Sam Maloof Woodworker(サム・マルーフ・ウッドワーカー)

Sam Maloof Woodworker, Inc.は、家具作家Sam Maloof(1916年〜2009年)が自身の制作のために築いた工房を法人化したものである。1940年代後半に自宅の車庫で家具の制作を始めたことを起点とし、カリフォルニア州アルタロマの工房で一脚ずつ削り出す製作を続けている。量産の設備を持たず、詳細な図面に頼らずに職人の手で形を決める点に特徴がある。Maloofの死後も、弟子が経営と制作を引き継いでいる。

事業と製造の実体

この工房の制作は、図面ではなく手の判断によって進む。帯鋸で下描きなしに部材を切り出し、その後スポークシェイブ、スクレーパー、ラスプといった手道具で削り込む。部材と部材が途切れずに連続する造形は、この工程から生まれる。同じ設計でも一点ごとに寸法がわずかに異なる。

座面は複数の板を接ぎ合わせ、緩やかな窪みを削り出す。臀部の当たる位置を深く、縁を薄く仕上げることで、長時間の使用に対応する形状にあたる。

脚と座面の接合には、Maloofが考案した接合方法が用いられる。接着の面積と機械的な強度を同時に高める構成で、細い脚で座部を支えることを可能にしている。

素材はブラックウォールナットを基本とし、杢の出たメープル、チェリー、ローズウッドなども用いられる。ねじ穴の栓や装飾の帯にはエボニーが差される。仕上げはオイルとポリウレタンを混ぜた塗料と蝋によるもので、木肌の質感を残す。

工房では新作の制作と並行して、初期のMaloofの家具の修理・修復も受け付けている。

沿革

Sam Maloofは1916年、レバノン系移民の家庭に生まれた。図案の仕事を経て1940年代後半に家具の制作へ転じ、自宅の車庫で作業を始めている。

Maloofは独学で家具の技術を身につけた。設計を量産の目的で他社へ譲ることはせず、生涯にわたって工房での手作りを続けている。

メトロポリタン美術館は1987年制作の長椅子を収蔵しており、収蔵番号1988.190として登録している。

Maloofは存命中にSam Maloof Woodworker, Inc.を設立し、自身の承認のもとで仕事を引き継ぐ体制を整えた。2009年に死去したのち、2017年には30年以上Maloofのもとで学んだ職人Mike Johnsonが経営を引き継いでいる。現在は家族経営の工房として、Maloofの元の作業場で制作が続けられている。

同社のほかに、Maloofの設計を複製・販売する権利を与えられた個人や企業は存在しない。

デザイナーとの協働

Sam Maloof Woodworkerは、外部の設計者へ委嘱する方式を採らず、工房の職人が設計と制作の双方を担う構成にあたる。図面を用いずに形を決める工程のため、設計と製作が原理的に分離しない。

創業から2009年まではSam Maloof本人が制作を担い、以後は弟子のMike Johnsonが引き継いでいる。技法は工房での作業を通じて直接伝えられてきた。

主な製品群

サム・マルーフ ロッキングチェアは、この工房を代表する椅子である。座面から背、肘へ連続する曲面を持ち、揺れの支点となる長い脚を備える。現在も同じ工房で受注に応じて制作される。

このほか、背の低い椅子、食卓用の椅子、木端を残した一枚板の卓、自立する収納家具を扱う。1950年代から現在に至る設計が、複数の樹種で製作できる。

基本情報

正式名称 Sam Maloof Woodworker, Inc.
創業 1948年(家具制作の開始)
創業者 Sam Maloof(1916年〜2009年)
所在地 アメリカ合衆国カリフォルニア州アルタロマ
現在の経営 Mike Johnson(2017年〜)
事業内容 手作り家具の製作、初期の家具の修理・修復
公式サイト https://www.sammaloofwoodworker.com

Reference

The Metropolitan Museum of Art - Collection API
https://collectionapi.metmuseum.org/public/collection/v1/search?q=Sam Maloof
Sam Maloof Woodworker - 公式サイト
https://www.sammaloofwoodworker.com