ルネサンス期のイタリアで、君主や人文主義者が読書や瞑想、蒐集品の鑑賞のために設けた小さな書斎。
ストゥディオーロ
ストゥディオーロとは、15〜16世紀のイタリアで、君主や人文主義者が読書、思索、書簡の執筆、蒐集品の鑑賞のために設けた、小さな私的な書斎のこと。
解説
宮殿の大広間が客を迎える公的な空間だったのに対し、ストゥディオーロは主人がひとりで過ごすための部屋だった。多くは数メートル四方の小さな部屋で、壁一面を木象嵌(インタルシア)や絵画で覆い、書物、楽器、科学器具、古代の遺物などを収めた。
よく知られるのが、ウルビーノ公フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロが、ウルビーノとグッビオの二つの宮殿に設けたストゥディオーロである。グッビオのもの(1478〜82年ごろ)は、およそ4.9×3.7メートルほどの小部屋で、壁の木象嵌が、半ば開いた格子戸の奥の棚に並ぶ甲冑、楽器、書物を遠近法で描き出している。この部屋は現在メトロポリタン美術館に移設されており(収蔵番号39.153)、ウルビーノのものは今も元の宮殿に残る。

マントヴァのイザベッラ・デステが、絵画の主題まで指定して自らのストゥディオーロを整えたことも知られている。ストゥディオーロは、部屋の装飾そのものが持ち主の知識と関心を語る空間であり、のちのヨーロッパの書斎やキャビネット(蒐集室)の源流のひとつとされる。
16世紀には、フィレンツェのヴェッキオ宮殿にメディチ家のフランチェスコ1世が設けたストゥディオーロのように、壁の戸棚の扉を絵画で覆い、その奥に蒐集品を収める形式も生まれた。
Reference
- Studiolo from the Ducal Palace in Gubbio(The Metropolitan Museum of Art)
- https://www.metmuseum.org/art/collection/search/198556
- The Gubbio Studiolo and Its Conservation, Vol. 1(MetPublications)
- https://www.metmuseum.org/ja/met-publications/the-gubbio-studiolo-and-its-conservation-vol-1