AJ テーブルランプ──直線と斜角で構成された照明

1957年、デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンは、コペンハーゲンに開業するSASロイヤルホテルのために、建築から家具、照明までを一貫して設計するトータルデザインを進めていた。AJ テーブルランプはその一環として生み出された照明で、円錐形のシェード、細いステム、円形のベースという直線と斜角で構成された造形を特徴とする。ルイスポールセンが製品化して以来、60年以上にわたり生産が続けられている。

デザインの特徴とコンセプト

AJ テーブルランプの造形は、円錐形のシェード、細いスチールのステム、そして円形のベースという三つの要素で構成される。直線と斜線、直角と鋭角の組み合わせによって生まれるシルエットは、同時期にヤコブセンが手がけたソファシリーズ「3300」や、SASロイヤルホテルの幾何学的な外形と呼応しており、空間全体を統一するデザインの一部として構想された。

シェードは上下方向に可動域を持ち、光の向きを調節できる。内側はマットホワイトに塗装され、光源からの光を柔らかく拡散させることで、グレアの少ない下方照射を実現する。細部の接合や角度は精密に設計されており、作業灯・読書灯としての実用性を備えている。

ベース部分に設けられた円形の窪みは、もともと灰皿を置くためのものであったとされるが、現在ではデザイン上の要素として、シェードの円錐形と呼応する造形的な均衡を生んでいる。

SASロイヤルホテルと製品化

AJ ランプは1957年にベルリンの国際建築展「インターバウ(Interbau)」で初めて用いられ、翌1958年にはパリの展覧会「フォルム・スカンディナーヴ」でSASロイヤルホテル用の家具群とともに発表された。1960年にホテルが開業すると、ロビーをはじめとする館内にはステンレススチール製と銅製のAJ ランプが配された。「エッグチェア」や「スワンチェア」が有機的な曲線で空間を彩る一方、AJ ランプは鋭角的なシルエットでグラフィカルなコントラストを生み、ホテルのインテリアを構成する要素のひとつとなった。

評価と展開

AJ ランプシリーズは、ヤコブセンの照明のなかでも世界的に広く知られたデザインとして、製造元のルイスポールセンからも紹介されている。直線と角度のみで構成された造形と、グレアを抑えた下方光という機能性を両立させた点が、長く評価されてきた理由である。テーブルランプのほか、フロアランプ、ウォールランプが同じデザイン言語で展開されている。

2020年にはSASロイヤルホテル開業60周年を機にステンレススチール仕上げが展開され、2023年にはグラフィックアーティストのクララ・フォン・ツヴァイベルクとの協業により、ウォームサンド、ソフトレモン、ダスティブルー、ウォームグレー、エレクトリックオレンジの5色が加えられた。こうした新色や仕上げの追加により、現在も継続的に展開されている。

基本情報

作品名 AJ テーブルランプ / AJ Table Lamp
デザイナー Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン / 1902–1971 / デンマーク)
ブランド Louis Poulsen(ルイスポールセン)
デザイン年 1957年
製造国 デンマーク
素材 シェード・ステム:スチール / ベース:ダイキャスト亜鉛
サイズ H560 × W215 × D350 mm
重量 約2.1 kg
光源 E26 LED電球(別売)
カラー ポリッシュ・ステンレス、ブラック、ホワイト、ペール・ペトローリアム、ウォームサンド、ソフトレモン、ダスティブルー、ウォームグレー、エレクトリックオレンジ 他
参考価格 約133,100円〜169,400円(税込・仕上げにより異なる)
分類 テーブルランプ / デスクランプ