概要

パラティッシは、ビルガー・カイピアイネンが設計し、1969年にアラビアから発表されたテーブルウェアのシリーズである。名称はフィンランド語で楽園を意味する。パンジー、カシス、ぶどう、りんごといった花と果実を白磁の上にシルクスクリーンで印刷する。装飾を抑えた食器が主流だった当時の北欧において、絵付けを前面に出した点に特徴がある。

特徴・コンセプト

絵柄の由来

パラティッシの意匠は、1967年のモントリオール万博のために制作された大型レリーフ作品「オルヴォッキメリ(Orvokkimeri/スミレの海)」に由来するとされる。白鳥とスミレの花が織りなす幻想的な情景を描いたこの作品の世界観が、日々手に取れる食器の絵付けへと落とし込まれている。豊穣な果実と花のモチーフは、シリーズの表情を決定づける中心的な要素である。

シルクスクリーン印刷による表現

絵柄はシルクスクリーン印刷による。手描きでは一枚ごとに筆致が異なり、複雑な図柄では作業量も増える。版を用いれば、多色の図柄でも輪郭を保ったまま量産できる。パラティッシの鮮明な色の境界は、この技法によって成立している。

オーバルという造形

当初は楕円を基調とした造形が採用された。1988年の再生産時に、プレートの形状は楕円から円形へ変更されている。現在は両方が展開される。

三つのカラーバリエーション

三つの配色で展開される。1969年から続くカラー(ブルーとイエロー)、1972年に加わったブラック、2012年に加わったパープルである。同じ図柄で色だけが違うため、混ぜて使っても構成が崩れない。

背景とエピソード

生産中止と復活

1974年、アラビアは製品の構成を縮小し、パラティッシも一度生産を終えた。1988年にカラーが生産を再開し、このときプレートの形状が楕円から円形へ変更された。ブラックの復活は2000年にあたる。

日本での展開

2007年、日本からの要望を受けてブラックの生産が再開された。2009年には日本の販売店による別注で楕円形のプレートが復刻され、現在は定番の構成に加えられている。

評価と影響

同じフィンランドのティーマが模様を持たず形と色だけで構成されるのに対し、パラティッシは絵付けを主題としている。どちらも一点ずつ選んで組み合わせる売り方をとる。

現行品はビトロポーセリン製で、電子レンジ・オーブン・食器洗浄機に対応する。縁が立ち上がった形状のため、汁気のある料理も扱える。

基本情報

名称(日本語) パラティッシ
名称(英語) Paratiisi
デザイナー ビルガー・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)
ブランド アラビア(Arabia)/イッタラグループ(Iittala Group)
デザイン年 1969年
分類 テーブルウェア(キッチン)
素材 ビトロポーセリン(磁器)※初期生産品はファイアンス陶器
製造国 タイ(2016年まではフィンランド製)
カラーバリエーション カラー(ブルー&イエロー)、ブラック(ブラック&ホワイト)、パープル
主なアイテム プレート(14cm / 16.5cm / 21cm / 26cm)、オーバルプレート(25cm / 36cm)、ボウル(13cm / 17cm / 23cm)、マグ(0.24L / 0.35L)、カップ&ソーサー(コーヒー180ml / ティー280ml)、ピッチャー、ジャー 他
装飾技法 シルクスクリーン印刷
対応機器 電子レンジ、オーブン、冷凍庫、食器洗浄機 対応(現行ビトロポーセリン製品)
モチーフ パンジー、カシス(黒スグリ)、ぶどう、りんご 等の花と果実
生産期間 1969年–1974年(初期生産)、1988年–現在(カラー再生産以降、継続生産中)