概要
ヴィルヘルム・ラウリッツェン(1894-1984)は、デンマークの建築家である。1922年に事務所を開き、コペンハーゲンのラジオ放送局舎や空港の初代ターミナルを設計した。建物ごとに必要な照明を自ら設計する進め方をとり、そのうちいくつかがルイスポールセンから製品化されている。VL38はコペンハーゲン空港のために設計されたものにあたる。
バイオグラフィー
1894年9月10日、デンマークのシルケボーに生まれた。デンマーク王立芸術アカデミーで建築を学び、1921年に修了している。
1922年、コペンハーゲンに設計事務所を開いた。同事務所は現在もヴィルヘルム・ラウリッツェン・アルキテクテルとして続いている。
1930年代から40年代にかけて、コペンハーゲンのラジオ放送局舎(1934-45年)、空港ターミナル(1939年)、シェルハウスなどを手がけた。
これらの建物のために設計した照明のいくつかは、ルイスポールセンから製品として発表されている。1984年に没した。
デザインの思想と方法
ラウリッツェンの照明は、建物の設計から派生している。その部屋に必要な照度と光の質が既製品では得られないとき、自ら設計するという順序をとる。したがって照明は単体の製品としてではなく、空間の一部として構想されている。
光源を直接見せない
彼の照明は、どの角度から見ても光源が直接目に入らない構成をとることが多い。笠の形と開口の位置で、光は下方または壁面へ導かれる。放送局舎や空港のように長時間過ごす場所では、まぶしさを抑えることが条件になる。
建物の寸法体系に合わせる
照明の寸法は、天井の高さ、部屋の広さ、什器の配置から決まる。単体として最適な大きさではなく、その空間で成立する大きさを選ぶという順序である。
曲面で光を配る
VL38は、半球に近い笠と、その内側の反射面で構成される。反射面の曲率が配光を決めるため、外形の丸みは意匠上の選択ではなく光学的な条件から来ている。
機能主義の系譜
1930年代のデンマークで機能主義の建築を進めた設計者の一人にあたる。装飾を排し、平面と断面の構成から形を決めるという方向で、照明の設計もこの立場と一致している。
ルイスポールセンの歴史や他の製品について詳しくはルイスポールセン ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
コペンハーゲン ラジオ放送局舎(1934-1945年)
デンマークの放送局のための建物である。演奏用のホール、放送室、事務室という性質の異なる部屋を一つの建物に収める。音響の条件が平面と断面を規定し、照明もそれぞれの部屋に応じて設計された。
コペンハーゲン空港 初代ターミナル(1939年)
木造の空港ターミナルである。この建物のために設計された照明の一つが、のちにVL38として製品化された。2000年前後に建物は移築され、保存されている。
VL38 テーブルランプ
空港ターミナルのために設計された照明にあたる。半球に近い笠と内側の反射面で構成され、光源が直接見えない。反射面の曲率が配光を決める。ルイスポールセンが製品化している。→VL38 テーブルランプ
VL45 ラジオハウス ペンダント
ラジオ放送局舎のために設計された吊り照明である。乳白ガラスの球体を用い、内部に反射の要素を持つ。放送局舎の共用部で使われた。
シェルハウス(1934年)
コペンハーゲンの事務所建築である。第二次世界大戦中はドイツ軍に接収され、1945年の空襲で被害を受けた。戦後に再建されている。
評価と影響
ラウリッツェンは一般に、1930年代のデンマークで機能主義の建築を進めた設計者の一人と評価されている。ラジオ放送局舎は、音響の条件から平面と断面を決めた建物として言及される。
照明の設計は建物から派生したものだが、ルイスポールセンから製品化されたことで単体としても流通した。同社はポール・ヘニングセンをはじめ、建築家が設計した照明を製品化する例が多い。
1922年に開いた事務所は現在も続いており、デンマークで最も長く続く設計事務所の一つにあたる。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。デンマーク国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1934年 | 建築 | シェルハウス | コペンハーゲン、デンマーク |
| 1934-1945年 | 建築 | コペンハーゲン ラジオ放送局舎 | コペンハーゲン、デンマーク |
| 1939年 | 建築 | コペンハーゲン空港 初代ターミナル | カストルップ、デンマーク |
| 1930年代 | 照明 | VL38 テーブルランプ | Louis Poulsen |
| 1940年代 | 照明 | VL45 ラジオハウス ペンダント | Louis Poulsen |
| 1950-60年代 | 建築 | 事務所・公共建築 | デンマーク各地 |
プロフィール
| 生没年 | 1894年9月10日〜1984年 |
|---|---|
| 出身地 | デンマーク・シルケボー |
| 国籍 | デンマーク |
| 活動拠点 | コペンハーゲン |
| 分野 | 建築、照明 |
| 主な協働ブランド | Louis Poulsen |
Reference
- Vilhelm Lauritzen Arkitekter
- https://www.vla.dk/en/
- Vilhelm Lauritzen | Louis Poulsen
- https://www.louispoulsen.com/en/designers
- Danish Architecture Center
- https://dac.dk/en/