アジョン・スタジオ

アジョン・スタジオ(Hayon Studio)は、スペインの美術家でありデザイナーでもあるハイメ・アジョンが2000年に立ち上げたデザインスタジオである。家具やプロダクトにとどまらず、陶磁器、ガラス、テキスタイル、インテリア空間、大型インスタレーション、そして限定エディションのアート作品までを横断的に手がけ、デザインと美術の境界を自在に行き来する制作姿勢で知られる。

鮮やかな色彩と有機的で物語性のあるフォルム、そしてスペインの手仕事の伝統を土台とした作風は、現代のデザインシーンのなかで独自の位置を占めている。バレンシアとバルセロナ、そしてイタリアのトレヴィーゾに拠点を構え、ヨーロッパを中心に世界各地のブランドや文化施設と協働している。

特徴とデザインの姿勢

アジョン・スタジオの仕事を貫くのは、遊び心と工芸的な精度を両立させる姿勢である。ハイメ・アジョンは、鳥や動物、植物、サーカス、菓子といった日常のモチーフを出発点に、その特徴を拡大・誇張しながら、親しみと幻想が同居するオブジェへと変換していく。マドリードとパリでインダストリアルデザインを学んだのち、ベネトングループの研究機関ファブリカでデザイン部門を率いた経歴が、そのアイデアを実際のかたちへと落とし込む技術的な裏づけとなっている。

スケッチから立体へと展開される造形は、ガラス、陶磁、木、金属など多様な素材を用い、それぞれの産地の職人技と結びついて実現される。工業的な量産と、一点ずつ手をかける工芸的な制作の双方に軸足を置く点が、スタジオの制作の幅広さを支えている。

ヒストリー

ハイメ・アジョンは1974年にマドリードで生まれ、若い頃に親しんだスケートボード文化やグラフィティが、その後の大胆で色彩豊かな作風の土壌となった。マドリードでインダストリアルデザインを修めたのち、パリの国立高等装飾美術学校(ENSAD)で学び、1990年代後半にイタリアのファブリカに参加してデザイン部門を統括した。

2000年に独立してスタジオを設立。2003年にロンドンのデヴィッド・ギル・ギャラリーで開いた個展「Mediterranean Digital Baroque」で、家具と美術の境界を横断する作風が注目を集めた。以降、家具ブランドとの協働から、美術館やギャラリーでの発表、都市空間のインスタレーションまで、活動の領域を大きく広げている。

主な作品とコラボレーション

アジョン・スタジオは、自主制作のアート作品と、各分野を代表するブランドとの協働の双方で知られる。

自主制作の代表作のひとつが、2008年に発表されたロッキングチェア「グリーンチキン」である。鶏のかたちを大胆に拡大し、鮮烈な緑のラッカー仕上げのファイバーグラスで仕上げたこの作品は、2006年に上海のコントラスツ・ギャラリーで催された「デザインか美術か」を主題とする展覧会のために構想され、限定8点のエディションとしてイタリアの職人の手で制作された。うち1点はアトランタのハイ美術館のコレクションに収蔵されている。

ブランドとの協働では、スペインのBDバルセロナのために手がけた家具コレクション「Showtime」(2006年)、フリッツ・ハンセンのイージーチェア「Ro」やアームチェア「Fri」、陶磁ブランドのボサ、クリスタルメーカーのバカラ、磁器のリヤドロ、デンマークの&Traditionなど、多岐にわたる。プロダクトから空間、アートまでを一貫した美意識で結ぶ点に、スタジオの特色がある。

基本情報

正式名称 Hayon Studio(アジョン・スタジオ)
設立 2000年
創業者 ハイメ・アジョン
所在地 スペイン(バレンシア/バルセロナ)、イタリア(トレヴィーゾ)
分野 家具、プロダクト、陶磁・ガラス、インテリア、インスタレーション、アート
公式サイト https://hayonstudio.com