ランプ・グラ N°205は、ベルナール=アルバン・グラが1921年に設計した一連の照明のうち、机上用として構成された型番である。円錐形のベースから二本のアームが立ち上がり、その先に丸いシェードが付く。
設計の対象は事務所と工業環境だった。現在はフランスのDCWエディションが復刻生産している。
特徴・コンセプト
この照明の構造上の特徴は、基本形にねじも溶接も用いていない点にある。部材どうしを差し込み、挟み込むことで組み立てる。接合部が少ないため壊れにくく、分解と修理も容易になる。
下側のアームは長さ約390mm、86度まで角度を変えられ、水平方向には全周回転する。上側のアームは長さ約200mm、250度まで動く。二つの関節を組み合わせることで、光源の位置を机上の広い範囲へ運べる。ベースの直径は約175mm。
アーム、支柱、ブラケット、ベースといった各部の造形は、1921年という時期を考えると異例に機能本位である。装飾を排して可動と強度だけで形を決めるという姿勢は、その後の工業デザインが辿る道筋を先取りしている。
シェードは丸型と円錐型の二種類が用意され、色の展開も広い。ケーブルは布巻きで、途中にオン/オフのスイッチが付く。ランプ・グラは同じ機構を保ちながら、フロア、テーブル、ペンダント、ウォールの各形式と、アーム長の異なる型番へ展開されている。
背景
1921年、ベルナール=アルバン・グラは事務所と設計室のための照明群を設計した。この一連の製品が後にランプ・グラと呼ばれるようになる。1927年にラヴェル社が特許を取得し、生産を開始した。
図面を引く場では、光を正確な位置へ運べることが要求される。ランプ・グラの二関節構造は、この実務上の要求に応じたものにあたる。
DCWエディションはパリを拠点とする照明ブランドで、ランプ・グラの復刻を代表的な仕事としている。
評価
実務では、デスクランプとしての基本性能が高い。二つの関節で光の位置を細かく決められるため、書見にも作業にも対応する。ベース直径175mmは机上の占有が小さい。
アームの位置を保つ方法には、スプリングによる釣り合いやワイヤーの張力を用いるものがある。ランプ・グラは関節の摩擦だけで保持する構成で、機構としては単純にあたる。フランスの工業用照明という系譜では、ロフトが関節そのものを通電経路とする別の解答を示す。
ベルナール=アルバン・グラの設計思想や経歴について詳しくはベルナール=アルバン・グラプロフィールページをご覧ください。
DCWエディションの歴史や他の製品について詳しくはDCWエディションブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ベルナール=アルバン・グラ / Bernard-Albin Gras |
|---|---|
| 発表年 | 1921年(1927年にラヴェル社が特許を取得し生産開始) |
| ブランド | DCWエディション / DCW éditions(復刻生産) |
| カテゴリー | テーブルランプ / デスクランプ |
| 素材 | スチール(パウダーコート) |
| サイズ | ベース径 約175mm / 下アーム 約390mm(86度可動・全周回転)/ 上アーム 約200mm(250度可動) |
| シェード | 丸型 / 円錐型 |
| 構造 | 基本形にねじ・溶接を用いない |
| シリーズ | ランプ・グラ(フロア / テーブル / ペンダント / ウォール、アーム長違いの各型番) |