Le Klint(レ・クリント)
Le Klintは、デンマーク・オーデンセに拠点を置く照明メーカーである。20世紀初頭、建築家P. V. Jensen-Klint(1853年〜1930年)が自作の石油ランプに合わせて一枚の紙を手で折った傘を作ったことに始まる。家族の手仕事として続いたこの折りを、息子のTage Klintが1943年に事業として立ち上げた。平らな紙や樹脂の板を職人が折り上げて立体を作る製法を軸とし、現在もオーデンセの工房で折りの工程が行われている。
事業と製造の実体
Le Klintの製品を規定しているのは、手で折る傘の製法である。型を用いた成形ではなく、平らな板を職人が折り込むことで初めて三次元の形が成立する。折りの順序と角度が仕上がりを決めるため、技術の習得に時間を要し、すべての型を折り分けられるようになるまでには数年の修練が必要とされる。この技術は新しい製品の開発にも関わり、職人が形の成立可能性を判断する場面がある。
素材は紙と樹脂の板に分かれる。紙の傘は光をより穏やかに透過させ、樹脂の板は紫外線への耐性と帯電の防止を備えて汚れを拭き取りやすい。いずれも幾重にも折り込まれたひだを通して光が拡散するため、光源が直接見えず、まぶしさが抑えられる。
傘を枠に固定するには、Tage Klintが加えた弾性のある留め輪が用いられる。この構造の原理は1938年に特許化された。折った傘を枠へ確実に留めながら、着脱もできる構成にあたる。
折りの工程はオーデンセの工房でのみ行われる。金属部品の多くはデンマーク国内の協力企業が担い、真鍮やアルミニウムの表面には保護のための処理が施される。
沿革
手仕事から事業へ
20世紀初頭、建築家・技術者のP. V. Jensen-Klintは、自ら設計した石油ランプに合う既製の傘が見当たらず、一枚の紙を折って傘を作った。この折りは家族と知人の協力を得ながら改良が重ねられ、クリント家に受け継がれる手仕事となる。
1943年、Jensen-Klintの息子Tage Klintがこの手仕事を事業として立ち上げた。傘を枠に留める弾性の留め輪を加え、その原理は1938年に特許化されている。同年に作られた最初の型は、Jensen-Klintの初期の折りにもとづくもので、現在も同じ製法で生産が続いている。
設計者との協働
創業期のLe Klintは、Tageの弟にあたる建築家・家具設計者Kaare Klint(1888年〜1954年)の関与を得た。Kaareは1944年に、多面体状に折った閉じた球形の傘を持つ吊り下げ型の照明を手がけている。同じ時期にはEsben Klintによる型(1942年)、Mogens Kochによる型(1942年)も加えられた。
1969年から1987年にかけて、建築家Poul Christiansenが折りの構成を変えた。それまで直線的なひだで折られていた傘に対し、正弦曲線を組み合わせて折ることで、曲面を持つ傘を生み出している。1971年のペンダント172(サイナスライン172)はこの系統の製品にあたる。
2003年、同社はデンマーク王室御用達の指定を受けた。近年も北欧の設計者との協働が続いている。
デザイナーとの協働
Le Klintの製品開発は、外部の設計者と工房の職人の往復によって進む。折りの構成が製品の形をそのまま決めるため、設計案は折り方の提案という形を取り、実際に折れるかどうかを職人が判断する構成にあたる。
20世紀の協働相手にはKaare Klint、Esben Klint、Mogens Koch、Poul Christiansenがいる。近年も北欧の設計者との協働が行われている。
Kaare Klintの設計思想や経歴について詳しくはKaare Klintプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
Kaare Klintが1944年に手がけたペンダント101 ザ・ランタンは、多面体状に折った閉じた球形の傘を持つ吊り下げ型の照明である。光源を四方から覆うため、高い位置に吊す用途に適する。
Poul Christiansenが1971年に手がけたペンダント172(サイナスライン172)は、正弦曲線を用いた折りにより波打つ曲面を持つ。後年に寸法の展開が広げられ、住宅から商業空間まで用いられている。
このほか、1943年の最初の型を含む定番の系列、床置き、卓上、壁付けの各形式を扱う。
基本情報
| ブランド名 | Le Klint(レ・クリント) |
|---|---|
| 創業 | 1943年 |
| 創業者 | Tage Klint |
| 起点 | P. V. Jensen-Klint(1853年〜1930年)による手折りの傘 |
| 本社・生産拠点 | デンマーク・オーデンセ |
| 事業内容 | 照明器具の設計、製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.leklint.com |
Reference
- Le Klint - 公式サイト
- https://www.leklint.com
- Wikipedia - Le Klint
- https://en.wikipedia.org/wiki/Le_Klint