概要
クラウス・フランク(1932年生まれ)は、ドイツの工業デザイナーである。ウルム造形大学で学び、1971年から1985年までウィルクハーンのデザイン部門を率いた。ヴェルナー・ザウアーとともに設計したオフィス用回転椅子FSラインで知られる。デザイン部門はその後 wiege として分社し、フランクはさらに7年間その経営を担った。
バイオグラフィー
1932年、ドイツに生まれた。ウルム造形大学で学んでいる。同校は工業製品の設計を体系的な手順として扱う教育を行っており、フランクはその課程を経た世代にあたる。
修了後は工業化建築の研究機関に勤め、その後は建築家、グラフィックデザイナー、著述家として独立して働いた。航空会社ルフトハンザの内装部門を率いた時期もある。ウルム造形大学とハノーファー専門大学で教鞭も執っている。
1971年、ウィルクハーンのデザイン部門の責任者に就いた。1985年まで同職にあり、部門はその後 wiege(ヴィルクハーン開発会社)として独立した組織になっている。フランクはさらに7年間、wiege の経営を担ったのち、ふたたび独立した。
現在はスペインのモライラを拠点としている。プロダクトデザイナー、インテリアアーキテクト、アートディレクター、著述家として活動してきた。
デザインの思想と方法
二人が取り組んだのは、椅子に機能を足すことではなく、使う前の設定を不要にすることだった。1970年代のオフィス用回転椅子は、座面の傾き、背もたれの角度、反発の強さをレバーやノブで個別に設定する方式が広く採られていた。ウィルクハーンはこの方式について、調整の手間が使用者の側に残るため、実際には初期設定のまま使われてしまう点を課題として挙げている。
解決の方向は、調整の操作そのものを機構の側へ移すことだった。座面と背もたれの傾きを連動させ、背に体重を預けるほど反力が比例して増す構成をとる。体重の違いは機構が吸収するため、使う前に強さを合わせておく必要がない。二人はこの考えを「免許のいらない着座(Sitzen ohne Führerschein)」と表した。
形の側では、座面と背もたれを一続きのシェルとした。別部材にすれば境目で角度の変化が止まるが、一続きであれば姿勢の変化に面全体が追従する。前方の回転軸と、同調して動く二本のスイングアームのあいだにシェルを張り渡す構成は、ハンモックのように材そのものの弾性を使う考え方にあたる。初期の検討ではこの弾性だけで機構を持たない案も試されている。
フランクは設計者であると同時に、デザイン部門の責任者として組織を率いた立場でもある。個人の作家として発表するのではなく、メーカーの内部で製品群を組み立てる形をとってきた。FSラインが回転椅子だけでなく、会議・来客用の椅子、カンチレバーチェア、カウンタースツールを含む「21プログラム」として構成されたのは、この立場と対応している。
代表作にみる方法
FSライン(1980年、ウィルクハーン)
名称は設計を担当した二人の姓の頭文字による。座面と背もたれをひと続きのシェルとし、着座姿勢が変わると機構とシェルの両方がそれに追従する。
背もたれには横方向のねじれに対する弾性が与えられており、上体を左右にひねっても背が付いてくる。反力は無段階に調整でき、前傾の位置で固定することもできる。設定を不要にする方針と、必要な範囲の調整を残すこととが両立している。
シェルは二本のねじで外せる構造で、張り替えができる。FSラインは発表から現在まで生産が続いており、シリーズ全体で200万脚を超える出荷が公表されている。
Modus(1994年、ウィルクハーン)
FSラインで用いた連動機構を、トーションばねによる方式へ改めた回転椅子である。高さと反力の設定を一本のレバーに集約している。設定の手数を減らす方向は、FSラインから引き継がれている。
Cubis(1990年代、ウィルクハーン)
立方体を基調とする輪郭のラウンジチェアである。建築の内部に置いたときに周囲の面と角度が揃うよう、曲面を抑えた構成をとる。
評価と影響
FSラインは、設定操作を前提としない回転椅子の先例として受け止められている。それ以前の製品が調整項目を増やす方向にあったのに対し、機構の側で吸収する方針を採った点が、以後の同種の製品に引き継がれた。
ウィルクハーンにとっても、この製品は国際市場へ展開する最初の製品となった。デザイン部門が独立した組織として分社したのも、この成功を背景としている。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1980年 | オフィスチェア | FSライン(21プログラム) | ウィルクハーン |
| 1990年代 | ラウンジチェア | Cubis | ウィルクハーン |
| 1994年 | オフィスチェア | Modus | ウィルクハーン |
プロフィール
| 生年 | 1932年 |
|---|---|
| 出身 | ドイツ |
| 学歴 | ウルム造形大学 |
| 主な経歴 | 1971年〜1985年 ウィルクハーン デザイン部門長/その後7年間 wiege 経営 |
| 教職 | ウルム造形大学、ハノーファー専門大学 |
| 分野 | オフィス家具、インテリア、グラフィック |
Reference
- FS|Wilkhahn 公式
- https://www.wilkhahn.com/de/produkte/drehstuehle-buerostuehle/fs/
- Unternehmen|Wilkhahn 公式
- https://www.wilkhahn.com/de/ueber-uns/unternehmen/
- FS-LINIE 211/8(Architonic)
- https://www.architonic.com/de/p/fs-linie-2118-1012432/