Fermob(フェルモブ)
Fermobは、フランス・アン県の金属家具メーカーである。19世紀末にトワシーの鍛冶職人が門扉の製造から屋外用の鉄製家具へ範囲を広げたことを起点とし、1953年から庭園向けの家具の生産を始めた。社名はフランス語のfer(鉄)とmobilier(家具)を組み合わせたものにあたる。1989年にBernard Reybierが従業員十数名の工房を取得して以降、粉体塗装による多色の展開と外部の設計者との協働によって事業を広げた。製造は現在もアン県で行われている。
事業と製造の実体
Fermobの生産拠点はアン県にある。創業地のトワシーから1980年にサン=ディディエ=シュル=シャラロンヌへ移り、現在も同地で製造が行われている。
製造の基盤にあるのは鋼とアルミニウムの加工である。細い鋼の棒材を曲げ、溶接して骨組みを作る工程が中核で、直径10ミリ程度の棒材から立体を成形できる点が製品の形を規定している。ビストロチェア(ビストロ メタルチェア)は1889年の設計にもとづく折り畳み椅子で、部材の点数を抑えながら折り畳みの機構を成立させる構成を採る。
表面処理も製品の性格を決めている。屋外での使用に耐えるため粉体塗装が施され、この工程は色を自由に選べる性質を持つ。1996年、Fermobは24色の体系を導入した。当時の屋外用家具は白か濃緑が主流で、樹脂の安価な製品が市場を占めていた。同じ形の製品を色によって性格の異なるものとして展開する構成は、この工程を前提としている。
アルミニウムを用いる製品では、軽量さと積み重ねの成立が条件になる。リュクサンブール チェアは座面に湾曲した細い板材を並べる構成で、枠を積み重ねられる形状に整えてある。
沿革
鍛冶から庭園家具へ
19世紀末、アン県トワシーで鍛冶を営む一家が事業を始めた。当初は蹄鉄を扱っていたが、自動車の普及により需要が変化したため、リヨン近郊の別荘向けの門扉や屋外用の鉄製家具へ範囲を広げている。この時期、椅子の背に装飾的な渦巻きを加えたことが家具製造への転機となった。1953年から庭園向けの家具の生産が始まった。
1980年、工場がサン=ディディエ=シュル=シャラロンヌへ移転している。
Bernard Reybierによる再建
1989年、Bernard ReybierがFermobを取得した。当時の従業員は十数名で、経営は困難な状況にあった。Reybierは色と設計を軸とする方針を採り、1996年に24色の体系を導入している。
1889年の設計にもとづく折り畳み椅子は、この時期に主力の製品となった。パリのカフェの店先で用いられてきた形式で、折り畳めるため収納の場所を取らない。現在は年間15万脚が販売されている。
公共空間向けの製品
パリのリュクサンブール公園で用いられてきた椅子は、1920年代にパリ市の公園部門の工房で作られたもので、Fermobの前身にあたる企業も製造に関わっていた。2003年から2004年にかけて、同社は設計者Frédéric Sofiaにこの椅子の再解釈を依頼している。Sofiaは公園の各種の椅子を実測し、1年をかけて検討を進めた。生まれたのがアルミニウムを用いるリュクサンブール チェアの系列で、現在も同公園向けの家具を同社が製造している。
現在はPascal Mourgue、Andrée Putman、Matali Crassetらとの協働により製品群を広げ、照明や繊維製品も扱う。経営はReybierの子の世代へ引き継がれている。
デザイナーとの協働
Fermobの製品開発は、外部の設計者との協働によって進む。金属の加工と粉体塗装という自社の工程が前提にあり、設計案はこの条件のなかで検討される。既存の設計を再解釈する企画も行われ、公共空間で長く用いられてきた椅子を現在の生産条件へ置き換える作業がこれにあたる。
協働相手にはFrédéric Sofia、Pascal Mourgue、Andrée Putman、Matali Crassetらがいる。
主な製品群
ビストロチェア(ビストロ メタルチェア)は1889年の設計にもとづく折り畳み椅子である。鋼の棒材と板材で構成され、折り畳んで重ねられる。多数の色が用意される。
リュクサンブール チェアは、パリのリュクサンブール公園の椅子をFrédéric Sofiaが再解釈した製品にあたる。アルミニウムを用い、座面に湾曲した板材を並べる構成で、積み重ねができる。
このほか、卓、寝椅子、照明、繊維製品を扱う。
基本情報
| ブランド名 | Fermob(フェルモブ) |
|---|---|
| 起点 | 19世紀末(トワシーの鍛冶工房)。庭園家具の生産は1953年から |
| 社名の由来 | fer(鉄)とmobilier(家具) |
| 生産拠点 | フランス・アン県サン=ディディエ=シュル=シャラロンヌ(1980年〜) |
| 経営 | 1989年にBernard Reybierが取得。非上場 |
| 事業内容 | 屋外用を中心とする金属家具・照明・繊維製品の設計、製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.fermob.com |
Reference
- Fermob - Luxembourg Chair
- https://www.fermob.com/us/chair-luxembourg-chair.html
- Wikipédia - Fermob
- https://fr.wikipedia.org/wiki/Fermob
- DirectIndustry e-Magazine - In Fermob's Thoissey Workshops, Steel Bows to Design
- https://emag.directindustry.com/2025/09/11/factory-fermob-thoissey-workshops-steel-design-manufacturing-bistro-luxembourg/
- Monocle - Amid Paris's everyday hustle, the city's iconic Fermob chair
- https://monocle.com/design/fermob-lounge-chairs-jardin-luxembourg/