概要

ニッセ・ストリニング(1917-2006)は、スウェーデンの建築家・デザイナーである。1949年、妻カイサとともに書棚の競技設計に応募し、一等を得た。細い金属線を曲げた側板を壁に留め、そこに棚板を掛ける方式で、工具をほとんど使わずに設置と組み替えができる。この「ストリングシステム」は現在も生産が続いている。

バイオグラフィー

1917年12月8日、スウェーデンに生まれた。王立工科大学で建築を学んでいる。

学生時代に、金属線を曲げてつくる水切りラック「エルファ」を設計した。これが最初の製品にあたる。

1949年、出版社ボニエルが主催した書棚の競技設計に、妻のカイサ・ストリニングとともに応募し一等を得た。翌1950年から生産が始まっている。

1950年代から60年代にかけて、ストリングシステムは各国へ広がった。1970年代に一度生産が止まったが、2004年からストリング・ファニチャーが再生産している。2006年に没した。

デザインの思想と方法

1949年の競技設計の条件は、書籍を収める棚を安価に供給することだった。当時のスウェーデンは住宅不足の時期で、家具も高価だった。ストリニング夫妻が出した解は、部材の数と設置の手間を極限まで減らすというものである。

側板を金属線にする

棚の側板は通常、板でつくる。ストリングシステムでは、金属線を梯子状に曲げたものを側板とした。材料は大幅に減り、壁に留めるための重量も下がる。線材のため向こうが透け、壁面を塞がない。

棚板を掛けるだけにする

棚板は側板の横線に載せ、切り欠きで位置が決まる。ねじも金具も使わないため、設置も組み替えも工具を要さない。高さを変える、段を足す、幅を広げるといった変更が後からできる。

平らに梱包する

側板は薄く、棚板は平板である。分解した状態では体積が小さく、輸送費と保管の場所を大きく減らせる。購入者が自分で組み立てることを前提とした構成にあたる。

壁に固定する

床に自立させず、壁に留める方式をとる。脚部が要らないため部材がさらに減り、床面も空く。狭い住宅で床の面積を確保するという条件に対応している。

代表作にみる方法

エルファ 水切りラック(1940年代)

金属線を曲げてつくる皿の水切りである。学生時代の設計にあたる。線材だけで面をつくり、水が抜けるという構成は、のちのストリングシステムにも通じている。

ストリングシステム(1949年)

金属線を梯子状に曲げた側板を壁に留め、棚板を掛ける書棚である。ねじも金具も使わず、工具なしで設置と組み替えができる。1949年の競技設計で一等を得て、翌年から生産が始まった。部材の数と設置の手間を減らすという条件への解答にあたる。→ストリングシステム

ストリングポケット(1950年代)

ストリングシステムの小型版である。幅と段数を抑え、限られた壁面に取り付けられる。同じ構成のまま寸法だけを変えた製品にあたる。

ストリングシステムの展開

棚板のほか、キャビネット、机の天板、雑誌用の棚などが用意される。側板の規格が共通なので、後から追加できる。用途に応じて構成を変えられる点が、長期の生産を支えている。

評価と影響

ストリニングは一般に、戦後スウェーデンの住宅事情に対応した家具を設計した人物と評価されている。部材の数と設置の手間を減らすという方向は、当時の住宅不足という条件から出ている。

平らに梱包して購入者が組み立てるという方式は、以後のスウェーデンの家具産業に共通する形式となった。ストリングシステムはその早い例にあたる。

1970年代に一度生産が止まったが、2004年からストリング・ファニチャーが再生産している。設計から70年以上を経て、当初の構成のまま供給が続いている。

受賞・収蔵

受賞

  • 1949年 ボニエル主催 書棚競技設計 一等(カイサ・ストリニングと共同)

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。メーカーの社史が伝える1979年のスウェーデン国立美術館への収蔵については、照合手段がない。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
1940年代 キッチン用品 エルファ 水切りラック Elfa
1949年 収納 ストリングシステム String Furniture
1950年代 収納 ストリングポケット String Furniture
1950-60年代 収納 ストリングシステムの各種部材 String Furniture

プロフィール

生没年 1917年12月8日〜2006年
出身地 スウェーデン
国籍 スウェーデン
活動拠点 ストックホルム
分野 収納家具、キッチン用品
主な協働ブランド String Furniture、Elfa

Reference