概要
ジョージ・カーワーダイン(1887-1947)は、イギリスの自動車技術者である。車両の懸架装置の設計に携わるなかで、ばねの釣り合いによって任意の位置に止まる機構を考案した。1932年、この機構を照明に適用して特許を取得している。1935年のタイプ1227は作業用の卓上灯として広く用いられた。
バイオグラフィー
1887年1月9日、イギリスのバースに生まれた。技術者としての訓練を受け、自動車の部品を製造する会社に勤めた。
車両の懸架装置の設計に携わり、ばねと荷重の釣り合いを扱った。1924年に独立し、バースで自身の工房を開いている。
1932年、ばねの釣り合いによって任意の位置に止まる機構を照明に適用し、特許を取得した。当初は4本のばねを用いる構成である。
製造の設備を持たなかったため、ばねの製造会社ハーバート・テリー・アンド・サンズに生産を委託した。1935年にタイプ1227が発表されている。1947年に没した。
デザインの思想と方法
カーワーダインは照明の設計者ではなく、自動車の技術者である。彼が扱ったのは、腕をどの角度でも保持するという力学の問題だった。照明はその応用にあたる。
ばねで荷重を打ち消す
腕の重さと笠の重さは、角度によって変わる回転の力を生む。ばねの張力をこれに釣り合わせれば、どの位置でも止まる。人が手で動かすときだけ、この釣り合いが崩れる。
人の腕を模す
関節と腕の構成は、人の肩、肘、手首に対応する。可動の範囲もこれに準じる。作業台で使う場合、必要な位置へ手の動きだけで移動できる。
ばねの数を減らす
1932年の当初の設計は4本のばねを用いた。1935年のタイプ1227では3本に減らしている。部品が減れば製造も単純になるが、釣り合いの計算はやり直しになる。
製造を委託する
設備を持たなかったため、ばねの製造会社に生産を委託した。ばねを本業とする会社であれば、この機構の要求に応えられる。
アングルポイズの歴史や他の製品について詳しくはアングルポイズ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
1208(1933年)
4本のばねを用いた最初の製品である。工場や作業場での使用を想定し、寸法も大きい。
タイプ1227(1935年)
ばねを3本に減らし、住宅や事務所でも使える寸法とした卓上灯である。関節と腕の構成は人の肩、肘、手首に対応し、必要な位置へ手の動きだけで移動できる。作業用の照明として広く用いられた。→アングルポイズ タイプ1227
ばねの機構(1932年 特許)
腕の重さと笠の重さが生む回転の力に、ばねの張力を釣り合わせる機構である。どの位置でも止まり、手で動かすときだけ釣り合いが崩れる。照明以外への応用も想定されていた。
V&A収蔵の照明(1938年)
V&Aが1938年の照明を収蔵している(収蔵番号M.23-2013)。
評価と影響
カーワーダインは、照明の設計者ではなく自動車の技術者として言及される。車両の懸架装置で扱ったばねと荷重の関係を、照明に適用した例にあたる。
タイプ1227は1935年の発表から現在まで生産が続いている。ばねの釣り合いという機構が変わっていないためである。
同じ原理は以後の作業用照明にも用いられ、複数のメーカーが類似の構成を採用している。リチャード・サッパーのティツィオは、ばねを用いず錘との釣り合いで同じ問題を解いた例にあたる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。
- V&A 照明(1938年) 収蔵番号 M.23-2013
MoMA、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1932年 | 技術 | ばねの釣り合いによる保持機構の特許 | イギリス |
| 1933年 | 照明 | 1208(4本ばね) | Anglepoise |
| 1935年 | 照明 | アングルポイズ タイプ1227 | Anglepoise |
| 1930-40年代 | 照明 | 各型の作業用照明 | Anglepoise |
プロフィール
| 生没年 | 1887年1月9日〜1947年 |
|---|---|
| 出身地 | イギリス・バース |
| 国籍 | イギリス |
| 活動拠点 | バース |
| 分野 | 照明、機械設計 |
| 主な協働ブランド | Anglepoise |
Reference
- Anglepoise(公式)
- https://www.anglepoise.com/
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/