Chemex(ケメックス)
Chemexは、米国マサチューセッツ州チコピーに拠点を置くコーヒー器具のメーカーである。1941年、ドイツ出身の化学者Peter Schlumbohm(1896年〜1962年)が、実験器具のホウケイ酸ガラスの漏斗とフラスコを組み合わせる構想から抽出器を考案した。上下を一体で成形したガラスの器と、木と革の握りを組み合わせる構成を持ち、現在も同じ形で生産されている。同社は創業家の系譜を継ぐ経営者のもとで事業を続けている。
事業と製造の実体
Chemexの製品を規定しているのは、化学の実験器具に由来する構造である。Schlumbohmは化学の博士号を持つ人物で、漏斗とフラスコという実験室の器具の組み合わせをそのまま抽出器へ転用した。ガラスは非多孔質のホウケイ酸ガラスで、匂いや油分を吸わず、熱衝撃に耐える。
器は上下を一体で成形する。中央がくびれた砂時計に近い形で、上部の漏斗と下部の器を継ぎ目なくつなぐため、接合部を持たない。ガラスは熱を伝えやすいため、注ぎ口の付近に木の握りを当て、革紐で締めて固定する構成が採られた。
漏斗の内側には空気の通り道となる溝が設けられる。濾紙を折って入れると、この溝を通じて空気が抜け、抽出中に濾紙が壁面に密着しない。専用の濾紙は一般の円錐形の濾紙より厚く作られ、微粉と油分の通過を抑える。抽出の速度は濾紙の厚みによって決まるため、器と濾紙は一体で設計されている。
現在も同社は器と濾紙の双方を扱い、寸法の異なる複数の型を生産している。
沿革
Peter Schlumbohmは1896年にドイツで生まれ、化学の博士号を取得した。1930年代に米国へ移り、以後多数の発明を手がけている。
1941年、実験器具の漏斗とフラスコを組み合わせる構想から抽出器を考案した。1942年から生産が始まっている。
1962年にSchlumbohmが死去したのち、同社は複数の経営者を経て事業を続けた。現在はマサチューセッツ州チコピーに拠点を置く。
ニューヨーク近代美術館は1943年2月18日にこの抽出器を取得し、収蔵番号51.1943として登録している。同館はSchlumbohmの設計による製品を21点所蔵しており、扇風機、水差し、酒器、湯沸かしなどが含まれる。
デザイナーとの協働
Chemexの製品開発は、創業者自身が設計と発明を担う構成で始まった。抽出の性能がガラスの形状と濾紙の厚みの関係に依存するため、機構と外形が分離しにくい。
Schlumbohmは生涯に多数の特許を取得しており、抽出器のほかにも家庭用の器具を手がけた。現在も原設計の構造を保った生産が続いている。
Peter Schlumbohmの設計思想や経歴について詳しくはPeter Schlumbohmプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
Chemex コーヒーメーカーは1941年考案の抽出器である。ホウケイ酸ガラスを上下一体で成形し、木の握りを革紐で固定する。漏斗の内側の溝によって抽出中の空気が抜ける構成を持つ。
このほか、専用の濾紙と、寸法の異なる複数の型を扱う。
基本情報
| ブランド名 | Chemex(ケメックス) |
|---|---|
| 考案 | 1941年 |
| 考案者 | Peter Schlumbohm(1896年〜1962年) |
| 本社所在地 | アメリカ合衆国マサチューセッツ州チコピー |
| 事業内容 | コーヒー抽出器および濾紙の製造・販売 |
| 公式サイト | https://chemexcoffeemaker.com |
Reference
- The Museum of Modern Art - Collection(収蔵データ)
- https://github.com/MuseumofModernArt/collection
- Chemex - 公式サイト
- https://chemexcoffeemaker.com