概要
カイサ・ストリニング(1922-2017)は、スウェーデンの建築家・デザイナーである。1949年、夫のニッセ・ストリニングとともに出版社ボニエルの書棚の競技設計に応募し、一等を得た。この「ストリングシステム」は現在も生産が続いている。夫妻はいずれも王立工科大学で建築を学んでおり、設計は共同名義で発表された。
バイオグラフィー
1922年1月27日、スウェーデンにカイサ・アンデションとして生まれた。王立工科大学で建築を学んでいる。当時のスウェーデンで建築を修めた女性は多くない。
在学中にニッセ・ストリニングと出会い、1940年代に結婚した。
1949年、ボニエルが主催した書棚の競技設計に夫妻で応募し、一等を得た。応募は連名によるもので、設計の担当は公表されていない。
その後もストリングシステムの部材の展開に関わった。2017年に95歳で没している。
デザインの思想と方法
1949年の競技設計の課題は、書籍を収める棚を安価に供給することだった。ストリニング夫妻が出した解は、金属線を曲げた側板に棚板を掛けるというもので、部材の数も設置の手間も最小限に収まる。カイサは特に、部材の寸法体系と展開の側に関わったとされる。
規格を決めて後から足せるようにする
側板の横線の間隔と棚板の寸法を規格として定めれば、購入者は必要な分だけ買い、後から追加できる。最初にすべてを揃える必要がないため、限られた予算でも導入できる。住宅不足の時期に供給するという条件から出た方式にあたる。
用途ごとに部材を用意する
書棚として始まった系列に、キャビネット、机の天板、雑誌用の棚が加わった。側板の規格が共通なので、同じ壁面で用途を混在させられる。部材の種類を増やすことで、構成の幅が広がる。
建築の訓練を家具に用いる
夫妻はいずれも建築の課程を経ている。壁面をどう使うか、寸法体系をどう設定するかという問題は、建築の設計と地続きにある。家具を建築の一部として扱う立場にあたる。
共同名義で発表する
ストリングシステムは夫妻の共同設計として発表され、個々の担当は公表されていない。1949年の競技設計への応募も連名による。
代表作にみる方法
ストリングシステム(1949年)
金属線を梯子状に曲げた側板を壁に留め、棚板を掛ける書棚である。ねじも金具も使わず、工具なしで設置と組み替えができる。分解した状態では体積が小さく、輸送と保管の費用が下がる。ボニエルの競技設計で一等を得た。→ストリングシステム
部材の展開(1950-60年代)
書棚に加えて、キャビネット、机の天板、雑誌用の棚などが用意された。側板の規格が共通なので、後から追加できる。用途の異なる部材を同じ壁面に混在させられる。
ストリングポケット(1950年代)
幅と段数を抑えた小型版である。限られた壁面に取り付けられ、同じ構成のまま寸法だけを変えている。
再生産(2004年〜)
1970年代に生産が止まったのち、ストリング・ファニチャーが再生産を始めた。当初の構成のまま供給が続いている。
評価と影響
カイサ・ストリニングは、長らく夫の協働者として扱われてきたが、近年は共同設計者として個別に言及されることが増えている。1949年の競技設計への応募が連名であったことが、その根拠にあたる。
当時のスウェーデンで建築を修めた女性は少なく、設計の分野で活動した例としても挙げられる。
ストリングシステムは設計から70年以上を経て生産が続いており、部材を規格化して後から足せるという方式は、以後の収納家具にも広く見られる。
受賞・収蔵
受賞
- 1949年 ボニエル主催 書棚競技設計 一等(ニッセ・ストリニングと共同)
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。スウェーデン国内の館については照合手段がない。
作品一覧
いずれもニッセ・ストリニングとの共同設計による。部材の一覧はニッセ・ストリニングのページに掲げている。
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1949年 | 収納 | ストリングシステム | String Furniture |
プロフィール
| 生没年 | 1922年1月27日〜2017年 |
|---|---|
| 出身地 | スウェーデン |
| 国籍 | スウェーデン |
| 活動拠点 | ストックホルム |
| 分野 | 収納家具、建築 |
| 主な協働ブランド | String Furniture |
Reference
- String Furniture
- https://www.stringfurniture.com/
- Nationalmuseum, Stockholm
- https://www.nationalmuseum.se/en