ロフトは、ジャン=ルイ・ドメックが1950年に設計した多関節の作業灯である。もとは工場や作業台で使うための道具として作られ、当初はスタンダードの名で流通していた。

関節の内部に電線を通さない構造が、この照明の核にある。現在もリヨン近郊のジェルデの工房で一台ずつ手作業により製造されている。

特徴・コンセプト

通常、可動アームを持つ照明は関節の内部に電線を通す。動かすたびに線がねじれ、いずれ断線する。ドメックはこれを、関節そのものを通電経路にすることで解いた。関節には同心円状の接点が組み込まれ、銅・亜鉛・錫の合金であるクリソカルを用いる。

この構造により、アームは機械的な限界まで回転できる。どの方向へ何度動かしても線が切れない。日常的に位置を変えて使う作業灯にとって、これは決定的な違いになる。

アームは継ぎ足しと短縮の双方に対応する。長く伸ばして広い範囲を照らすことも、シェードを蝶番でベースに直付けして最小構成にすることもできる。同じ部材で用途に合わせた長さを組める。

装飾はなく、形は可動と強度だけで決まっている。むき出しの関節と、そこから伸びる直線的なアームが、そのまま外観になる。

背景

1940年代の終わり、機械工として働いていたジャン=ルイ・ドメックは、自分の仕事に適した照明を見つけられずにいた。そこで自ら図面を引き始める。求めた条件は三つ。単純であること、頑丈であること、そして必要な場所へ光を向けられる可動機構を備えること。

試作を重ね、1950年4月に設計が固まった。1951年から1952年にかけて生産の自動化を進め、1953年に自らの会社を設立する。社名のジェルデは、彼のイニシャルJLDのフランス語読みに由来する。

製品は工場や設計事務所、建築家の机の上へ急速に広がった。1983年のドメックの死後は、娘のマリー=フランソワーズ・ドメックが事業を継いでいる。

1980年代以降、この作業灯は用途を変えていく。実用品として使われていたものが、工業的な意匠を持つ室内の道具として受け止められるようになった。1987年、スタンダードはロフトへと改称される。この名称変更は、製品そのものではなく置かれる場所が変わったことを示している。

評価

関節を通電経路とする構成は、可動する照明の断線という課題に対する解答にあたる。

実務では、デスクランプとしても、フロアランプとしても使える。アームの構成を変えれば同じ製品が別の形式になる。長く使うほど金属の表面に変化が出るが、これは損耗というより経年の記録として受け止められている。

同じ工業用照明の系譜では、ランプ・グラ N°205が関節の摩擦だけで位置を保つ構成をとる。ジェルデの解答は、通電の問題を機構そのもので処理した点にある。

基本情報

デザイナージャン=ルイ・ドメック / Jean-Louis Domecq
設計年1950年(工業生産開始は1951年)
ブランドジェルデ / Jieldé(1953年設立)
カテゴリーテーブルランプ / デスクランプ
素材スチール、関節の接点にクリソカル(銅・亜鉛・錫の合金)
構造関節内に電線を通さず、同心円状の接点で通電
アーム継ぎ足し・短縮が可能
旧称スタンダード(1987年にロフトへ改称)
製造フランス・リヨン近郊(手作業)