概要
アンティボディは、パトリシア・ウルキオラが2006年にモローゾのために設計した寝椅子である。同じ構成の椅子も展開されている。
三角形に縫った花弁状の部材を連ね、それ自体を支持面とする。ステンレス鋼の枠に取り付ける。
パトリシア・ウルキオラの設計思想や経歴について詳しくはパトリシア・ウルキオラ プロフィールページをご覧ください。
特徴・コンセプト
張り地が構造になる
張り地の家具では、枠に詰め物を載せ、その上を布や革で覆う。張り地は表面を仕上げる材であり、荷重は枠と詰め物が受ける。
この寝椅子では、縫い合わせた面がそのまま身体を支える。フォームと網を接着した生地が張力を受け持つため、内部に詰め物の層を持たない。縫製という工程が構造の役割を担っている。
三角形を単位とする
花弁は三角形を基本とし、これを連ねることで曲面が生じる。平面の部材だけで三次元の形をつくる方法にあたる。
単位の向きと数を変えれば、覆う範囲も変えられる。寝椅子と椅子で同じ方法が用いられているのは、この性質による。
表裏で異なる素材
生地は表と裏で異なる。フェルトと羊毛の織物、あるいは羊毛の織物と革が組み合わされる。
花弁を上に向けるか下に向けるかで、見える側の素材が入れ替わる。上向きでは花弁の輪郭が立ち、下向きでは縫い目が並ぶ面になる。同じ製品でありながら、取り付けの向きによって性格が分かれる。
エピソード
詰め物を持たない座具として
設計者の記述によれば、この製品は詰め物を持たない座具の形を探す試みから始まっている。寝椅子と椅子の双方が同じ検討から生まれた。
細胞が分かれて増えるように、三角形の単位を連ねて全体をつくるという構想が置かれている。
評価と影響
一般的に、縫製の工程を構造として用いた作例として扱われている。設計者は繊維の扱いを主題とする仕事を複数手がけており、その一つにあたる。
色は白と黒の組み合わせのほか、自然な色調と多色の配色を組み合わせた仕様がある。
受賞・収蔵
シカゴ美術館が収蔵している(Antibodi Chaise、2006年、収蔵番号 2007.398)。
基本情報
| デザイナー | パトリシア・ウルキオラ |
|---|---|
| ブランド | モローゾ |
| 発表年 | 2006年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 主要素材 | フェルト、羊毛の織物、革、ポリウレタンフォーム、合成繊維の網、ステンレス鋼 |
| 構造 | 縫い合わせた面がそのまま支持面になる。内部に詰め物の層を持たない |
| 向き | 花弁を上に向けるか下に向けるかで見える側の素材が入れ替わる |
モローゾの歴史や他の製品について詳しくはモローゾ ブランドページをご覧ください。
Reference
- Antibodi | Patricia Urquiola
- https://patriciaurquiola.com/product/antibodi
- Antibodi Chaise | The Art Institute of Chicago
- https://www.artic.edu/artworks/192672/antibodi-chaise