概要
AZUMI(アズミ)は、安積伸と安積朋子によるデザインユニットである。1995年から2005年までの10年間、ロンドンを拠点に活動した。家具、照明、テーブルウェアを手がけ、なかでもカウンタースツールLEMで知られる。二人はいずれも京都市立芸術大学とロンドンの王立芸術学院を修了している。2005年にユニットを解き、それぞれ個人の事務所を構えた。
バイオグラフィー
安積伸は1965年に神戸で、安積朋子は1966年に広島で生まれた。二人とも京都市立芸術大学を卒業したのち、ロンドンの王立芸術学院(Royal College of Art)で学んでいる。
1995年、ロンドンでAZUMIとして活動を始めた。日本で教育を受けたのち英国の教育機関を経てそのまま現地で独立するという経路をとった世代にあたる。イタリア、英国、日本のメーカーからの依頼を受け、家具を中心に発表を続けた。
1999年に設計したLEMが、翌2000年4月のミラノサローネでラパルマから発表され、販売は2001年に始まった。この製品はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の収蔵品となっている。
2005年、二人はユニットとしての活動を終えた。安積伸は個人事務所 a studio を、安積朋子は t.n.a. Design Studio をそれぞれ同年に設立し、以後は別々に活動している。
デザインの思想と方法
AZUMIの仕事に共通するのは、複数の役割を一つの部材にまとめる操作である。別々の部品として設計すれば済むところを、あえて一続きの部材で処理する。部品点数が減るのは結果であって、目的は部材のつながり方そのものを形として見せる点にある。
LEMの座とフットレストの関係がその例にあたる。カウンタースツールでは座面が高く、足が床に届かないため足掛けが要る。通常は支柱の周囲にリングを回すか、脚のあいだに横棒を渡す。AZUMIは座を縁取るスチールのバンドをそのまま前方の低い位置へ回り込ませ、その部分を足掛けとした。座の縁と足掛けが同じ一本の材で、途中に接合部が現れない。
もうひとつの特徴は、装飾にあたる要素を加えないことである。輪郭は用途から決まった線だけで構成され、面を飾るための部材や、材質を見せるための処理を持たない。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館はLEMについて、必要な機能だけを残した構成が宇宙船を思わせるとしている。名称が月着陸船(Lunar Excursion Module)の略号によることも、この性格と対応している。
用途の条件は細部の仕様として引き受ける。LEMには昇降と回転の機構、離席後に座が元の向きへ戻る機構、床固定用のベース、昇降を省いた固定高さの仕様が用意される。輪郭は共通のまま、置かれる場所に応じて内部の構成が変わる。
代表作にみる方法
LEM(1999年設計・2000年発表、ラパルマ)
座を縁取る一本のスチールのバンドが、前方の低い位置へ回り込んでフットレストになるカウンタースツールである。支柱にはガススプリングが仕込まれ、昇降と回転ができる。
足掛けを別部材とすれば、支柱への取り付け位置と高さを決める必要が生じる。座から連続させれば、座面が上下しても足掛けとの距離が変わらない。昇降する椅子で足掛けを一体にすることには、この利点がある。
レムは発表以来生産が続いており、2001年にグッドデザイン賞を受けている。
ヤウチャ ティーセット
ロンドンの飲食店のために設計した茶器である。LEMと同じくヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に収蔵されている。家具以外の分野でも、用途から輪郭を決める手順は変わっていない。
評価と影響
LEMは、カウンタースツールという限られた用途の製品でありながら、長期にわたって生産が続いている例として受け止められている。飲食店の内装で用いられる場面が多く、そこでの使用条件が仕様の展開に反映されてきた。
二人が別々に活動を始めて以降も、AZUMI名義の製品は同じ形で生産されている。ユニットの活動期間は10年に限られるが、その間の仕事が現在も流通している形になる。
受賞・収蔵
- グッドデザイン賞(日本)2001年 — LEM
- ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 — LEM、ヤウチャ ティーセット
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 2000年 | スツール | LEM | ラパルマ |
| 2004年 | テーブルウェア | ヤウチャ ティーセット | ヤウチャ |
プロフィール
| 活動期間 | 1995年〜2005年 |
|---|---|
| 構成 | 安積伸(1965年、神戸生まれ)、安積朋子(1966年、広島生まれ) |
| 学歴 | いずれも京都市立芸術大学、ロンドン王立芸術学院を修了 |
| 活動拠点 | イギリス・ロンドン |
| 分野 | 家具、照明、テーブルウェア |
| 解散後 | 安積伸:a studio(2005年設立)/安積朋子:t.n.a. Design Studio(2005年設立) |
Reference
- 安積伸|注目のデザイナー(JDN デザイン情報サイト)
- https://www.japandesign.ne.jp/kiriyama/202_shin_azumi/
- LEM/lapalma(estic INOUT LIVING)
- https://onlineshop.estic-inoutliving.com/shopdetail/000000000066/
- LEM stool|lapalma 公式
- https://www.lapalma.it/en/products/lem