LC12 ラ・ロッシュが長く愛される理由
LC12 ラ・ロッシュ(LC12 Table La Roche)は、ル・コルビュジエと従兄弟のピエール・ジャンヌレが1925年に設計したテーブルである。パリ16区のラ・ロッシュ邸——2016年にユネスコ世界遺産の構成資産となった建築——のために構想された。カッシーナ(Cassina)は2006年からこのテーブルを生産している。
造形の核心は、支える部分(脚部)と支えられる部分(天板)のプロポーションの逆転にある。スチールパイプの脚部は高さに対して幅を絞り、天板は水平方向に大きく広がる。天板は実際の重量よりも軽く見え、細く見える脚部は見た目以上の安定を与える。
本ページでは、正規品の仕様・サイズ・天板素材・価格、類似商品との比較、暮らしへの取り入れ方、経年変化とメンテナンス、購入方法、よくある質問までを整理する。
ル・コルビュジエの設計思想や経歴について詳しくはル・コルビュジエ プロフィールページをご覧ください。
LC12 ラ・ロッシュのデザインストーリーについて詳しくはLC12 ラ・ロッシュ紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
LC12 ラ・ロッシュは、カッシーナの「ICONSコレクション」(旧「イ・マエストリ」コレクション)に属し、ル・コルビュジエ財団および共作者の遺族との緊密な協力のもと、原設計図面とプロトタイプの綿密な考証を経てイタリアで製造されている。すべての正規品には固有の製造番号が刻印され、真正性が保証されている。
| 正式名称 | LC12 ラ・ロッシュ / LC12 Table La Roche |
|---|---|
| デザイナー | ル・コルビュジエ(Le Corbusier, 1887–1965)& ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret, 1896–1967) |
| デザイン年 | 1925年(ラ・ロッシュ邸のために設計) |
| ブランド | Cassina(カッシーナ)/ イタリア |
| コレクション | ICONSコレクション(旧イ・マエストリ / I Maestri) |
| 復刻生産開始 | 2006年(カッシーナは1964年にル・コルビュジエ存命中にLCコレクション製造権取得) |
| 製造国 | イタリア |
| サイズ(小) | W120×D80cm / 木製天板:H73cm / ガラス天板:H71cm |
| サイズ(大) | W160×D120cm / 木製天板:H73cm / ガラス天板:H71cm |
| フレーム | スチールパイプ(3価クロムめっき仕上げ / ライトブルー半光沢エナメル塗装仕上げ) |
| 天板(木製) | チップボードパネル突板仕上げ。アメリカンウォールナット(無垢材エッジ付きマット仕上げ)、ナチュラルオーク、ブラック染色オーク。天板厚50mm |
| 天板(ガラス) | 15mm厚フロートクリアガラス(透明)、テクスチャードガラス(型板ガラス)。天板支持:ブラックプラスチック材 |
| 天板支持(木製天板) | クロムめっきスチール |
| 脚部底面 | クロムめっきスチール脚。アジャスタブルボトム(ブラックプラスチック材) |
| 真正性保証 | 固有の製造番号刻印。ル・コルビュジエ財団認証 |
| 参考価格帯(税込目安) | 小サイズ(120×80cm):約€3,000〜5,000 / 大サイズ(160×120cm):約€5,000〜8,000。日本国内約¥500,000〜1,200,000(サイズ・天板素材・販売店により大きく変動。要見積もり) |
| 納期 | 受注生産。サイズ・仕上げにより変動(通常8〜12週間程度。販売店に確認) |
天板の選択
木製天板は3種の仕上げから選択可能である。アメリカンウォールナット(カナレットウォールナット)は、深みのある茶褐色の木目がモダニズムの空間に重厚な温もりを添える。エッジには無垢のアメリカンウォールナットが使用され、50mmの天板厚が際立つディテールとなっている。ナチュラルオークは明るく温かみのある木目が北欧的な軽やかさを持ち、ブラック染色オークはモノトーンの空間にシャープな印象を与える。
ガラス天板は2種から選択可能。15mm厚フロートクリアガラス(透明)は、スチールフレームの構造美を余すことなく露出させ、LC12のプロポーションの逆転を最も鮮明に表現する。テクスチャードガラス(型板ガラス)は、光を拡散させる半透明の表面がより柔らかな印象を与える。ガラス天板は木製天板より2cm低い(H71cm)点に留意されたい。
フレームカラーの選択
フレームは3価クロムめっき仕上げとライトブルー半光沢エナメル塗装仕上げの2色から選択可能。クロムめっきはル・コルビュジエのモダニズム家具に共通する定番仕上げであり、LC2アームチェアやLC4シェーズロングと統一した空間構成が可能。ライトブルー塗装はル・コルビュジエが建築作品に用いた色彩パレットの一部であり、ラ・ロッシュ邸の内部空間を想起させるアイコニックな選択肢である。
類似商品・競合との比較
LC12 ラ・ロッシュにリプロダクト品は存在しない。同じカッシーナのLCコレクション内の他のテーブル、および同時代のモダニズム・テーブルとの比較を示す。
| 比較項目 | LC12 ラ・ロッシュ(カッシーナ) | LC6 テーブル(カッシーナ) | チューリップテーブル(Knoll) |
|---|---|---|---|
| デザイナー | ル・コルビュジエ&ジャンヌレ(1925年) | ル・コルビュジエ&ジャンヌレ&ペリアン(1928年) | エーロ・サーリネン(1957年) |
| 構造的特徴 | プロポーションの逆転。細い脚部×厚い天板。内側配置の脚で自由な椅子配置 | 航空機の翼断面に着想した楕円断面のスチール支柱。ガラス天板 | 中央に1本のペデスタル脚。脚まわりの床がすべて空く |
| 天板素材 | ウォールナット / オーク / ガラス(15mm厚) | ガラス | 大理石 / ラミネート / 木製 |
| サイズ展開 | 120×80cm / 160×120cm(2サイズ) | 225×85cm(ダイニング特化) | 丸型・楕円型で多サイズ展開 |
| 設計の狙い | 脚部と天板のプロポーションの逆転 | 大人数が着席する長大な天板の支持 | 四本脚が生む視覚的な煩雑さの解消 |
| 価格帯 | 約€3,000〜8,000(サイズ・素材による) | 約€6,000〜10,000 | 構成により変動 |
選び方の指針
脚部と天板のプロポーションの対比に惹かれ、木製天板とガラス天板の双方から選びたいなら、LC12 ラ・ロッシュが候補となる。小サイズ(120×80cm)はデスクやコンソールに、大サイズ(160×120cm)はダイニングテーブルに向く。
同じLCコレクションで大型のダイニングテーブルを求めるならLC6が適している。ただし天板はガラスのみで、サイズも225×85cmの1種に限られる。脚まわりの床を空けたい、椅子の位置を制約されたくないという場合は、中央に1本の脚を立てるKnollのチューリップテーブルが選択肢となる。
使用感と暮らしへの取り入れ方
テーブルとしての使用感
小サイズ(120×80cm)は2〜4名のダイニング、あるいはデスクやコンソールとして使える。脚部が天板の内側に寄せて立つため、椅子の出し入れが脚に当たりにくく、短辺にも人を座らせられる。
大サイズ(160×120cm)は4〜6名で使える。奥行120cmあれば、向かい合っても大皿やワインボトルを置く余地が残る。会議テーブルやワークテーブルにも転用できる。
木製天板は厚さ50mmで、切り口の厚みがそのまま水平線の太さになる。ガラス天板は15mmで、脚部の構造が透けて見える。ただし食器やグラスの当たる音が響くため、ランチョンマットの併用を検討したい。
空間別のコーディネート提案
ダイニングでは、同じLCコレクションのLC7スイヴル・チェアやLC1スリング・チェアと組み合わせる。テーブルと椅子のクロムめっきフレームが同じ太さの線で揃う。
書斎やホームオフィスでは、小サイズのLC12をデスクとして使い、隣にLC4シェーズロングを置く。座る姿勢を変えるだけで、読む場所と書く場所が切り替わる構成である。
現代的な内装では、LC12は形が単純なぶん、様式を選ばない。ライトブルー塗装フレームを選べば、モノトーンの部屋に一色だけ色が入る。
経年変化とメンテナンス
素材別の経年変化
アメリカンウォールナット天板は、時間とともに色味がわずかに深まる。オーク天板も同様に飴色へと変化する。クロムめっきスチールフレームは、手入れをすれば長く光沢を保つ。ライトブルー塗装フレームは半光沢のエナメル仕上げで、色調が安定している。
日常メンテナンス
カッシーナは製品に素材別のケア&メンテナンスマニュアルを提供している。木製天板は柔らかい布での乾拭きが基本。水分をこぼした場合は速やかに拭き取る。直射日光の長時間照射は色褪せの原因となるため、設置場所に留意する。ガラス天板はガラスクリーナーを使用した清掃が可能。指紋や水滴痕が目立ちやすいため、定期的な拭き上げを推奨する。
クロムめっきフレームは、乾いた柔らかい布での拭き取りで光沢を維持。研磨剤は使用しない。ライトブルー塗装フレームは、固く絞った布での拭き取りが基本であり、強い溶剤の使用は避ける。
修理・パーツ対応
正規販売店を通じて修理・パーツの相談ができる。ガラス天板が破損した場合は同仕様のガラスに交換できる。クロムめっきの摩耗や塗装の剥離についても、カッシーナの修理サービスで対応が検討される。固有の製造番号により、個体の追跡が可能である。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
公式サイトと正規ディーラー
カッシーナ公式サイト(cassina.com)にて全バリエーションの仕様確認が可能。2D/3Dドローイング、テクニカルシート等の詳細資料もダウンロードできる。海外正規ディーラーとしては、Deplain(イタリア)、Mohd Shop(イタリア)、Miliashop(イタリア)、Ciat Design(イタリア)、1stDibs(新品取り扱い)などがある。カッシーナ製品は価格がサイズ・素材の組み合わせにより大きく変動するため、正規ディーラーへの見積もり依頼が推奨される。
日本国内での購入
日本国内ではカッシーナ・イクスシー(Cassina ixc.)の直営店および正規取扱店で購入可能。カッシーナ・イクスシー青山本店をはじめ、全国の直営ショールームで実物確認と素材サンプルの確認ができる。ICONSコレクションは受注生産品が多く、納期・価格についてはショールームでの直接相談を推奨する。コントラクト案件(オフィス、ホテル、レストラン等)についてもカッシーナのプロフェッショナル・チームが対応している。
購入時チェックリスト
- サイズの選択(小:120×80cm=デスク・コンソール・小ダイニング / 大:160×120cm=ダイニング・会議テーブル。設置空間の実測と椅子配置スペースの確認)
- 天板素材の選択(木製:アメリカンウォールナット / ナチュラルオーク / ブラック染色オーク。ガラス:クリア透明 / テクスチャードガラス。用途・空間イメージ・メンテナンス頻度を考慮)
- フレームカラーの選択(クロムめっき / ライトブルー半光沢塗装)
- チェアとの組み合わせ(LCコレクション内:LC7、LC1、LC8等。または他のモダニズムチェアとのミックス)
- 搬入経路の確認(大サイズ160×120cmは特に搬入経路の実測必須。White Glove配送サービスの利用を検討)
- 納期の確認(受注生産品のため8〜12週間程度。仕上げ・時期により変動)
- 正規品の確認(カッシーナ正規販売店からの購入。固有の製造番号刻印とル・コルビュジエ財団認証の確認)
- 見積もりの取得(サイズ×天板素材×フレーム仕上げの組み合わせにより価格が大きく変動。正規ディーラーへの事前見積もり依頼を推奨)
コーディネート事例
ル・コルビュジエ・ユニヴァース
アメリカンウォールナット天板×クロムめっきフレームの大サイズLC12を中心に、LC7スイヴル・チェアを4脚並べる。壁面にはLC10-Pコーヒーテーブル、コーナーにはLC4シェーズロングを置く。すべてをカッシーナのLCコレクションで揃えると、部屋の中の金属の線がすべて同じ太さになる。ウォールナットの面が、その線に対する唯一の対比となる。
建築的モノトーン
クリアガラス天板×クロムめっきフレームの小サイズLC12を、白い壁とコンクリート床の部屋に置く。天板が透けるため、床の目地までが見通せる。マルセル・ブロイヤーのワシリーチェア、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアなど、同時代のスチールパイプ家具と揃えやすい。
ポリクロミーのアクセント
ブラック染色オーク天板×ライトブルー塗装フレームのLC12を、グレーを基調とした部屋に置く。ル・コルビュジエは建築に色彩を用いたが、ここではその役割を家具の脚が担う。黒い天板と淡い青の脚が上下で分かれ、輪郭がはっきりする。
よくある質問
- 正規品の価格はどのくらいですか?
- 小サイズ(120×80cm)で約€3,000〜5,000、大サイズ(160×120cm)で約€5,000〜8,000が参考価格帯。日本国内では約¥500,000〜1,200,000(サイズ・天板素材・フレーム仕上げの組み合わせにより大きく変動)。正規ディーラーへの見積もり依頼を推奨する。
- どこで購入できますか?
- カッシーナ公式サイト、日本国内のカッシーナ・イクスシー直営店および正規取扱店。海外ではDeplain、Mohd Shop、Miliashop、Ciat Design等のイタリア正規ディーラー。1stDibsでも新品の取り扱いがある。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- カッシーナ・イクスシー青山本店をはじめ、国内直営ショールームでICONSコレクションの実物確認が可能。展示状況は事前確認を推奨。パリ16区のラ・ロッシュ邸(現ル・コルビュジエ財団本部)では、テーブルが設計された空間そのものを訪問できる。
- 納期はどのくらいかかりますか?
- 受注生産品のため8〜12週間程度が目安。仕上げの組み合わせや時期により変動する。正規販売店にて正確な納期を確認されたい。
- 木製天板とガラス天板、どちらを選ぶべきですか?
- 木製天板(50mm厚)はダイニングやデスクとしての日常使用に適し、温かみのある表面が食事や作業を快適にする。ガラス天板(15mm厚)はスチールフレームの構造美を最大限に露出させ、LC12のプロポーション逆転のコンセプトを最も鮮明に表現する。ただしガラスは指紋や食器の接触音が気になる場合がある。
- メンテナンスはどのようにすればよいですか?
- カッシーナが素材別ケアマニュアルを提供。木製天板は柔らかい布で乾拭き。ガラス天板はガラスクリーナー使用可。クロムめっきフレームは乾いた布で拭き取り。研磨剤は使用不可。直射日光の長時間照射を避ける。
- ライトブルーのフレームはどのような色ですか?
- ル・コルビュジエが建築作品に用いたポリクロミー(建築的多色彩)のパレットに含まれるライトブルーである。半光沢のエナメル塗装仕上げで、穏やかで洗練された青色。ラ・ロッシュ邸の内部空間を想起させるアイコニックなカラーであり、クロムとは異なる柔らかな印象を空間にもたらす。
- 他に検討すべきル・コルビュジエの名作は?
- 同じカッシーナICONSコレクションのLC2アームチェア(1928年)、LC4シェーズロング(1928年)、LC6テーブル(1928年)、LC7スイヴル・チェア(1927年)、LC10-Pコーヒーテーブルなどがある。いずれもル・コルビュジエ、ジャンヌレ、ペリアンの協働による名作であり、LC12と組み合わせてモダニズムのトータルコーディネートが実現する。それぞれの作品について詳しくは、当サイトの各紹介ページをご参照いただきたい。