このページについて
ケメックス コーヒーメーカーは、ピーター・シュラムボームが1941年に考案した抽出器具である。上部と下部が一体のガラスで、専用のフィルターを用いる。木と革の部品を組み合わせる仕様がある。
このページでは、専用のフィルターを要すること、一体のガラスによる手入れの条件、寸法の選択、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ピーター・シュラムボーム博士の設計思想や経歴について詳しくはピーター・シュラムボーム プロフィールページをご覧ください。
ケメックス コーヒーメーカーのデザインストーリーについて詳しくはケメックス コーヒーメーカー紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
ケメックスはアメリカ・マサチューセッツ州チコピーの工場で製造されている。創業当時から変わらぬ製法で一つひとつ検査・研磨され、木製カラーと革紐は手作業で取り付けられる。日本国内ではインテリアショップ、コーヒー専門店、セレクトショップなどで正規品が流通している。
| 正式名称 | ケメックス コーヒーメーカー |
|---|---|
| ブランド | ケメックス |
| 生産国 | アメリカ |
| 素材 | ホウケイ酸ガラスの一体成形による。木と革の部品を組み合わせる仕様がある |
| フィルター | 専用のフィルターを用いる。別売 |
| 価格 | ケメックスは公式サイトで価格を公開している(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は取扱店により異なる |
| 収蔵 | MoMA ケメックス コーヒーメーカー(1941年) 収蔵番号 51.1943 |
サイズ展開
ケメックスは複数のサイズで展開されている。日本国内で流通している主要サイズは以下のとおりである。
| モデル | 3カップ | 6カップ | 10カップ |
|---|---|---|---|
| 型番 | CM-1C | CM-6A | CM-10A |
| 実容量 | 約450ml | 約900ml | 約1,500ml |
| 推奨人数 | 1〜2人 | 2〜4人 | 4〜8人 |
| サイズ | 約φ110×H215mm | 約φ130×H210mm | 約φ150×H240mm |
| 重量 | 約400g | 約680g | 約900g |
| 対応フィルター | 3カップ専用 | 6〜10カップ兼用 | 6〜10カップ兼用 |
| 参考価格(税込目安) | ¥7,200〜7,700 | ¥9,000〜9,700 | ¥11,000〜12,000 |
バリエーション
- クラシックシリーズ(ウッドカラー+革紐)
- 最もオリジナルに忠実なモデル。天然木のカラーと手結びの革紐が、ガラスの清潔感に有機的な温もりを添える。ケメックスの象徴的なデザインそのものである。
- ガラスハンドルシリーズ
- 木製カラーと革紐の代わりに、一体成型されたガラスのハンドルを持つモデル。全体がガラスのみで構成されるため、より清潔に保ちやすく、食洗機にも対応しやすい。3カップ用で¥9,000〜9,700(税込目安)。
- ハンドメイドシリーズ
- ガラス職人の手吹きによる限定モデル。通常の機械生産品とは異なる繊細な質感と、一点一点の個体差が魅力のプレミアムライン。
専用フィルター
ケメックスの味わいの核心を担うのが、専用に開発されたボンデッドフィルターである。通常のペーパーフィルターより約20〜30%厚く、二重構造を持つこの特殊フィルターが、コーヒーオイルや苦味成分、酸味を適度に除去し、クリアで雑味のない味わいを実現する。漂白タイプと無漂白(ナチュラル)タイプがあり、100枚入りで¥2,000〜2,200(税込目安)。3カップ用と6〜10カップ兼用のサイズが展開されている。フィルターはFSC認証を取得した持続可能な森林管理のもとで生産され、生分解性・堆肥化可能な素材が使用されている。
専用のフィルターを要すること
専用のフィルターを用いる。一般的な円錐形のフィルターとは形状と厚みが異なり、代用できない。
フィルターは別売にあたる。使い続けるかぎり継続して購入することになる。入手できる経路を購入前に確かめる。
厚みのあるフィルターのため、抽出に時間がかかる。湯を注ぐ速さも、この厚みを踏まえることになる。
フィルターの折り方によって、器具に接する面が変わる。折り目の重なる側を注ぎ口の側へ向ける。
選び分けの目安
- 継続して使う前提の場合
- 専用のフィルターを継続して購入することになる。入手の経路を先に確かめる。
- 抽出の時間を考える場合
- 厚みのあるフィルターのため時間がかかる。湯を注ぐ速さも変わる。
- 他の器具と併用する場合
- フィルターは代用できない。器具ごとに用意することになる。
一体のガラスによる手入れ
上部と下部が一体のガラスで成形される。継ぎ目がなく、分解できない。
そのため、内部の洗浄は開口部から行うことになる。手が入らない箇所は、柄の長い道具を用いる。
ホウケイ酸ガラスは熱に強い。ただし急な温度の変化には注意する。冷えた状態に熱湯を注がない。
木と革の部品を組み合わせる仕様では、洗浄の際にこれらを外す。革は水に弱い。
選び分けの目安
- 手入れの手間を考える場合
- 分解できないため、内部の洗浄は開口部から行う。柄の長い道具が要る。
- 木と革の部品がある仕様の場合
- 洗浄の際に外す。革は水に弱い。
- 食器洗い機を用いる場合
- 木と革の部品を外す。ガラスのみの扱いになる。
使用感と設置条件
抽出の手順
フィルターを開口部に置き、湯で濡らしてから粉を入れる。湯を注ぎ、抽出された液が下部に落ちる。
厚みのあるフィルターのため、抽出に時間がかかる。湯を注ぐ速さを調整する。
抽出が終わったら、フィルターを取り出して捨てる。
注ぎ方
注ぎ口から注ぐ。一体のガラスのため、器具全体を傾けることになる。
木と革の部品を組み合わせる仕様では、この部分を持つ。持ちやすさが変わる。
置き場所
ガラスのため、硬い面に置く際は注意する。落とすと割れる。
木と革の部品は水に弱い。濡れた状態で放置しない。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
ガラスは経年で変質しない。ただし傷が付くと、そこから割れやすくなる。
内部にコーヒーの成分が付着する。放置すると色が残る。
木の部品は水分を吸う。濡れた状態が続くと変形する場合がある。
革の紐は使用と乾燥によって硬くなる。切れた場合、交換の可否を確認する。
日常の手入れ
- ガラス
- 使用のたびに洗う。柄の長い道具で内部を洗う。コーヒーの成分は放置すると色が残る。
- 木の部品
- 洗浄の際に外す。水分を残さない。
- 革の紐
- 水に濡らさない。外して保管する。
- 避けること
- 冷えた状態に熱湯を注がない。硬い面に強く置かない。
部品の交換
木と革の部品が傷んだ場合、交換の可否を取扱店に確認する。ガラスが割れた場合は本体の交換になる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
ケメックスは公式サイトで製品情報と価格を公開している。日本国内では、インテリアの取扱店とコーヒーの器具を扱う店で流通している。
専用のフィルターも継続して入手することになる。本体を扱う店で、フィルターの取り扱いもあわせて確かめる。
実物を確認する
寸法によって抽出できる量が変わる。使う人数から選ぶ。
木と革の部品を組み合わせる仕様では、持ったときの感触も現物で変わる。
中古の流通
相場は寸法、仕様、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、ガラスの傷とひび、内部の色の残り、木の部品の変形、革の紐の状態である。ガラスに傷があると、そこから割れやすくなる。
購入前チェックリスト
- 専用のフィルターを継続して購入すること(別売)
- フィルターの入手できる経路
- 寸法(抽出できる量)
- 木と革の部品の有無
- 分解できないこと(内部の洗浄は開口部から)
- 柄の長い洗浄の道具
- 冷えた状態に熱湯を注がないこと
- 中古の場合、ガラスの傷とひび
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- ケメックスは公式サイトで価格を公開しています(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は取扱店により異なります。
- どこで購入できますか?
- 日本国内では、インテリアの取扱店とコーヒーの器具を扱う店で流通しています。専用のフィルターも継続して入手することになるため、本体を扱う店でフィルターの取り扱いもあわせてお確かめください。
- フィルターは何を使いますか?
- 専用のフィルターを用います。一般的な円錐形のフィルターとは形状と厚みが異なり、代用できません。別売のため、使い続けるかぎり継続して購入することになります。
- 抽出に時間がかかりますか?
- 厚みのあるフィルターのため時間がかかります。湯を注ぐ速さも、この厚みを踏まえることになります。フィルターの折り方によって器具に接する面が変わるため、折り目の重なる側を注ぎ口の側へ向けてください。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(Chemex Coffee Maker、1941年、収蔵番号51.1943)。
- 洗いにくくありませんか?
- 上部と下部が一体のガラスで成形され、継ぎ目がなく分解できません。内部の洗浄は開口部から行うことになり、手が入らない箇所は柄の長い道具を用います。
- 熱湯を入れても大丈夫ですか?
- ホウケイ酸ガラスのため熱に強くなっています。ただし急な温度の変化にはご注意ください。冷えた状態に熱湯を注がないでください。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 使用のたびに洗ってください。コーヒーの成分は放置すると色が残ります。木と革の部品を組み合わせる仕様では、洗浄の際にこれらを外してください。革は水に弱く、木の部品は水分を吸って変形する場合があります。