光源が物体の色をどれだけ基準の光に近く見せるかを表す性質。JIS Z 8726では平均演色評価数Raなどの指数で数値化する。

演色性

演色性とは、ある光源で物体を照らしたときの色の見え方が、基準となる光で照らした場合とどれだけ一致するかを表す性質のこと。英語では color rendering と呼ぶ。

解説

評価方法は JIS Z 8726「光源の演色性評価方法」に定められている。あらかじめ決められた試験色を、評価したい光源と基準の光でそれぞれ照らし、生じた色ずれを指数に換算する。基準の光は絶対的に良い光を意味するのではなく、評価対象と同じ色温度における理想的な光源が用いられる。相関色温度が5000K未満であれば完全放射体の光、5000K以上であればCIE昼光が基準となる。

指数は色ずれが小さいほど大きな値をとり、上限は100である。試験色ごとの指数を特殊演色評価数Riと呼び、このうちR1からR8までの8色の平均が平均演色評価数Raである。カタログに単にRaと記載されるのはこの値で、中庸な8色の平均であるため総合的な目安として使われる。R9以降は個別の評価に用いられ、とくにR9は鮮やかな赤の再現性を示す。JISはCIEの規格に加えてR15(日本人の肌の色)を独自に設けているが、Raの算出はR1からR8で行うため両者の値は一致する。

数値をどこまで求めるかの手がかりは、規格の側にもある。JIS Z 9112は蛍光ランプとLEDについて、光源色の区分ごとに満たすべきRaの最低値を定めている。用途に応じた推奨最小値は JIS Z 9110「照明基準総則」が示しており、住宅の居室と美術品を扱う場所とでは求められる水準が異なる。まず用途からRaの下限を決め、そのうえで個別の色が重要かどうかを考える順序になる。

インテリアで演色性が問題になるのは、木材の色み、布地の織り、料理、肌の色など、彩度の判断が求められる場面である。Raが低い光源では、赤系や中間色が沈んで見えたり、意図した色と違って見えたりする。一方でRaは8色の平均値であるため、Raが高くても特定の色の再現性が低いことがある。赤の見え方が重要な場所では、RaだけでなくR9の値を確認する意味がある。

なお、Raが対象とする8色は彩度が中庸であり、LED光源の評価には十分でないという指摘が以前からあった。これを受けて北米照明学会がIES TM-30を、国際照明委員会が CIE 224:2017 を定めている。実在の物体から選んだ99色を用い、色の忠実さを忠実度指数Rf、彩度の広がりを色域指数Rgとして分けて示す方式で、TM-30-18以降はRfの値がCIE 224:2017と一致する。日本のカタログ表記は現在もRaが中心だが、数値が並記されている場合は両方を見る価値がある。

基本情報

英語表記 Color Rendering
主な指標 平均演色評価数 Ra(上限100)、特殊演色評価数 R1〜R15
Raの算出 試験色 R1〜R8 の平均
基準の光 相関色温度5000K未満は完全放射体の光、5000K以上はCIE昼光
関連規格 JIS Z 8726(評価方法)、JIS Z 9112(光源色ごとの区分)、JIS Z 9110(用途別の推奨値)

色温度との違い

色温度は光そのものの色みを表す値であり、演色性は照らされた物体の色の見え方を表す性質である。色温度が同じ2つの光源でも、分光分布が異なれば演色性は大きく変わる。両者は独立した指標であり、片方から他方を推定することはできない。

Reference

JIS Z 8726:1990 光源の演色性評価方法(日本規格協会)
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+Z+8726:1990
JIS Z 9112:2019 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分(日本規格協会)
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+Z+9112:2019
演色性|ライティング講座(岩崎電気)
https://www.iwasaki.co.jp/lighting/support/tech-data/knowledge/color-rendering/02.html
照明用LEDの演色性について(日亜化学工業)
https://led-ld.nichia.co.jp/api/data/spec/tech/SP-QR-C2-210735-1-J_Color%20Rendering%20Evaluation%20for%20LEDs%20for%20General%20Lighting.pdf
IES Position on TM-30-18(Illuminating Engineering Society)
https://ies.org/advocacy/ps-11-18/

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