Lapalma ― イタリアンモダンデザインのブランド
Lapalma(ラパルマ)は、1978年、イタリア・パドヴァ近郊で、ダリオ・マルカートとロマーノ・マルカートの兄弟が自宅のガレージで週末に家具づくりを始めたことから生まれた家具ブランドです。NASAで使われる精密なトランジスタ・カプセルの製造に携わっていたという二人の技術的背景は、Lapalmaの製品づくりの土台になったとされています。
飽きの来ないシンプルなデザインをコンセプトに、住宅用からコントラクト用途まで、モダンな家具を手がけてきました。創業から40年以上を経た現在では、世界81ヶ国以上に製品を輸出しています。職人技と産業技術、生産効率と細部への配慮を組み合わせてきた点が、ものづくりの特徴です。
デザイン哲学 ― 軽やかさとエレガンスの追求
Lapalmaのデザインは、クリーンなライン、機能性、そして天然素材を活かす姿勢に特徴があります。木材、金属、レザー、ファブリックを組み合わせ、簡潔で長く通用するフォルムを追求することで、ミニマルでありながら端正、軽量でありながら堅牢というスタイルを築いてきました。
製品群に共通するのは「軽さ」という考え方です。月着陸船(Lunar Excursion Module)を思わせる無重力感は、Lapalmaのスタイルを象徴しています。屋内外や公私を問わず、生活のさまざまな場面に柔軟に対応するようデザインされた製品は、空間と人との間に穏やかな関係を生み出します。
持続可能性への取り組み
Lapalmaは創業当初から、天然素材とリサイクル可能な素材の使用を重視してきました。環境に配慮した生産と製品の長寿命化に取り組み、素材選定から製造、梱包、流通まで自社基準で品質を管理しています。ISO 9001の認証を取得しています。
デザイナーとの協働
Lapalmaのものづくりは、各国のデザイナーとの協働に支えられています。共同創業者の一人ロマーノ・マルカートは、経営者であると同時にインテリアアーキテクト・デザイナーとして、現在もデザインに関わっています。彼が手がけた「Aria」「Brio」「Brunch」などのシリーズは、コレクションの中でも重要な位置を占めています。
2013年には、イタリア人デザイナーのフランチェスコ・ロタをアートディレクターに迎えました。ロタは「PLUS」モジュラーソファシステム、「ADD」シリーズ、「Cut」アームチェア、「Screen」パーティションなどを手がけ、ブランドの現在のデザインの方向性を形づくっています。
このほか、エンツォ・ベルティやパトリック・ノルゲをはじめとする国内外のデザイナーとの協働を通じて、Lapalmaは新しいデザインを発表し続けています。
代表作品
LEM(レム)スツール ― 日本とイタリアの技術の出会い
Lapalmaを代表する作品が、2000年に発表された「LEM(レム)」スツールです。このカウンタースツールは、ロンドンを拠点に活動した日本人デザインユニット「AZUMI」(安積伸・安積朋子)によってデザインされました。若手だった彼らと創業者のマルカート兄弟との出会いから、この協働が始まりました。
LEMの特徴は、座面とフットレストが一本のフレームでつながる構造にあります。一本のスチールループを成形してカウンタースツールにまとめることで、軽やかなシルエットと座り心地を両立させました。無駄を省いたデザインは、日本の感性とイタリアの技術を結びつけた一脚として知られ、Lapalma社自身も「日本文化とイタリアの技術の融合」と表現しています。
発表後、LEMは各国で評価を得ました。発表と同じ2000年にFX国際インテリアデザイン賞の「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、日本のグッドデザイン賞も受けています。またヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(ロンドン)の永久コレクションに収蔵されています。ガススプリングによる昇降機能を備え、座面は木材、レザー、ファブリックから選べる実用性も、長く使われ続ける理由となっています。
CUBA + CUBO ― エンツォ・ベルティの機能美
イタリア人デザイナー、エンツォ・ベルティによる「CUBA」チェアと「CUBO」スツールは、Lapalmaのラインナップで重要なコレクションです。マットクローム仕上げのスチールフレームに、ブナ材・ラッカー仕上げ・レザー張りから選べる座面と背もたれを組み合わせ、スタッキング可能な実用性と端正なフォルムを両立させています。
CUBOは2つの高さで展開され、レストランやカフェなどのコントラクト用途から住宅まで幅広く使えます。ベルティの設計は、形の簡潔さと機能性のバランスに特徴があり、Lapalmaとの長年の協働を通じて多くの作品を生み出してきました。
PLUS モジュラーシステム ― 空間を再構成する柔軟性
2017年にフランチェスコ・ロタがデザインした「PLUS」は、多様化する空間のニーズに応えるモジュラーソファシステムです。柔らかなシルエットと、五つの形状と二つの高さを持つシート、二つの長さの背もたれ、アームレスト、そしてスマートフォンやタブレット、ノートパソコンを充電できるサイドテーブルで構成されています。
長方形・正方形・曲線などの要素を自由に組み合わせることで、住宅のソファからホテルロビーのアイランド型構成まで、幅広い配置に対応します。2024年には曲線モジュールが加わり、表現の幅が広がりました。同じくロタによる「Screen」パーティションとの組み合わせも可能です。
ADD システム ― 変化に対応する座席
同じくフランチェスコ・ロタによる「ADD」は、変化する空間のニーズに合わせやすい座席システムです。ADD、ADD S、ADD T、ADD Softといったバリエーションを持ち、作業空間とくつろぎの空間の両方に対応します。オフィスやラウンジ、公共スペースで用いられています。
Brunch テーブル ― 対照的な要素の組み合わせ
共同創業者ロマーノ・マルカートがデザインした「Brunch」テーブルは、対照的な二つの要素を一つの作品にまとめています。床に向かって湾曲し、緩やかに厚みを変える木製の天板と、直線的な金属製のベースが、非対称のフォルムを生み出しています。高さのあるスター型のテーブルで、現代のオフィスやコラボレーションスペースに向いています。
主要デザイナー
AZUMI(安積伸 & 安積朋子)
安積伸(1965年神戸生まれ)と安積朋子(1966年広島生まれ)は、ともに京都市立芸術大学で学んだのち、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学びました。1995年から2005年まで、デザインユニット「AZUMI」としてロンドンを拠点に活動し、Lapalmaの代表作「LEM」を生み出しました。その後、安積伸は「a studio」を、安積朋子は「t.n.a. Design Studio」をそれぞれ設立しています。彼らの作品はMagis、Lapalmaなど国内外の企業との協働によるもので、FX国際インテリアデザイン賞「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」をはじめ数多くの賞を受けています。
Francesco Rota(フランチェスコ・ロタ)
2013年にLapalmaのアートディレクターに就任したフランチェスコ・ロタは、ブランドのデザインの方向性に大きな影響を与えました。PLUS、ADD、Cut、Screenなど多数のコレクションを手がけ、モジュラーシステムと柔軟な空間づくりを進めてきました。Lapalmaの現在のアイデンティティを形づくるデザイナーの一人です。
Enzo Berti(エンツォ・ベルティ)
イタリアを代表するデザイナーの一人エンツォ・ベルティは、Artemide、Magisなどのブランドとも協働しています。Lapalmaでは、CUBAとCUBOのコレクションを通じて、イタリアンデザインの「beautiful and well-made(美しく、よく作られている)」という考え方を実践してきました。細部への配慮と機能美の追求に、ベルティの作品の特徴があります。
Romano Marcato(ロマーノ・マルカート)
Lapalmaの共同創業者ロマーノ・マルカートは、経営者であると同時に、インテリアアーキテクト・デザイナーとして製品開発に関わっています。Aria、Brio、Brunchなど多数のシリーズを手がけ、ブランドの核となるデザインの考え方を形づくってきました。
品質への取り組み ― Made in Italy
Lapalmaの製品は、パドヴァ近郊カドネーゲの自社工場で一貫生産されています。創業の地で製造を続けることで、地域の職人技と最新技術を組み合わせたものづくりを行ってきました。独自の品質管理基準のもと、耐久性と安全性を確認したうえで製品を出荷しています。
アルミニウムや成型合板といった素材を扱う技術力と、各国のデザイナーとの協働は、数々の国際的な評価につながっています。ロンドンのインテリアデザイン賞や日本のグッドデザイン賞など、多くのデザインアワードを受けてきました。
製品カテゴリー
Lapalmaは、現代生活のさまざまな場面に対応する製品カテゴリーを展開しています。
- Lounge(ラウンジ):くつろぎと会話のための空間に向けたソファ、アームチェア、ローテーブルのコレクション
- Light Office(ライトオフィス):柔軟な働き方に対応するモジュラーシステムと機能的な家具群
- Café(カフェ):レストラン、バー、カフェなどの商業空間に向けた、耐久性とスタイルを兼ね備えたチェアとテーブル
- Home(ホーム):住宅空間に向けたダイニングテーブル、チェア、収納家具
- Outdoor(アウトドア):屋外使用に適した、耐候性に優れた家具
グローバルな展開
ガレージでの週末の家具づくりから始まったLapalmaは、現在では世界81ヶ国以上に製品を輸出しています。ミラノ・サローネやケルン国際家具見本市など、主要なデザインイベントに定期的に出展し、新しいコレクションを発表しています。
Lapalmaの製品は、ホテル、空港、美術館、オフィス、教育機関など、各国のコントラクトプロジェクトでも採用されています。
未来への展望
40年以上の歴史を持つLapalmaは、創業者の姿勢を受け継ぎながら、次世代のデザイナーとの協働を通じて新しい提案を続けています。持続可能性、モジュール性、柔軟性といった現代の要請に応えながら、イタリアンデザインの特徴である美しさと品質を追求しています。
基本情報
| ブランド名 | Lapalma(ラパルマ) |
|---|---|
| 設立 | 1978年 |
| 創業者 | Dario Marcato(ダリオ・マルカート)、Romano Marcato(ロマーノ・マルカート) |
| 本社所在地 | イタリア・ヴェネト州カドネーゲ(パドヴァ近郊) |
| アートディレクター | Francesco Rota(フランチェスコ・ロタ)- 2013年就任 |
| 主要デザイナー | AZUMI(安積伸・安積朋子)、Francesco Rota、Enzo Berti、Romano Marcato、Patrick Norguet ほか |
| 認証 | ISO 9001取得 |
| 主な受賞歴 | グッドデザイン賞(日本)、FX国際インテリアデザイン賞、ほか |
| 輸出国 | 世界81ヶ国以上 |
| 公式サイト | https://www.lapalma.it/ |