概要

TMMは、ミゲル・ミラが1961年に設計したフロアランプである。十字の台に角材の支柱を立て、筒状の傘を支柱に沿って上下させる。

ミラが仲間と設立したトラモの最初期の製品にあたり、現在はサンタ&コールが製造する。1962年にADI FADの批評家賞を受けている。

特徴・コンセプト

3つの要素を分ける

照明は、支える構造、電気の部品、光を覆う傘の3つから成り立つ。TMMはこれらを1つの塊にまとめず、それぞれ独立した部材として扱う。

支柱は角材である。配線は支柱の側面に沿わせ、内部へ通さない。管の中を通せば断面を太くする必要が生じるが、外に出せば角材のまま細く保てる。交換や修理の際に分解を要さないという条件も、この構成から導かれている。

傘が上下する

傘は支柱を抱くように取り付き、手で押し上げれば任意の高さで止まる。機構を持たず、摩擦だけで位置を保つ。

床置きの照明でありながら、読書のための手元灯としても、部屋全体へ光を回す間接光としても使える。高さを変えることが用途の切り替えになっている。

手の届く技術で作る

ミラは自身を工業化以前の設計者と位置づけている。当時のスペインで入手できる材料と工程の範囲で成立させることが前提にあった。

木材と紙という素材の選択、機構を持たない高さの調節、外に出した配線は、いずれも特殊な設備を要さずに作れることと結びついている。

エピソード

自ら作るために

ミラは建築家のフランシスコ・リバス・バランジェ、エドゥアルド・ペレス・ウリバリとともにトラモを設立した。名称は「面倒な仕事」を意味するスペイン語の略にあたる。

戦後のスペインでは、設計した照明を製造して流通させる仕組みが十分でなかった。自ら製造と販売を引き受けるために設けられた会社である。

TMCとの関係

トラモの初期の製品には、同じ1961年のTMC フロアランプがある。こちらは金属の支柱を用いる。TMMは同じ構成を木の支柱に置き換えた型にあたる。

両者は傘を上下させるという点で共通し、素材の選択によって性格が分かれている。

評価と影響

一般的に、スペインの近代デザインを代表する照明のひとつとして扱われている。1962年のADI FAD批評家賞を受けた。

発表から60年以上を経て生産が続いている。支柱の樹種と傘の素材は複数の組み合わせから選べる。

基本情報

デザイナー ミゲル・ミラ
ブランド サンタ&コール(当初はトラモ)
発表年 1961年
デザインの成立国 スペイン
主要素材 木材の支柱と十字の台、紙または布の傘
高さの調節 傘を支柱に沿って上下させる。機構を持たない
受賞 ADI FAD 批評家賞(1962年)

Reference