概要

アンニ・アルバース(1899-1994)は、ドイツ出身でアメリカで活動したテキスタイル作家である。バウハウスの織物工房で学び、のちに同工房を率いた。糸の交差の規則そのものを構成の対象とし、図柄を載せずに面をつくる。1933年からブラック・マウンテン・カレッジで教え、織物の技術と理論の双方を扱った。

バイオグラフィー

1899年6月12日、ベルリンにアンネリーゼ・フライシュマンとして生まれた。1922年にバウハウスへ入学している。

織物工房に配属された。当時、女性の学生は織物工房に振り分けられるのが通例だった。1925年にヨゼフ・アルバースと結婚している。

1931年から1932年まで、バウハウスの織物工房を率いた。1933年の同校閉鎖後、アメリカへ渡っている。

1933年からノースカロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジで教えた。1949年にはニューヨーク近代美術館で個展が開かれている。1994年5月9日に没した。

デザインの思想と方法

織物の面は、経糸と緯糸の交差で構成される。どの糸をどこで上下させるかという規則が、そのまま面の表情になる。アルバースが扱ったのは、この規則そのものである。図柄を織り込むのではなく、交差の組み方で構成を決める。

交差の規則で面をつくる

組織図で糸の上下を定めれば、面の凹凸と光の反射が決まる。同じ色の糸でも、組み方が変われば見え方が変わる。図案を描く段階が存在しない。

素材の性質を用いる

麻、綿、金属糸、セロファンなど、性質の異なる素材を組み合わせる。光沢、硬さ、透過性の差が構成の要素になる。

用途から要求を決める

壁を覆う布では吸音と遮光、間仕切りでは透過性が求められる。用途ごとに素材と組織が変わる。建築の一部として布を扱う立場にあたる。

技術と理論の双方を教える

ブラック・マウンテン・カレッジでは、織機の操作と構成の理論を並行して教えた。1965年の著作『On Weaving』にその内容がまとまっている。

代表作にみる方法

壁掛け(1926-27年)

バウハウス在籍時の織物である。交差の規則だけで面を構成し、図柄を持たない。シカゴ美術館とニューヨーク近代美術館が収蔵している。

オッペルン劇場の緞帳の図案(1928年)

劇場の緞帳のための図案である。吸音と遮光の要求から素材と組織が決まる。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号407.1951)。

吊り下げ式の間仕切り(1949年頃)

天井から吊るして空間を分ける布である。透過性が要求に含まれる。ニューヨーク近代美術館が4点を収蔵している。

ラ・ルス II(1958年)

綴織による作品である。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号274.1958)。

絨毯の系列

クリストファー・ファーが図案をもとに絨毯を製作している。織りではなく手結びによる。→アンニ・アルバース(アニ・アルバース) ラグ

評価と影響

アルバースは一般に、20世紀の織物を代表する制作者と評価されている。図柄を載せず、糸の交差の規則そのものを構成の対象とした点が挙げられる。

1931年から1932年までバウハウスの織物工房を率いた。1949年にはニューヨーク近代美術館で個展が開かれており、織物作家としては早い例にあたる。

1965年の著作『On Weaving』は、織物の技術と構成の理論をまとめたものである。教育の側での影響も大きい。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したところ、計261件が確認できた。MoMAが200件と最も多い。Metの1970.75番台は多数の織物見本のまとまりにあたる。以下は主要なものの抜粋である。

  • AIC ブラック・ホワイト・レッド(1926/27年設計) 収蔵番号 1970.343
  • MoMA 壁掛け(1927年、1964年に本人の監督下で織成) 収蔵番号 246.1965
  • MoMA ベッドカバーの図案(1928年) 収蔵番号 406.1951
  • MoMA オッペルン劇場の緞帳の図案(1928年) 収蔵番号 407.1951
  • MoMA 卓布の図案(1930年) 収蔵番号 408.1951
  • MoMA タペストリーの図案(1933年) 収蔵番号 409.1951
  • MoMA ロックフェラー・ゲストハウスの垂れ布(1942-44年) 収蔵番号 451.1975
  • MoMA タペストリー(1948年) 収蔵番号 200.1950
  • MoMA 吊り下げ式の間仕切り(1949年頃) 収蔵番号 408.1960、409.1960、410.1960、411.1960
  • AIC ディヴェロップメント・イン・ローズ II(1952年) 収蔵番号 1970.345
  • MoMA ラ・ルス II(1958年) 収蔵番号 274.1958
  • AIC ノースウェスタリー(1957年) 収蔵番号 1970.346
  • V&A レール(1965年) 収蔵番号 CIRC.800-1968
  • AIC エクラ(1974年) 収蔵番号 2014.1171
  • Met 織物見本 収蔵番号 1970.75.22 ほか計40点

作品一覧

年 区分 作品名 ブランド / 場所
1926-27年 織物 壁掛け、ブラック・ホワイト・レッド Bauhaus
1928-33年 図案 緞帳・卓布・タペストリーの図案 Bauhaus
1931-1932年 教育 バウハウス 織物工房 主任 デッサウ、ドイツ
1933-1949年 教育 ブラック・マウンテン・カレッジ ノースカロライナ州、アメリカ
1949年頃 織物 吊り下げ式の間仕切り —
1950年代 織物 ノルのためのテキスタイル Knoll
1965年 著作 『On Weaving』 —
1990年代〜 絨毯 アンニ・アルバース(アニ・アルバース) ラグ Christopher Farr

プロフィール

生没年 1899年6月12日〜1994年5月9日
出身地 ドイツ・ベルリン
国籍 ドイツ(のちアメリカ)
活動拠点 デッサウ、ノースカロライナ州、コネチカット州
分野 織物、テキスタイル、教育、著述
主な協働ブランド Knoll、Christopher Farr

Reference

The Josef & Anni Albers Foundation
https://albersfoundation.org/
The Museum of Modern Art Collection
https://www.moma.org/collection/works/2325
The Metropolitan Museum of Art Collection
https://www.metmuseum.org/art/collection
The Art Institute of Chicago Collection
https://www.artic.edu/collection