モデル75が長く愛される理由
モデル75は、デンマークの家具デザイナー、ニールス・オットー・モラーが1954年にデザインした北欧モダンを代表するダイニングチェアである。自ら設立したJ.L. Møllers Møbelfabrik(J.L.モラー・モーブゥファブリック)において製作されたこの椅子は、デンマーク家具の伝統的な職人技と戦後の機能主義的デザイン哲学が融合した逸品として、発表から70年以上を経た現在も世界中で高い評価を受け続けている。
アームレスの簡潔なフォルムに、ホゾとホゾ穴による伝統的な接合技法、そしてオーク材やビーチ材の無垢材フレームにペーパーコードまたはレザーの座面を組み合わせたモデル75は、北欧デザインが目指した「万人がアクセス可能な優れたデザイン」の理念を体現している。デンマーク・ヘイビャウの工場で今なお組立ラインを使わず、職人の手作業によって一脚ずつ丁寧に仕上げられるこの椅子は、現在も創業者の孫娘キルステン・モラーの指揮のもと、三世代にわたる品質への妥協なき姿勢が受け継がれている。
本ページでは、モデル75の購入を検討されている方に向けて、正規品の仕様・素材・価格、正規品とリプロダクトの違い、類似チェアとの比較、暮らしへの取り入れ方、メンテナンス方法、正規販売店の案内、よくある質問まで、購入判断に必要な情報を網羅的にお伝えする。
ニールス・オットー・モラーの設計思想や経歴について詳しくはニールス・オットー・モラー プロフィールページをご覧ください。
モデル75のデザインストーリーについて詳しくはモデル75紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
モデル75は、1944年にニールス・オットー・モラーが創業したJ.L. Møllers Møbelfabrikの現行コレクションとして、デンマーク・ヘイビャウ(オーフス郊外)の自社工場において製作され続けている。組立ラインを持たない工場で、各工程に特化した専門職人がホゾとホゾ穴による伝統的な接合技法を用いて一脚ずつ手作業で組み上げ、最終研磨まですべて手仕事で仕上げられる。以下に、現行正規品の詳細仕様を示す。
| 正式名称 | モデル75 / Model 75 |
|---|---|
| デザイナー | ニールス・オットー・モラー(Niels Otto Møller) / デンマーク / 1920–1981 |
| デザイン年 | 1954年 |
| 製造ブランド | J.L. Møllers Møbelfabrik(J.L.モラー・モーブゥファブリック) |
| 製造国 | デンマーク(ヘイビャウ工場) |
| フレーム素材・仕上げ | オーク材(オイル / ホワイトオイル / ソープ / ラッカー / スモーク / ブラックステイン)、ビーチ材(オイル / ソープ / ラッカー / ブラックステイン) |
| 座面仕様 | ナチュラルペーパーコード、ブラックペーパーコード、ファブリック(ウール70%・ビスコース30%等)、本革、合成皮革 |
| 座面構造(張り地仕様) | ポリウレタンフォームクッション |
| サイズ | 幅50cm × 奥行47cm × 高さ75cm |
| 座面高 | 44cm |
| 座面奥行 | 42cm |
| アームレスト | なし(アームチェアはモデル56として別途展開) |
| スタッキング | 不可 |
| 接合方法 | ホゾとホゾ穴(モーティス・アンド・テノン)による伝統的接合+ダボ嵌合 |
| 参考価格帯(税込目安) | 日本国内正規価格:約160,000〜200,000円(1脚・素材・座面仕様により変動)。欧州市場:約€800〜1,200程度 |
| 納期 | 受注生産品:約6〜7ヶ月(デンマークからの輸入。国内在庫品は即納の場合あり) |
| 受賞歴 | デンマーク家具賞(1974年、1981年)、デンマーク女王陛下御用達認定(1981年) |
| 関連モデル | モデル56(アームチェア)、モデル71、モデル77、モデル78、モデル80 |
モデル75の構造上の大きな特徴は、座面四隅における木製ダボの嵌合方式にある。この独創的な接合により、通常のダイニングチェアで不可欠とされる脚部のクロスコネクション(貫)がなくとも十分な強度が確保される。しかしモラーは、あえてクロスコネクションを通常よりも高い位置に配置することで、視覚的な軽快さを損なうことなく堅牢性をさらに高めるという、構造と美のバランスにおける卓越した判断を示した。先端に向かって徐々に細くなるテーパー脚と、フラットな木製のラダーバック(梯子型背もたれ)が生み出すプロポーションは、スカンディナビアデザインの簡潔さを体現している。
正規品とリプロダクトの違い
モデル75は北欧ヴィンテージ市場での人気の高まりとともに、正規品以外のリプロダクト(複製品)も市場に流通している。正規品はJ.L. Møllers Møbelfabrikがデンマーク・ヘイビャウの自社工場で製作する製品のみであり、それ以外の製品はすべてリプロダクトに該当する。両者の違いを理解することは、購入判断において重要である。
素材と製造の違い
正規品のフレームには、J.L. Møllers Møbelfabrikが厳選した高品質のオーク材またはビーチ材の無垢材が使用される。木材の選定は製品の品質を左右する重要な工程であり、モラー自身が「まず素材を見つけ、それから家具をデザインする」と語った通り、素材の質が設計の出発点となっている。リプロダクト品では、見た目は類似していても木材の品質や乾燥処理が正規品と同等であるとは限らず、経年での反りや割れのリスクが高まる場合がある。
接合部は正規品とリプロダクトの差異が最も顕著に現れる箇所である。正規品はホゾとホゾ穴による伝統的な接合技法を用い、各工程の専門職人が手作業で組み立てる。接合部の精度は長期使用における堅牢性を直接左右するものであり、工場に組立ラインを持たないJ.L. Møllers Møbelfabrikの製作姿勢は、この品質を維持するための必然的な選択である。リプロダクト品では、ダボ接合や接着剤に依存する簡易的な構造が採用されることがあり、日常的な使用で接合部に緩みが生じるリスクが指摘されている。
ディテールと仕上げの違い
正規品は最終研磨工程まですべて手作業で行われ、フレームの曲線部やエッジの処理、表面の滑らかさにおいて高い完成度が実現されている。ペーパーコード座面についても、正規品は天然素材のペーパーコードを職人が一脚ずつ丁寧に編み込んでいる。リプロダクト品では機械的な処理やコスト削減による仕上げの差異が見られることがあり、手触りや視覚的な繊細さに違いが現れる場合がある。
価値と保証の違い
正規品にはJ.L. Møllers Møbelfabrikのブランド刻印が施され、正規販売ルートを通じた購入証明が付帯する。適切なメンテナンスのもとで世代を超えた使用が可能であり、中古市場においても正規品は高いリセールバリューを維持する傾向にある。特に1950年代〜60年代のヴィンテージ正規品はコレクターズアイテムとしての評価も高い。正規販売店を通じたペーパーコードの張り替えや修理対応も可能であり、長期にわたる使用を支えるアフターケアの体制が整っている。
| 比較項目 | 正規品(J.L. Møllers Møbelfabrik) | リプロダクト一般 |
|---|---|---|
| フレーム素材 | 厳選された高品質オーク材またはビーチ材(無垢材) | 一般的なオーク材・ビーチ材。品質・乾燥処理にばらつきあり |
| 接合方法 | ホゾとホゾ穴+ダボ嵌合。専門職人による手作業 | ダボ接合・接着剤依存の簡易構造の場合あり |
| 仕上げ | 全工程手仕上げ。最終研磨まで手作業 | 機械加工中心。仕上げ精度にばらつきあり |
| ペーパーコード | 天然ペーパーコード。職人による手編み | 品質の異なるペーパーコードの場合あり |
| 製造 | デンマーク・ヘイビャウ自社工場。組立ラインなし | アジア・東欧等での工場生産が一般的 |
| ブランド刻印 | J.L. Møllers Møbelfabrikの刻印あり | なし、またはメーカー独自の刻印 |
| 参考価格(1脚・税込目安) | 約160,000〜200,000円 | 約20,000〜60,000円程度 |
| リセールバリュー | 高い。ヴィンテージ品はさらに高値で取引 | 低い。中古市場での評価は限定的 |
| 修理・メンテナンス | 正規販売店を通じた修理・座面張り替え対応可 | メーカーによる修理対応は限定的 |
類似商品・競合との比較
モデル75は北欧デザインのダイニングチェアとして、同価格帯・同カテゴリにおいて複数の名作チェアと比較検討されることが多い。以下に代表的な比較対象を示す。
比較対象の紹介
第一の比較対象は、ハンス・J・ウェグナーがカール・ハンセン&サンのためにデザインしたCH24 Yチェア(ウィッシュボーンチェア)である。1950年にデザインされたこの椅子は、北欧ダイニングチェアの代名詞とも言える存在であり、特徴的なY字型の背もたれと手編みのペーパーコード座面を持つ。モデル75と同じく無垢材フレーム×ペーパーコード座面という構成であり、価格帯も近接している。
第二の比較対象は、同じJ.L. Møllers Møbelfabrikのモデル77である。1959年にニールス・オットー・モラーがデザインしたこの椅子は、背もたれが丸みを帯びた有機的なカーブを描く点でモデル75のフラットな背もたれとは異なるキャラクターを持つ。同一メーカーの製品同士としてしばしば比較される。
| 比較項目 | モデル75(J.L. Møllers) | CH24 Yチェア(カール・ハンセン&サン) | モデル77(J.L. Møllers) |
|---|---|---|---|
| デザイナー | ニールス・O・モラー | ハンス・J・ウェグナー | ニールス・O・モラー |
| デザイン年 | 1954年 | 1950年 | 1959年 |
| サイズ | W50 × D47 × H75cm | W55 × D51 × H76cm | W50 × D47 × H75cm |
| 座面高 | 44cm | 45cm | 44cm |
| フレーム素材 | オーク材 / ビーチ材 | ビーチ材 / オーク材 / ウォールナット材 | オーク材 / ビーチ材 |
| 座面 | ペーパーコード / ファブリック / レザー | ペーパーコード(手編み) | ペーパーコード / ファブリック / レザー |
| 背もたれ | フラットなラダーバック(梯子型) | Y字型曲木+笠木(アーム兼用) | 曲線的なラウンドバック |
| アームレスト | なし | あり(笠木と一体化) | なし |
| デザインの印象 | 直線的・簡潔・構造の美 | 有機的・優美・彫刻的 | 曲線的・柔和・包み込む |
| テーブルとの相性 | アームレスで配置自由度が高い | アームがテーブル下に入るか確認要 | アームレスで配置自由度が高い |
| 製造国 | デンマーク | デンマーク | デンマーク |
| 参考価格(日本国内・税込目安) | 約160,000〜200,000円 | 約120,000〜275,000円 | 約160,000〜200,000円 |
選び方の指針
直線的な構成美と、テーブル周りへの効率的な配置を重視する方にはモデル75が適している。アームレスのフラットな背もたれは、テーブルの下にすっきりと収まり、限られた空間でも複数脚を並べやすい。フレームの直線とペーパーコードの自然な質感の対比が生む端正な佇まいは、モダンから和モダンまで幅広い空間に調和する。
アームレストの安楽さと彫刻的な造形美を求める方にはYチェアが有力な選択肢となる。笠木と一体化したアームレストは長時間の着座に安定感をもたらし、有機的なフォルムは空間にぬくもりを添える。ただしアーム付きであるため、テーブルの天板高やエプロン高との適合確認が必要である。
同じモラーの椅子の中で、背中を包み込むような座り心地を求める方にはモデル77が適している。曲線的なバックレストは背中への当たりが柔らかく、体を自然に受け止める。モデル75と寸法・価格帯はほぼ同等であり、デザインの印象の違いが選択の主な判断基準となる。
使用感と暮らしへの取り入れ方
座り心地と使用感
モデル75の座面高44cmは、天板高70〜73cmのダイニングテーブルとの組み合わせに適した寸法である。座面幅50cm、座面奥行42cmという寸法は、体格を問わず快適に着座できるゆとりを確保しつつ、椅子全体のコンパクトなプロポーションを損なわない絶妙なバランスを実現している。
ペーパーコード座面仕様では、天然素材の編み込みが適度な弾力と通気性をもたらす。使い始めは若干の硬さを感じることもあるが、使い込むにつれてペーパーコードが体に馴染み、心地よいフィット感が生まれる。ファブリックまたはレザー張り仕様ではポリウレタンフォームクッションが用いられ、より柔らかな座り心地が得られる。
フラットな背もたれは背筋を自然に伸ばした姿勢を促し、食事や会話、軽い書き物など、ダイニングチェアとしての標準的な用途において、姿勢の安定と適度な快適性を両立させている。直線的な脚部とクロスコネクションの配置により、構造的な安定性は極めて高く、着座時のぐらつきや軋みはほとんど感じられない。
空間別のコーディネート提案
ダイニングルームにおいてモデル75は最も自然に機能する。アームレスの設計はテーブルの周囲に複数脚を効率的に配置することを可能にし、使用しない際はテーブルの下にすっきりと収めることができる。モラーがデザインしたJ.L. Møllers Møbelfabrikのダイニングテーブルとの組み合わせは、デザイナーの意図に最も忠実な空間構成となるが、無垢材天板のテーブルであれば、他メーカーの製品とも調和しやすい。
リビングルームでは、サイドチェアやアクセントチェアとしての活用が考えられる。読書や手仕事の際の一時的な着座用として、あるいは来客時の追加席として、軽量で移動しやすい利点が活きる。
書斎やワークスペースにおいても、簡潔なデザインはデスクとの相性が良い。ペーパーコード座面の通気性は長時間の着座にも適しており、ファブリックまたはレザー張り仕様であれば、さらに快適なデスクワーク環境を実現できる。
生活スタイル別の提案
一人暮らしの空間では、モデル75のコンパクトなプロポーション(幅50cm × 奥行47cm)が限られた面積を有効に活用できる。アームレスであるため空間を圧迫せず、一脚でも絵になる佇まいは、小さな住空間においてデザインの力を静かに発揮する。
ファミリーでの使用においては、堅牢な接合構造と無垢材フレームの耐久性が日常の使用に安心感をもたらす。ペーパーコード座面は汚れた場合のケアがやや手間を要するため、小さな子どものいる家庭ではファブリック張り仕様(カバー交換可能)やレザー張り仕様も検討に値する。
レストランやカフェなどの商業空間においても、モデル75は発表当初から多くの採用実績を持つ。1950年代初頭からドイツやアメリカへの輸出が行われ、世界各国の飲食空間において使用されてきた。堅牢な構造と控えめで品のある意匠は、商業空間に求められる耐久性と雰囲気の両方を満たす。
経年変化とメンテナンス
無垢材フレームの経年変化
オーク材フレームは、経年により木目が深みを増し、穏やかな飴色へと変化していく。特にオイル仕上げのフレームは、日々の使用と定期的なオイル塗布を通じて独特の艶と風合いが育まれ、使い手の暮らしとともに表情を変えていく。ソープ仕上げはより明るいトーンを維持し、北欧らしい清潔感のある印象を長く保つ。ビーチ材は経年で若干の黄変が見られるが、これもまた自然な経年美として楽しむことができる。
ペーパーコード座面は、使用に伴い天然素材ならではの色の変化と緩やかな馴染みが生じる。新品時の白さはやがて温かみのある象牙色へと移行し、この変化は多くの使用者に好まれている。
日常メンテナンス
フレームの日常的なお手入れは、乾いた柔らかい布で埃を払う程度で十分である。汚れが気になる場合は、わずかに湿らせた布で拭き取った後、乾いた布で水分を完全に除去する。研磨剤や化学系クリーナーの使用は表面仕上げを傷めるため避けるべきである。
オイル仕上げのフレームには、年に1〜2回、家具用オイル(デンマーク製ファニチャーオイル等)を薄く塗布することで、木の保護と美しい風合いの維持が図れる。ソープ仕上げの場合は、専用のファニチャーソープによる定期的なお手入れが推奨される。
ペーパーコード座面は、定期的に掃除機の弱モードでほこりを除去するか、乾いたブラシで軽くブラッシングする。水や液体をこぼした場合は直ちに吸い取り、自然乾燥させる。過度な湿気はペーパーコードの劣化を早めるため、直射日光や高湿度環境を避けた配置が望ましい。
修理・パーツ交換
ペーパーコード座面は長期使用(一般的に10〜20年程度)で緩みや摩耗が生じた場合、張り替えによるリフレッシュが可能である。日本国内では正規販売店を通じてJ.L. Møllers Møbelfabrikに依頼するか、ペーパーコードの張り替えを専門とする家具修復工房に相談することができる。フレームの構造的な修理についても、正規販売店を通じた対応が可能である。正規品の堅牢な接合構造は、適切なメンテナンスのもとで世代を超えた使用に耐えうる品質を備えている。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
国内正規販売
日本国内におけるJ.L. Møllers Møbelfabrik製品の正規販売は、複数の正規販売代理店を通じて行われている。IL DESIGN(イル デザイン)は東京デザインセンター内に拠点を置くJ.L. Møllers Møbelfabrikの正規輸入販売代理店であり、デンマークのメーカーから直輸入による競争力のある価格を提供している。オーク材×ブラックペーパーコード仕様のモデル75は、1脚あたり約182,600円(税込・2脚セット販売)で取り扱いがある。
そのほか、KONDO、Hansen Interiors、Comfort Martなど、北欧家具を専門に扱う正規ディーラーにおいても取り扱いがある。素材の選択(オーク / ビーチ)、仕上げ(オイル / ソープ / ラッカー等)、座面仕様(ペーパーコード / ファブリック / レザー)の組み合わせを指定してオーダーすることが可能である。
海外正規販売
J.L. Møllers Møbelfabrikは自社オンラインストア(jlm.dk)を運営しており、製品仕様の確認が可能である。欧米の正規ディーラーとしては、Danish Design Store、Hansen Interiors(USA)、International Design Center等がオンライン注文に対応している。欧州市場での価格は仕様により€800〜1,200程度が目安であるが、日本への国際配送に対応するディーラーでは関税・輸入消費税が別途発生する。
実物を確認できるショールーム
IL DESIGN(東京デザインセンター)、KONDO、およびJ.L. Møllers製品を取り扱う北欧家具専門店において実物を確認し、座り心地を体験することができる。展示状況は時期や店舗により異なるため、来訪前に各店舗への問い合わせを推奨する。
中古・ヴィンテージ市場
モデル75はヴィンテージ市場において高い人気を誇り、1950年代〜60年代に製作されたオリジナル品(チーク材フレームを含む)は特にコレクターから珍重されている。国際的なデザイン家具プラットフォームである1stDibsやPamonoにおいて、1脚あたり$500〜2,000程度(状態・年代・セット数により大きく変動)で取引されている。日本国内においても、北欧ヴィンテージ家具を専門とする店舗(ハシモト家具工芸、iCasa、LET EM IN等)において、メンテナンス済みの良品が販売されている。中古品購入に際しては、フレームの接合部の緩み、ペーパーコードの摩耗度、木部の傷やシミ、J.L. Møllers Møbelfabrikの刻印の有無を入念に確認されたい。
購入時チェックリスト
- 正規品であることの確認(J.L. Møllers Møbelfabrikの刻印、正規販売ルートからの購入証明)
- フレーム素材・仕上げの選択(オーク / ビーチ、オイル / ソープ / ラッカー / スモーク / ブラックステイン)
- 座面仕様の選択(ナチュラルペーパーコード / ブラックペーパーコード / ファブリック / 本革 / 合成皮革)
- ダイニングテーブルとの高さ適合確認(座面高44cm、天板高70〜73cmのテーブルに最適)
- 必要脚数の決定(4脚セットや6脚セットでの購入が一般的)
- 設置場所の床面確認(フェルトパッド等による床保護の検討)
- 搬入経路の確認(完成品納品のため、ドア幅の確認)
- 納期の確認(受注生産品:約6〜7ヶ月。国内在庫品は即納の場合あり)
- 中古品の場合:接合部の緩み、ペーパーコードの状態、木部の傷・シミ、ブランド刻印の有無を確認
コーディネート事例
北欧ナチュラル
オイル仕上げのオーク材フレーム×ナチュラルペーパーコードの組み合わせは、北欧インテリアの王道ともいえる構成である。オーク無垢材のダイニングテーブル、リネンのテーブルクロス、ルイスポールセンのPH5ペンダントライトとの組み合わせは、デンマークの家庭に見られる典型的な空間を再現する。壁面はホワイトまたはライトグレーとし、木や自然素材の温もりが空間全体に穏やかに広がる構成が効果的である。
モダンモノトーン
ブラックステインフレーム×ブラックペーパーコード(またはブラックレザー)の仕様は、コンテンポラリーなモノトーン空間に鋭い存在感を与える。ホワイトやグレーの天板を持つモダンなダイニングテーブルとの組み合わせにより、北欧デザインの伝統的なフォルムを現代的な文脈で再解釈する空間が生まれる。スモークオーク仕様を選択すれば、ブラックほどの鮮烈さはないものの、深みのあるダークトーンが空間に落ち着きと品格を添える。
和モダン・ジャパンディ
モデル75の直線的な構成と控えめな佇まいは、日本の美意識との親和性が極めて高いと一般的に評価されている。ソープ仕上げの明るいオークフレームは障子の白や畳の色調と呼応し、ペーパーコードの素材感は自然素材を多用する和の空間に馴染む。無垢材のローテーブルや和紙の照明と組み合わせることで、北欧と日本の美意識が融合した「ジャパンディ」スタイルの空間が実現する。
広さ別の配置ガイド
モデル75のコンパクトなプロポーション(幅50cm × 奥行47cm)とアームレスの設計は、限られた空間でも複数脚の配置を容易にする。6〜8畳のダイニングスペースには4脚、10畳以上には4〜6脚の配置が目安である。テーブルの下にすっきりと収まるため、使用時と非使用時の空間効率に優れる。同一デザイナーのアームチェアであるモデル56をテーブルの短辺に配置し、長辺にモデル75を並べるという組み合わせは、変化と統一を兼ね備えた洗練された構成として推奨される。
よくある質問
- モデル75の正規品の価格はどのくらいですか?
- 日本国内正規価格は、素材・仕上げ・座面仕様の組み合わせにより約160,000〜200,000円(税込・1脚)が参考価格帯となる。IL DESIGNにおけるオーク材×ブラックペーパーコード仕様は1脚あたり約182,600円(税込)である。フレーム素材(オーク / ビーチ)、座面仕様(ペーパーコード / ファブリック / レザー)により価格が異なる。最新の正確な価格は正規販売店への問い合わせを推奨する。
- どこで購入できますか?
- 日本国内では、IL DESIGN(東京デザインセンター)をはじめ、KONDO、Hansen Interiors、Comfort Martなど、J.L. Møllers Møbelfabrikの正規販売代理店において購入可能である。海外ではDanish Design Store、International Design Centerなどの正規ディーラーがオンライン注文に対応している。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- IL DESIGN(東京デザインセンター)、KONDO、およびJ.L. Møllers製品を取り扱う北欧家具専門店において実物を確認できる。展示状況は店舗・時期により異なるため、来訪前の問い合わせを推奨する。
- 納期はどのくらいかかりますか?
- 受注生産品はデンマークの工場での製作および国際輸送を含め、約6〜7ヶ月を要するのが一般的である。正規販売店が国内在庫を保有している場合は即納となる場合もあるため、在庫状況の確認を推奨する。
- メンテナンスはどのようにすればよいですか?
- フレームは乾いた柔らかい布で埃を払う。オイル仕上げの場合は年1〜2回の家具用オイル塗布、ソープ仕上げの場合は専用ファニチャーソープによるお手入れが推奨される。ペーパーコード座面は掃除機の弱モードまたは乾いたブラシでのブラッシングが基本。研磨剤や化学系クリーナーの使用は避ける。
- リプロダクトでも十分ですか?
- 正規品とリプロダクトでは、木材の品質、接合方法、仕上げの精度、ペーパーコードの品質に大きな差がある。特にホゾとホゾ穴による正規品の接合構造は長期的な堅牢性において優れ、世代を超えた使用に耐えうる品質を備えている。また、正規品はリセールバリューが高く、修理やペーパーコード張り替えのアフターケアも受けられる。一方、リプロダクトは価格面での優位性がある。長期的な使用価値と総合的なコストパフォーマンスを考慮した上での判断を推奨する。
- ペーパーコード座面の張り替えは可能ですか?
- 可能である。ペーパーコード座面は一般的に10〜20年程度の使用で緩みや摩耗が生じるが、張り替えにより新品同様の座り心地を取り戻すことができる。正規販売店を通じてJ.L. Møllers Møbelfabrikに依頼するか、ペーパーコード張り替えを専門とする国内の家具修復工房に相談できる。
- 他に検討すべき名作チェアはありますか?
- 同じJ.L. Møllers Møbelfabrikのコレクションからは、アームチェアのモデル56、曲線的な背もたれのモデル77、モデル71などが比較検討の対象となる。他ブランドでは、ハンス・J・ウェグナーのCH24 Yチェア(カール・ハンセン&サン)が同価格帯の北欧ダイニングチェアとして広く知られている。それぞれの作品について詳しくは、当サイトの各紹介ページをご参照いただきたい。