概要
シンキング・マンズ・チェアは、ジャスパー・モリソンが1980年代半ばに設計した肘掛け椅子である。塗装した金属だけで構成し、閉じた面を持たない。
枠は管、座面と背もたれは平たい帯である。肘掛けの先端は円盤になり、飲み物を置ける。1988年からカッペリーニが製造している。
ジャスパー・モリソンの設計思想や経歴について詳しくはジャスパー・モリソン プロフィールページをご覧ください。
特徴・コンセプト
構造だけで成立させる
座面と背もたれは、幅の狭い帯を間隔をあけて並べる。板や張り地で覆わないため、内部と外部の区別がない。
身体を受ける部分は平たい帯、荷重を伝える枠は管という使い分けをとる。断面の形が役割を示しているため、どの部材が何を担うかが外から読み取れる。
屋外を前提とする
面を閉じない構成は、雨水が溜まらないことにつながる。当初から屋内と屋外の双方での使用が想定されている。
初期には錆止めの塗料が用いられた。装飾のためではなく機能のための塗装であることが、色の選択の理由にあたる。
肘掛けの先の円盤
肘掛けは前方へ伸び、先端で水平の円盤になる。長く座る姿勢を前提とし、飲み物を置く場所を椅子の側に持たせている。
別に卓を置く必要がないため、椅子だけで完結する。
エピソード
座布団を外した椅子
設計者自身の記述によれば、着想は1985年に見た古い椅子にある。修理のため座布団を外した状態で、そのほうが興味深く見えたという。
ここから、構造だけで閉じた面を持たない椅子という方針が定まった。最初の試作は1985年12月にあたる。
名称の由来
当初は飲み物を置ける点から別の名称が考えられていた。模型をつくるためのパイプクリーナーを買った帰り、その袋にあった標語を目にして現在の名称に改めたと設計者は書いている。
寸法の書き込み
この椅子は日本での展示のために作られた。完成したものを見た設計者は、あまりに素っ気なく見えたため、寸法を白墨で書き込んで整髪料で定着させた。
装飾の代わりとして加えられたものだが、現在も一部の仕様では枠の曲率を示す書き込みが再現されている。
生産に至るまで
1987年、ロンドンのアラムでの展示に出品された。これを見たジュリオ・カッペリーニが製造を申し出ている。
カッペリーニでの生産は1988年9月のミラノ・フェアで始まった。
評価と影響
一般的に、1980年代の装飾的な傾向に対して構成の簡潔さを示した作例として扱われている。設計者とカッペリーニの協働の最初の製品にあたる。
発表から35年以上を経て生産が続いている。屋外での耐候性を高めた仕様も加わった。
基本情報
| デザイナー | ジャスパー・モリソン |
|---|---|
| ブランド | カッペリーニ |
| 発表年 | 1986年(生産開始は1988年) |
| デザインの成立国 | イギリス |
| 主要素材 | 塗装した金属(枠は管、座面と背もたれは平たい帯) |
| 肘掛け | 先端が水平の円盤になり、飲み物を置ける |
| 屋外での使用 | 当初から想定されている。耐候性を高めた仕様もある |
カッペリーニの歴史や他の製品について詳しくはカッペリーニ ブランドページをご覧ください。
Reference
- Thinking Man's Chair | Jasper Morrison
- https://jaspermorrison.com/projects/chairs/thinking-mans-chair
- Thinking Man's Chair by Jasper Morrison | Cappellini
- https://www.cappellini.com/ww/en/products/thinking-man-s-chair.html