1815年頃から1848年頃にかけて、ウィーンを中心とするドイツ語圏で広まった家具と室内の様式。金属の装飾を抑え、明るい色の木材と木目を生かした幾何学的な形をとる。
別表記:ビーダーマイヤー様式、ビーダーマイアー
ビーダーマイヤー
ビーダーマイヤーとは、1815年頃から1848年頃にかけて、ウィーンを中心とする中欧のドイツ語圏で広まった、装飾を抑えた幾何学的な形の家具と室内の様式のこと。ビーダーマイヤー様式とも呼ばれ、英語ではBiedermeierと書く。
解説
家具はアンピール様式から派生し、その硬い輪郭を和らげたものとされる。アンピール様式が金鍍金の青銅の装飾を多用したのに対し、ビーダーマイヤーの家具は金属の装飾をほとんど用いず、地域で採れる明るい色の木材と、その木目を表に出した。ブナ、クルミ、カエデのほかマホガニーの突板も使われ、黒く染めた部分や象嵌を控えめに添える例がある。形は直線と単純な曲面による幾何学的なものが多い。広まった地域は、オーストリアとドイツのほか、北イタリアと北欧に及ぶ。

従来は、台頭した中流市民の家庭のための様式と説明されてきた。家族が夕べを過ごす卓を中心に椅子を置く配置が、その暮らしを表すものとされる。一方、2006年から2008年にかけてミルウォーキー美術館からウィーン、ベルリン、パリへ巡回した展覧会「Biedermeier: The Invention of Simplicity」の図録では、もとは貴族や王侯が私的な住まいのために注文した様式で、のちに富裕な市民層へ広がったという見方が示されている。
名称は、中流市民の安逸を戯画化した人物「パパ・ビーダーマイヤー」に由来し、当初は揶揄の意味を含んでいた。ウィーンのダンハウザーの家具工場は完成品を並べて売る早い例で、同工場の1826年の椅子は、のちのトーネットの曲木椅子を先取りするものと評されている。前述の展覧会は、装飾を除いたこの様式の形を、モダニズムにつながるものとして位置づけた。
| 英語表記 | Biedermeier |
|---|---|
| 時期 | 1815年頃〜1848年頃 |
| 主な地域 | オーストリア(ウィーン)、ドイツ、北イタリア、北欧 |
| 主な材料 | ブナ、クルミ、カエデなど明るい色の木材、マホガニーの突板 |
Reference
- Encyclopaedia Britannica - Biedermeier style
- https://www.britannica.com/art/Biedermeier-style
- Nineteenth-Century Art Worldwide - Biedermeier: The Invention of Simplicity(展覧会評)
- https://www.19thc-artworldwide.org/autumn07/biedermeier-the-invention-of-simplicity