファーのコレクションとして受注制作されている。いずれもアルバース財団との協働により原作に忠実に再現されたものである。
- DRXVII
- 244 × 335 cm(8' × 11')、ハンドノット、ハンドスパン英国産ウール。
- Red Meander(レッド・ミアンダー)
- 213 × 305 cm(7' × 10')、ハンドノット。サマセットハウス(ロンドン)の「Form Through Colour」展にも出展された。
- Child's Room Rug(チャイルズルーム・ラグ、大型版)
- 183 × 274 cm(6' × 9')、ハンドタフト、ハンドスパン英国産ウール。
- Untitled(アンタイトルド)
- 183 × 305 cm(6' × 10')。1926年の壁掛け「Untitled」の再解釈。ハンドノット、ハンドスパンウール。限定150枚。コンランショップ(英国)でも取り扱い実績あり。
類似商品・競合との比較
クリストファー・ファーは、アルバース財団のほか複数の作家・遺族の許諾のもとで同じ枠組みのラグを製作している。選び分けは、製法と限定枚数、原図の性格によって決まる。
| 比較項目 | Editionsライン | Made to Order |
|---|---|---|
| 製法 | ハンドタフト(下地に糸を打ち込む) | ハンドノット(一目ずつ結ぶ) |
| 限定枚数 | 150〜250枚 | 10枚 |
| 寸法 | 91×152cm〜275×75cm | 245×305cm〜305×335cm |
| 該当モデル | Study Rug、Runner、Small Child's Room Rug | Smyrna Rug、Camino Real ほか |
| 価格 | £450〜£750(正規取扱店の公表価格) | 正規取扱店への問い合わせによる |
製法の違い
ハンドタフトは、下地の布に糸を打ち込んで固定する方法である。糸の密度を高めやすく、製作に要する時間が短い。裏面には固定のための裏打ちが施される。
ハンドノットは、経糸に一目ずつ結び目をつくる方法である。結び目そのものが構造となるため裏打ちを必要とせず、両面が使える場合もある。製作に要する時間は長く、限定枚数も少ない。
選び分けの目安
- 敷いて使う場合
- Editionsラインは寸法が住宅の床に合う範囲にある。Made to Orderは3m前後で、置ける部屋が限られる。
- 原図の性格で選ぶ場合
- Study Rugは壁掛けの習作、Runnerは1959年のランナーの図案、Camino Realは晩年の作品を原図とする。もとが床用でない図案は、寸法比を起こし直している。
使用感と設置条件
手紡ぎのウール
手紡ぎの糸は太さが均一にならない。同じ図案でも表面の凹凸が個体ごとに異なり、光の当たり方で色の見え方が変わる。機械紡ぎの糸を用いたラグのような均質な面にはならない。
ウールは油分を含むため、水分をはじく。こぼした液体はすぐに拭き取れば染み込みにくい。
敷く場所
Editionsラインで最も小さいStudy Rug Small(91×152cm)は、ソファの前やベッドサイドに収まる寸法である。Runner(275×75cm)は廊下や壁沿いの細長い範囲に向く。
Made to Orderの寸法(245×305cm、305×335cm)は、リビングの中央に家具ごと載せる使い方になる。搬入時は巻いた状態で長辺が3m前後になるため、経路を確認しておく。
床材との関係
ハンドタフトのラグは裏打ちがあり、フローリングの上では滑りにくい。ハンドノットのものは裏打ちを持たないため、滑り止めを併用することがある。
いずれも家具の脚が載る箇所は、荷重で毛足が潰れる。家具の位置を変えても、跡は戻るまでに時間がかかる。
経年変化とメンテナンス
ウールに起きること
使い始めの時期は、繊維の短い部分が抜けて表面に出る。掃除機で吸い取るうちに落ち着く。
直射日光が当たる面は退色する。手紡ぎの糸は染めの入り方が一様でないため、退色も均一には進まない。定期的に向きを変えると差が出にくい。
日常の手入れ
- ふだん
- 掃除機を毛足の方向に沿ってかける。回転ブラシは毛足を引き出すため、吸引のみのノズルを用いる。
- 汚れ
- 乾いた布で押さえて吸い取る。こすると繊維の間に押し込むことになる。ウールは油分を含むため、すぐに対処すれば染み込みにくい。
- 洗浄
- 家庭では洗えない。ウールのラグを扱う専門の業者に依頼する。
限定品としての扱い
作家名と製作番号を記したラベルが付く。譲渡や査定の際にはこのラベルが手がかりになるため、外さずに保管する。
どこで買うか
取扱店の調べ方
クリストファー・ファーは公式サイトで製品情報を公開している。Editionsラインは正規取扱店が価格を公表しており、Study Rug が Small £450/Large £750、Runner が £595 である(2026年8月19日確認)。Made to Orderのモデルは正規取扱店への問い合わせによる。
日本国内での取り扱いは限られる。輸入代理店の案内を確認するか、英国の正規取扱店から取り寄せることになる。
実物を確認する
手紡ぎの糸を用いるため、写真と実物で色の見え方が異なる。設置する部屋の照明の下で確かめられるとよい。取扱店によっては生地の見本を取り寄せられる。
限定枚数について
Editionsラインは150〜250枚、Made to Orderは10枚と定められている。完売した版は再製作されない場合があるため、購入を検討する時点で残数を確認する。
購入前チェックリスト
- ラインの選択(Editions=ハンドタフト/Made to Order=ハンドノット)
- モデルと寸法(91×152cm〜305×335cm。置ける範囲から決める)
- 搬入経路(Made to Orderは巻いた状態で長辺3m前後)
- 裏打ちの有無(ハンドノットは滑り止めの併用を要する場合がある)
- 家具の脚が載る位置(荷重で毛足が潰れる)
- 直射日光の当たる範囲(退色が一様に進まない)
- 限定枚数の残数
- ラベルの有無(譲渡や査定の手がかりになる)
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- Editionsライン(ハンドタフト、限定150〜250枚)は、正規取扱店の公表価格でStudy Rug がSmall £450、Large £750、Runner が£595です(2026年8月19日確認)。Made to Order(ハンドノット、限定10枚)は正規取扱店への問い合わせによります。日本国内の価格は取扱店により異なります。
- どこで購入できますか?
- クリストファー・ファーの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内での取り扱いは限られるため、輸入代理店の案内を確認するか、英国の正規取扱店から取り寄せることになります。
- ハンドタフトとハンドノットは何が違いますか?
- ハンドタフトは下地の布に糸を打ち込んで固定する方法で、裏面に裏打ちが施されます。ハンドノットは経糸に一目ずつ結び目をつくる方法で、結び目そのものが構造となるため裏打ちを必要としません。後者は製作に要する時間が長く、限定枚数も10枚と少なくなります。
- 正規品であることはどう確認しますか?
- 作家名と製作番号を記したラベルが付きます。ジョセフ&アニ・アルバース財団の許諾のもとで製作されたものであることが示されます。譲渡や査定の際の手がかりになるため、外さずに保管してください。
- どの寸法を選べばよいですか?
- Editionsラインで最も小さいStudy Rug Small(91×152cm)はソファの前やベッドサイドに収まります。Runner(275×75cm)は廊下や壁沿いに向きます。Made to Orderの寸法(245×305cm、305×335cm)はリビングの中央に家具ごと載せる使い方になります。
- 色が写真と違って見えることはありますか?
- あります。手紡ぎの糸は太さが均一にならず、表面の凹凸が個体ごとに異なるため、光の当たり方で色の見え方が変わります。設置する部屋の照明の下で確かめられると判断しやすくなります。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 掃除機を毛足の方向に沿ってかけます。回転ブラシは毛足を引き出すため、吸引のみのノズルをお使いください。汚れは乾いた布で押さえて吸い取ります。こすると繊維の間に押し込むことになります。家庭では洗えないため、洗浄はウールのラグを扱う専門の業者に依頼してください。
- 使い始めに毛が抜けますが問題ありますか?
- 使い始めの時期は繊維の短い部分が抜けて表面に出ます。掃除機で吸い取るうちに落ち着きます。