酸化ホウ素を加えて熱膨張率を下げたガラス。急な温度差でも割れにくく、耐熱ガラス・硬質ガラスとも呼ばれる。

ホウケイ酸ガラス

ホウケイ酸ガラスとは、二酸化ケイ素に酸化ホウ素を加えて熱膨張率を下げたガラスのこと。英語では borosilicate glass と表記し、耐熱ガラス、硬質ガラスとも呼ばれる。

解説

ガラスが急な温度差で割れるのは、熱くなった側と冷たいままの側で伸び方が違い、内部に力が生じるためである。伸び縮みの量そのものが小さければ、この力も小さくなる。窓や瓶に使われるソーダ石灰ガラスは酸化ナトリウムなどのアルカリ成分を多く含み、これが熱膨張率を大きくしている。アルカリの一部をホウ酸に置き換えたものがホウケイ酸ガラスで、同じ温度差を与えても生じる力が小さく、割れにくい。

日本産業規格では、熱膨張係数とアルカリ溶出量によって二つの等級を定めている。熱膨張係数が35×10⁻⁷/℃以下でアルカリ溶出量が0.1ml/g以下のものをJR-1、55×10⁻⁷/℃以下で0.20ml/g以下のものをJR-2とする。数値が小さいほど温度差に強い。なお「硬質ガラス」の硬質は熱への強さを指す言い方で、傷の付きにくさを表すものではない。

アルカリが少ないことは、薬品への強さにもつながる。フッ化水素酸と熱いリン酸を除くほとんどの酸に侵されないため、ビーカーやフラスコといった実験器具の材として広まった。19世紀末にドイツで、1915年にはアメリカで、それぞれ商標を伴う製品が現れている。

家庭の器具でこの材が選ばれるのは、熱湯を注ぐ場面があるからである。BODUMChemexの抽出器のように、湯を注いで中身を見ながら使う器具では、耐熱性と透明性の両方が要る。実験器具の漏斗とフラスコを組み合わせる構想から生まれたChemex コーヒーメーカーは、その出自を形に残した例にあたる。

扱いのうえで注意が要るのは、割れにくいのは温度差に対してであって、落下や打撃に対してではない点である。熱による破損が起きにくいぶん、この材の器具は直火や電子レンジに使えると誤解されやすいが、可否は製品ごとに定められている。

ソーダ石灰ガラスとの違い

比較項目 ホウケイ酸ガラス ソーダ石灰ガラス
主な成分 二酸化ケイ素、酸化ホウ素 二酸化ケイ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウム
熱膨張率 小さい 大きい
温度差への強さ 強い 弱い
主な用途 実験器具、耐熱の調理器具、抽出器 窓、瓶、食器
価格 高い 安い

Reference

ガラスの種類と特長(モノタロウ)
https://www.monotaro.com/note/productinfo/glass/
ガラス|技術用語集(ウシオ電機)
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ka/glass.html
熱に強いガラスとは?耐熱ガラスの秘密と選び方(AGC Glass Plaza)
https://www.asahiglassplaza.net/knowledge/rg_knowledge/vol32/

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