1960年代のアメリカで現れた、単純な幾何形と素材そのものを提示する美術の動向。転じて要素を切り詰めた造形一般を指す語としても使われる。
ミニマリズム
ミニマリズムとは、1960年代のアメリカで現れた、作品から作者の筆致や象徴的な意味を取り除き、単純な幾何形と素材そのものを提示する美術の動向のこと。転じて、要素を切り詰めた造形一般を指す語としても使われる。英語では Minimalism、Minimal Art と書く。
解説
美術の動向としてのミニマリズムは、絵画や彫刻から構図や物語を排し、規格化された工業材料でつくった単位を反復する方法をとった。ドナルド・ジャッド、ロバート・モリス、ソル・ルウィット、ダン・フレイヴィン、カール・アンドレらの仕事が代表に挙げられる。ただしこの呼び名は批評の側から与えられたもので、ジャッド自身は受け入れず、自分の作品を「特定の物体」と呼んでいた。彼らは作品を「彫刻」と呼ばず、置かれた空間と見る者の位置を含めて成立するものと考えた。作者の手跡を消すために制作を外注することも多い。
この語がインテリアで用いられる場合、指しているものは一段ゆるい。1980年代以降、装飾を持たず、色数を抑え、面と線の関係だけで構成された家具や空間を形容する語として広く使われるようになった。美術の動向としてのミニマリズムが持っていた工業材料への依拠や反復の原理は、必ずしも引き継がれていない。
家具の設計として見ると、要素を減らすことは工程を減らすことではない。バッケンツァーンは四本の脚を面で接いだだけの構成に見えるが、乾燥収縮の向きを揃えて隙間を出さないための木取りが前提になる。レムのように、一枚の板を曲げて脚と座を連続させる構成も、部材を減らしたぶん一つひとつの精度が仕上がりを左右する。輪郭が単純なほど、寸法の狂いは隠れない。
語として使うときの注意
美術史上の動向を指す用法と、造形を形容する用法は区別して読む必要がある。前者は1960年代のアメリカという時期と地域を伴い、当事者の活動として記録されている。後者は時期も地域も限定せず、書き手の判断で用いられる。ある家具を「ミニマル」と呼ぶことと、ミニマリズムの作家の系譜に位置づけることは、別のことがらである。
Reference
- Minimalism(Tate)
- https://www.tate.org.uk/art/art-terms/m/minimalism
- Minimalism(The Art Story)
- https://www.theartstory.org/movement/minimalism/