フレデリック・ソフィア

フレデリック・ソフィア(Frédéric Sofia)は、1967年、フランスのリヨンに生まれたデザイナーである。パリを拠点に、日常に根づいた道具を工業的な視点から捉え直す仕事を続けており、フランスの屋外家具メーカー、フェルモブ(Fermob)との協働で広く知られている。

経歴

技術系の課程で機械工学を修めたのち、マーケティングを学んだ経歴を持つ。デザインそのものは独学で身につけ、産業や経済との結びつきを重んじる姿勢で制作に臨んできた。2000年前後に自身のスタジオを構え、以降は各分野の企業と密接に協働しながらプロダクトを手がけている。フェルモブの経営者ベルナール・レイビエとの出会いを機に始まった同社との協働は、彼を代表する仕事となった。また、カトリーヌ・ソフィアとともに現代美術のユニット「FC Sofia」としても活動し、2022年からはデザイン誌『イントラミュロス(Intramuros)』のアートディレクターを務めている。

デザインの思想とアプローチ

ソフィアの仕事は、まったく新しい形を生み出すよりも、すでに人々の記憶に定着した「原型(アーキタイプ)」を出発点とする点に特徴がある。単純で無駄のない構造を好み、集合的な記憶に属する記号や象徴を手がかりにしながら、既存の類型に経済的で無理のない変奏を加えていく。対象となる物を物語のなかに位置づけ、日々の暮らしを扱いやすく心地よいものにすることを制作の主眼に据えている。自らを「デザインの実践者(praticien du design)」と称し、長く使われる道具をつくることを今日的な課題として意識している。

主な代表作

「リュクサンブール(Luxembourg)」は、ソフィアの名を広く知らしめたコレクションである。パリのリュクサンブール公園では、1923年にパリ市の工房(Ateliers de la Ville de Paris)が製作した金属製の椅子が長く使われてきた。2004年、フェルモブはこの椅子の再解釈をソフィアに依頼する。彼は特徴的な輪郭を保ちながら、素材をスチールから軽量なアルミへと替え、身体に沿う湾曲したスラットで座り心地を高めた。スタッキングが可能で天候にも耐えるこのコレクションは、フランスの屋外での過ごし方を象徴する存在として、国内外の庭園やテラス、公共空間で広く用いられている。

「ロレット(Lorette)」は、楕円形の背もたれを持つ古典的なメダイヨン・チェアを下敷きに、ソフィアが現代的に描き直したコレクションである。背もたれにはレーザーでくり抜かれた鋼板が用いられ、地中海地方の格子細工(ムーシャラビエ)を思わせる透かし模様が施されている。花と菱形を組み合わせた図案が、1950〜60年代のデザインを想起させる線とともに、金属加工の技術を生かして表現されている。

「シックスティーズ(Sixties)」は、その名のとおり1960年代の空気をまとったコレクションで、編み込んだ樹脂とアルミのフレームを組み合わせた軽やかな座り心地が持ち味である。丸みを帯びた形は屋外にも室内にもなじみ、持ち運びやすさとともに親しまれている。

評価

リュクサンブール・コレクションの作品は、フランスの公的コレクションにも収められており、国立造形芸術センター(Centre national des arts plastiques)や国立家具調度品管理機構(Mobilier national)がこれを収蔵している。既存の家具を出発点としながら、産業的な条件のなかで新たな価値を与えるソフィアの手法は、屋外家具の分野に確かな足跡を残している。

年月区分作品名ブランド
2004年チェア(コレクション)LuxembourgFermob
チェア(コレクション)LoretteFermob
チェア(コレクション)SixtiesFermob

Reference