MOROSO(モローゾ)

MOROSO(モローゾ)は、1952年にイタリア北東部ウディネに設立された、ソファ、アームチェア、家具アクセサリーを専門とするイタリアを代表する高級家具ブランドであります。創業者アゴスティーノ・モローゾと妻ダイアナの手により誕生したこのブランドは、伝統的な職人技術と革新的な工業デザインを大胆に融合させることで、家具という概念に現代アート、ファッション、デザインの要素を組み込むという、当時としては革新的なアプローチを確立いたしました。

現在は第二世代へと継承され、CEOロベルト・モローゾとアートディレクターのパトリツィア・モローゾによる経営体制のもと、世界のモダンデザイン界を代表する国際的ブランドとして確固たる地位を築いております。その比類なき創造性と品質は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリのパレ・ド・トーキョー、国立グラン・パレ美術館、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館など、世界の名だたる美術館や展覧会において高く評価され、その作品が永久コレクションとして収蔵されております。

ブランドの哲学とコンセプト

MOROSOの企業哲学は、戦後イタリアが掲げた「物事を成し遂げる(doing things and doing them well)」という文化的精神性に深く根ざしております。このビジョンは、単に家具を製造するという域を超え、美、感情、デザイン、芸術への真摯な情熱を体現するものであります。

ブランドの核心には、職人的な製品製造へのアプローチと、設計段階における卓越した創造性という二つの柱が存在いたします。これらは相互に補完し合いながら、市場において製品品質、革新性、創造性において卓越した地位を確立する基盤となっております。MOROSOは自社のデザインを「ユニーク」と表現いたしますが、これは単なる修辞ではなく、各作品が持つ独自性と革新性への揺るぎない自信の表明に他なりません。

さらに、MOROSOは家具製造者としての環境的責任を真摯に果たすブランドとして知られております。製品の多くに使用されるポリウレタンフォームは完全焼却およびリサイクルが可能であり、その過程において一切の有害物質を排出いたしません。このような環境への配慮は、品質と環境が密接に関連しているという同社の信念を体現するものであり、生産プロセスにおいて可能な限り天然またはリサイクル可能な安全な材料を使用することで、真に持続可能な家具製造を実現しております。

ブランドヒストリー

1952年、アゴスティーノ・モローゾと妻ダイアナは、イタリア北東部の美しい都市ウディネに小さな家具工房を設立いたしました。創業当初から家族経営という伝統を守りながらも、同社は設立後わずか数年のうちにイタリア家具業界においてその名を広く知られる存在となりました。この急速な成長の背景には、古くから伝わる伝統的職人技と、戦後イタリアで飛躍的な発展を遂げた工業技術を大胆に組み合わせるという、前例のない革新的アプローチがございました。

1980年代に入り、第二世代がブランドの舵取りを担うようになると、MOROSOは本格的な作家性を追求するデザイン研究プログラムを開始いたしました。この転換期において、家具というプロダクトにアートやファッションの要素を組み込むというユニークなスタイルが業界内で大きな話題となり、MOROSOの独自性を決定づける重要な転機となりました。

1994年には、イタリアの布張り椅子メーカーとして初めてISO 9001(品質マネジメント及び品質保証の国際認証)を取得し、最高品質を目指す同社の姿勢を明確に示しました。さらに1999年には、インテリアメーカーとして第一号となるISO 14001(環境マネジメントシステムの国際認証)を取得し、品質と環境保護への真摯な取り組みを国際的に認められました。加えて、OHSAS 18001(労働安全衛生に関する国際規格)の取得により、万全な環境下でのものづくりを確立しております。

創業から70年以上を経た現在、MOROSOは国際的デザイン界のオートクチュールとして位置づけられ、布張り家具製造における世界的リーディングカンパニーとしての地位を不動のものとしております。その製品は、住宅、オフィス、ホテル、空港、商業施設、劇場、美術館、さらには豪華客船に至るまで、世界中のあらゆる空間において愛用されております。

世界的デザイナーとの協働

MOROSOの真髄は、世界を代表する錚々たるデザイナーとの深い協働関係にあります。ロン・アラッド、パトリシア・ウルキオラ、ロス・ラブグローブ、コンスタンチン・グルチッチ、アルフレッド・ハベリ、喜多俊之、マルセル・ワンダース、吉岡徳仁、エンリコ・フランゾリーニ、ドシ&レビエン、トード・ボーンチェ、ネンドー、フロントなど、デザイン界において知らぬ者はいないほどの著名デザイナーたちがMOROSOのために作品を生み出してまいりました。

パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)

1961年スペイン・オビエド生まれのパトリシア・ウルキオラは、マドリード工科大学で建築を学び、ミラノ工科大学においてアッキーレ・カスティリオーニの指導のもと研鑽を積みました。ヴィコ・マジストレッティとの協働を経て、2001年に自身のスタジオを設立。自然素材やクラシックなモチーフを取り入れたモダンかつ女性的な作品を次々と発表し、現代を代表するデザイナーの一人として高い評価を得ております。

MOROSOにおける彼女の代表作には、花(bloom)をモチーフにした「BLOOMY(ブルーミー)」アームチェアがございます。包み込まれるような優しいフォルムとファスナーがアクセントとなったユニークな造形が印象的で、優しく体を包み込む座り心地と滑らかな手触りが高級感と存在感を醸し出します。また、「Tropicalia(トロピカリア)」は華奢なステンレススチールフレームに繊細な編込みデザインを施した、フェミニンな雰囲気を纏う傑作であり、「Lowseat(ローシート)」シリーズは洗練されたモダンデザインの象徴として世界中で愛されております。

ロン・アラッド(Ron Arad)

1951年イスラエル・テルアビブに生まれたロン・アラッドは、エルサレム芸術学院で学んだ後、ロンドン建築協会(AA)を卒業し、ロンドンに移住いたしました。1981年にキャロリン・トールマンと共にデザインスタジオ「OneOff(ワン・オフ)」を設立し、1983年にローバー社の廃車シートと鉄パイプで制作した「ローバーチェア」により華々しいデビューを飾りました。1997年からは英国王立芸術大学院(RCA)の教授を務め、アートとデザインの境界を超える活動を展開し続けております。

MOROSOにおいては、「Little Albert(リトルアルベルト)」が彼の独創性を見事に体現しております。重厚感あるずっしりとしたフォルムと、フェミニンな曲線使いや艶感が美しく調和し、独特の存在感を発揮いたします。また、「Victoria and Albert(ヴィクトリア・アンド・アルバート)」ソファは、彫刻的なフォルムが特徴的な傑作として知られております。ロン・アラッドの作品は、常にプロダクト・デザイナーの枠に収まることのない、彫刻家、職人としての情感に満ちた美しさと、軽やかで実用性に富んだ家具の完璧な融合を示しております。

喜多俊之(Toshiyuki Kita)

1942年大阪府出身の喜多俊之は、浪速短期大学(現・大阪芸術大学短期大学部)デザイン美術科で工業デザインを学び、1969年からイタリア・ミラノを拠点に国際的な活躍を展開してまいりました。家具デザインのみならず、家電、日用品などあらゆる分野でヒット商品を手掛ける傍ら、日本伝統工芸の再生にも尽力されております。その作品の多くは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリのポンピドゥーセンターなど、世界の名だたる美術館の永久コレクションとして収蔵されております。

MOROSOにおいては、ユニークなフォルムが印象的な「Saruyama(サルヤマ)」コレクションを展開しており、遊び心と機能性が見事に融合した作品として高い評価を得ております。

吉岡徳仁(Tokujin Yoshioka)

1965年長崎県生まれの吉岡徳仁は、千葉大学工学部卒業後、イギリス・ロンドンの王立美術大学院でデザインを学び、その後イタリア・ミラノに渡り、建築家ヴィコ・マジストレッティに師事いたしました。1993年にミラノにて「2.5dimensional design」を設立し、独自のデザイン言語を確立してまいりました。

MOROSOにおける代表作として、和モダンをコンセプトとした「Ukiyo(ウキヨ)」コレクションがございます。繊細な花びらを模した優美なデザインが美しい「Bouquet(ブーケ)」や、シンプルなイタリアンモダンを体現するアームチェア「MOON(ムーン)」など、日本の美意識とイタリアンデザインが見事に融合した作品群を創出しております。

これらの世界的デザイナーに加え、マーク・ニューソン、アントニオ・チッテリオ、カルロ・コロンボ、佐藤オオキ(nendo)など、多岐にわたる才能とのコラボレーションにより、MOROSOは類稀なる多様性と独創性を持つコレクションを構築してまいりました。各デザイナーが持つ異なる緯度と文化のエッセンスを内包しながらも、すべての作品が紛れもないMOROSOスタイルを纏っているという点に、このブランドの真の卓越性が表れております。

代表的なコレクションとプロジェクト

MOROSOの多彩なコレクションは、それぞれが独自の物語と革新性を持ち、現代デザインの歴史において重要な位置を占めております。

パトリシア・ウルキオラによる「BLOOMY」は、会議や宴会場で使用できるアームチェアのデザインを依頼され制作された一品であり、花をモチーフにした包容力のあるフォルムが、機能性と芸術性の完璧な調和を実現しております。「Tropicalia」は、明るく軽快な雰囲気を演出する華奢なフレームと繊細な編込みデザインが特徴で、MOROSOの色彩感覚と革新性を象徴する作品となっております。

ロン・アラッドの「Little Albert」は、空間において強烈なインパクトを与えるフォルムが印象的であり、重厚感と曲線美の絶妙なバランスが独特の存在感を生み出しております。その彫刻的なデザインは、家具とアートの境界線を曖昧にする、アラッドの芸術哲学の結晶であります。

特筆すべきは、世界的アパレルブランドDIESEL(ディーゼル)とのコラボレーションによって誕生した「Diesel Collection」であります。1978年にイタリアで設立され、個性的で斬新なデザインで知られるDIESELの精神性と、MOROSOの家具製造技術が融合し、デニムやロックをモチーフにしたカジュアルで個性的なデザインが実現いたしました。このコラボレーションは、家具とファッションの境界を超えた革新的な試みとして高く評価されております。

また、「M'Afrique」コレクションに代表されるように、MOROSOは世界各地の文化や伝統を尊重し、それらを現代的な文脈で再解釈するプロジェクトにも積極的に取り組んでおります。これらの活動は、デザインが単なる機能性の追求ではなく、文化的対話と社会的責任の表現であるという、同社の深い理解を示すものであります。

品質への徹底的なこだわり

MOROSOの製品品質は、厳選された素材、熟練した職人による細部へのこだわり、そして最先端の生産技術の完璧な融合によって実現されております。同社は購入後も製品のライフサイクルを長く保つことができるよう、7年間にわたり交換部品を提供することを約束しており、この姿勢は真の品質への責任を体現するものであります。

素材の選定においては、ポリウレタンフォームをはじめとする環境に配慮した材料を採用し、完全焼却やリサイクルが可能でありながら、その過程で一切の有害物質を排出しないという基準を満たしております。この環境への真摯な取り組みは、ISO 14001の認証取得によって国際的に認められており、持続可能な製品づくりにおける業界のベンチマークとなっております。

職人技術の継承と革新的製造技術の統合により、MOROSOは各製品に独自性を付与しております。マスタークラフトマンとテーラーによる精密で丁寧な作業、素材と仕上げの慎重な選択、そして小ロット生産やカスタマイゼーションへの対応能力は、大量生産では決して達成できない品質水準を可能にしております。

さらに、各デザイナーの異なるビジョンと感性を解釈し、その重要性を認識する芸術的品質、そして知識を重視し、製品に貢献するすべての人々(スタッフ、サプライヤー、パートナー、顧客)の仕事を尊重する倫理的品質により、MOROSOの製品は単なる家具を超えた、文化的価値を持つ作品として昇華されております。

国際的評価と展開

MOROSOの国際的な視野は、同社を世界で最も美しいデザイン空間へと導いてまいりました。ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリのパレ・ド・トーキョー、国立グラン・パレ美術館、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展覧会、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館など、世界を代表する文化施設において、MOROSOの作品は永久コレクションとして収蔵されております。

住宅用途のみならず、ホスピタリティ(ホテル、レストラン)、コーポレート(オフィス、企業施設)、教育施設、公共空間、船舶、劇場、オーディトリアムなど、あらゆる空間においてMOROSOの家具は採用されております。その多様性と適応性は、各プロジェクトの個別ニーズに応えながらも、一貫したデザイン哲学を維持するという、同社の卓越した能力を証明するものであります。

世界最大の国際家具見本市として知られるミラノサローネをはじめとする数々の展示会において、MOROSOのコレクションは常に高い評価を受けてまいりました。その革新的なデザインと卓越した品質は、業界関係者のみならず、世界中のデザイン愛好家から熱烈な支持を集めております。

ブランドが体現する価値

MOROSOのストーリーは、市場に対する異なるアプローチについての物語であります。それは、デザインとプロジェクトによって語られる物語であり、現代生活の主人公たちが、美、感情、デザイン、芸術への真摯で自発的な情熱を語る物語であります。60年以上にわたり、生産方法と労働方法、各製品への職人的配慮、サプライヤーや顧客との誠実で直接的な関係に対して、日々示してきた献身の物語でもあります。

この能動的で応答的なアプローチは、堅固な財務基盤を確保することに貢献し、産業から芸術に至るまで、関わるすべての人々と共有され、恩恵をもたらす長期的な経済的価値を創造してまいりました。成長、発展、そして新しいアイデアへの受容性は、尊重があってこそ可能となります。これこそが、デザインの美しさであり、生き方を包含するプロジェクトであり、世界観なのであります。

ミラン・クンデラの言葉を借りるならば、「Einmal ist keinmal(一度きりは一度もないに等しい)」。繰り返されないものは単なる偶然であり、語るに値しないものであります。研究、才能、専門知識、地理的条件——MOROSO製品の品質は、各製品をユニークなものにするすべての要素の総和であります。それは単なる家具ではなく、時代を超えて愛される文化的遺産として、未来へと継承されるべき価値を持つ作品なのであります。

基本情報

ブランド名 MOROSO(モローゾ)
設立 1952年
創業者 アゴスティーノ・モローゾ(Agostino Moroso)、ダイアナ・モローゾ(Diana Moroso)
本社所在地 イタリア・ウディネ(Udine, Italy)
現経営陣 CEO: ロベルト・モローゾ(Roberto Moroso)
アートディレクター: パトリツィア・モローゾ(Patrizia Moroso)
主要製品 ソファ、アームチェア、チェア、テーブル、家具アクセサリー、アウトドア家具
品質認証 ISO 9001(1994年取得)、ISO 14001(1999年取得)、OHSAS 18001
公式サイト https://moroso.it/
作品収蔵 ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パレ・ド・トーキョー、国立グラン・パレ美術館、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ヴィクトリア&アルバート美術館 他