概要

ロバート・ダドリー・ベスト(1892-1984)は、イギリスの照明製造者・デザイナーである。家業のベスト・アンド・ロイド社を継ぎ、1930年にベストライトを設計した。関節を3箇所に持ち、腕と笠の角度を独立して変えられる作業用の照明である。当時のイギリスでは金属の装飾照明が主流だった。

バイオグラフィー

1892年、イギリスのバーミンガムに生まれた。家業のベスト・アンド・ロイド社は照明の製造を行っている。

1920年代、ドイツとフランスで学んだ。デュッセルドルフで工業デザインの課程に触れている。

1930年、ベストライトを設計した。関節を3箇所に持つ作業用の照明である。

家業の経営を続け、製品の設計も行った。1984年に没している。

デザインの思想と方法

1930年当時のイギリスでは、照明は装飾を施した金属の器具が主流だった。ベストがドイツで見たのは、装飾を持たず機能から形を決める設計である。この方向を自社の製品に適用した。

関節を3箇所に配する

台座と腕、腕と腕、腕と笠の3箇所に関節を設ける。それぞれ独立して角度を変えられるため、光の位置と向きを別々に決められる。作業台では、この自由度が要る。

摩擦で位置を保つ

関節はねじの締め付けによる摩擦で位置を保つ。ばねを用いないため、部品が少ない。締め具合を調整すれば、動かしやすさも変えられる。

装飾を持たない

管と笠は素地のまま、あるいは単色の塗装とする。当時のイギリスの照明とは異なる方向にあたる。

製造と設計を兼ねる

家業の経営者として、製造の条件を把握したうえで設計した。自社で作れる範囲に形が収まる。

代表作にみる方法

ベストライト BL1(1930年)

台座と腕、腕と腕、腕と笠の3箇所に関節を持つ卓上灯である。それぞれ独立して角度を変えられ、光の位置と向きを別々に決められる。関節は摩擦で位置を保ち、ばねを用いない。→ベストライト BL1 テーブルランプ

ベストライトの各型

卓上、壁付け、床置きの型が用意された。関節の構成は共通で、支持の方法が変わる。

ベスト・アンド・ロイド社の製品(1930年代〜)

家業の照明メーカーである。ベストは経営と設計の双方を担った。

再生産(2000年代〜)

グビが生産を引き継いでいる。関節の構成は当初のままにあたる。

評価と影響

ベストは、1930年のイギリスで装飾を持たない照明を製品化した人物として言及される。ドイツで触れた設計の方向を、自社の製品に適用した立場にある。

関節を3箇所に配し、それぞれ独立して角度を変えられる。ジョージ・カーワーダインが1932年に特許を得たばねによる保持機構とは、別の方式にあたる。

ベストライトは1930年の設計で、現在も生産が続いている。2000年代以降はグビが引き継いでいる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。

  • V&A ベストライト(1930年頃) 収蔵番号 M.21-1985

MoMA、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1930年 照明 ベストライト BL1 テーブルランプ Best & Lloyd / Gubi
1930年代〜 照明 ベストライトの各型(壁付け・床置き) Best & Lloyd / Gubi
1930-70年代 照明 ベスト・アンド・ロイド社の製品 Best & Lloyd
2000年代〜 照明 ベストライトの再生産 Gubi

プロフィール

生没年 1892年〜1984年
出身地 イギリス・バーミンガム
国籍 イギリス
活動拠点 バーミンガム
分野 照明
主な協働ブランド Gubi、Best & Lloyd

Reference

Bestlite | GUBI
https://gubi.com/en/int/inspiration/designers
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/