アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの3成分からなる熱可塑性樹脂。耐衝撃性と表面の光沢、成形のしやすさを併せもち、家電の筐体や収納家具に用いられる。

ABS樹脂

ABS樹脂とは、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)の3成分を共重合させてつくる熱可塑性樹脂のこと。名称は3成分の頭文字に由来する。

解説

3つの成分はそれぞれ異なる性質を受け持つ。アクリロニトリルは耐熱性と耐薬品性、ゴム成分であるブタジエンは衝撃に対する粘り強さ、スチレンは剛性と成形のしやすさ、表面の光沢をもたらす。もとはポリスチレンの割れやすさを改善するために開発された樹脂で、ゴムの粒子が樹脂の中に分散していることで、衝撃を受けても亀裂が広がりにくい。配合を変えることで、性質の釣り合いを用途に合わせて調整できる。

射出成形に向き、着色した樹脂をそのまま成形すれば、塗装をしなくても均一な色と艶のある面が得られる。家電や事務機器の筐体に広く使われてきたのはこのためで、家具では1960年代のイタリアで本格的に用いられた。アンナ・カステッリ・フェリエーリのコンポニビリは、ABS樹脂を一体成形した円筒形の収納である。ジョエ・コロンボのウニヴェルサーレ チェア 4867も当初はABS樹脂で生産され、後にポリプロピレンに切り替えられた。家具以外では、エットレ・ソットサスのタイプライターヴァレンタインが、金属板の外装をABS樹脂に置き換えている。

ポリプロピレンと比べると、硬く表面の光沢に優れる一方、紫外線には弱い。日光を長く浴びると、ブタジエン成分が劣化して黄変し、表面がもろくなる。そのため屋外での使用には向かず、屋内用の製品に用いられる。シンナーなどの有機溶剤にも侵されるため、汚れは中性洗剤を薄めた水で拭き取る。

Reference

ABS樹脂(日本大百科全書・世界大百科事典/コトバンク)
https://kotobank.jp/word/ABS%E6%A8%B9%E8%84%82-3145871
ABS(INEOS)
https://www.ineos.com/ja/industries/products/polymers/ABS/
幅広い工業製品で使われる素材「ABS」の長所とは(家電Watch)
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/kadenya/archive/1130418.html

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