デザイナーカーペット ― デザイン史の名作を手仕事の絨毯へ
デザイナーカーペット(Designercarpets)は、ドイツ南西部の街レラハに拠点を置くカーペット・マニュファクチャーです。 正式名称を「DESIGNERCARPETS by Teppich Drechsle GmbH & Co. KG」といい、 1949年に創業した家族経営の会社が三代にわたって受け継いできた手織り絨毯の技術を土台としています。 ヴェルナー・パントンやバウハウスのゲルトルート・アルントをはじめとする著名なデザイナー・芸術家の絨毯デザインについて 正規ライセンスを有し、その復刻生産と流通を担う点に、このブランドの独自性があります。
同社は、20世紀デザインの遺産を現代の空間へ届ける橋渡し役として、 一枚ごとに顧客のために手作業で仕上げる受注生産を基本としています。 とりわけヴェルナー・パントンの絨毯コレクションについては、公式ライセンスに基づく生産・販売元として知られ、 その作品はスイス国境に近いヴィトラ・キャンパスのヴィトラハウスでも紹介されています。
ブランドの特徴とコンセプト
ライセンスに基づく名作絨毯の復刻
デザイナーカーペットの中核をなすのは、著名なデザイナーや芸術家の図案を絨毯として忠実に再現するライセンス生産です。 ヴェルナー・パントン、バウハウスのゲルトルート・アルント、カルメン・シュタルバウマーらの絨毯デザインについて 正規ライセンスを保有し、原案の色彩・比率・質感を尊重しながら製品化しています。 とりわけパントンの絨毯については、パントン家との長年にわたる協働のもとで、 当時の織り上がりに忠実な復刻を追求してきました。
素材と製造拠点
製品には主に上質な羊毛(シュアウール)と絹が用いられ、一枚ごとに職人の手作業で織り上げられます。 同社は、麻やイラクサといった、当時としては珍しい天然素材の加工にいち早く取り組んできた点でも知られます。 主たる生産拠点はネパールの首都カトマンズにあり、1983年に自社工房を設けて以来、 伝統的な手織りの技術と、色・柄・形・寸法における高い自由度を両立させてきました。 このほかモロッコ、ポルトガル、インドにも製造拠点を持っています。
労働環境への配慮
各製造拠点はいずれも家族経営の工房であり、社会的責任と適正な労働環境を重んじています。 同社は工房における作業条件を厳格に管理し、児童労働を排除する方針を明確に掲げています。 手仕事による絨毯づくりの伝統を受け継ぐうえで、作り手への敬意と持続可能な生産体制を重視する姿勢は、 ブランドの基盤を成しています。
ブランドヒストリー
創業とオリエンタル絨毯の時代(1949年〜)
デザイナーカーペットの歴史は、1949年、現在の代表シュテファン・ドレクスレの母マグダレーナ・ドレクスレが、 ドイツとスイスの国境に近いレラハで開いた家業に始まります。 当初は家具を扱う店でしたが、1960年代後半には、伝統的な手織りオリエンタル絨毯を専門に扱い、 誂える店へと発展していきました。
ネパール自社工房の設立(1983年)
それまで第三者からの輸入に頼っていた同社は、1983年、カトマンズに独自の生産拠点を設立します。 これにより、特別な仕様の高級絨毯を顧客の求めに応じて誂えることが可能となりました。 最高品質の絨毯を求めるなら、それを実現できる土地で作るべきだという判断から選ばれたのがネパールであり、 この自社製造の確立が、のちのデザイナーズ絨毯への展開を支える基盤となりました。
デザイナーズ絨毯への転換(1990年代後半〜)
自社の製造能力を確立した同社は、1990年代後半、世界的に著名なデザイナーの図案に基づく絨毯の生産へと歩みを進めます。 その最初の取り組みが、ヴェルナー・パントンの絨毯コレクションでした。 パントン家との対話を重ね、色と品質の双方に納得のゆく試作を繰り返すなかで、 「デザイナーカーペット」というブランドの方向性が定まっていきました。 その後、ピエール・ポラン、カリム・ラシッド、パトリック・ノルゲ、カルメン・シュタルバウマー、アリック・レヴィといった デザイナーやアーティストが加わり、羊毛と絹による絨毯の顔ぶれを広げています。
主なデザイナーとコレクション
- ヴェルナー・パントン(Verner Panton, 1926–1998)
- デンマークを代表するデザイナー。円と正方形を組み合わせた幾何学模様「ジオメトリ」(1960年)をはじめ、 オプアートの感覚を絨毯に持ち込んだ図案で知られます。 デザイナーカーペットはパントンの絨毯コレクションの公式ライセンス生産・販売元であり、 その作品はヴィトラハウスでも紹介されています。
- ゲルトルート・アルント(Gertrud Arndt, 1903–2000)
- バウハウスで織物を学んだデザイナー。幾何学的な構成による織物デザインを残し、 デザイナーカーペットはそのバウハウス絨毯を正規ライセンスのもとで手がけています。
- ピエール・ポラン(Pierre Paulin, 1927–2009)
- フランスを代表するデザイナー。シュテファン・ドレクスレとは2004年以来の親交があり、 その絨毯デザインがコレクションに加えられています。
- カリム・ラシッド(Karim Rashid, 1960–)
- エジプト生まれ、ニューヨークを拠点とするデザイナー。 デザイナーカーペットのために独自の絨毯を手がけています。
- パトリック・ノルゲ(Patrick Norguet, 1969–)
- フランスのプロダクトデザイナー。現代的な感覚の図案でコレクションに参加しています。
- カルメン・シュタルバウマー(Carmen Stallbaumer)
- アーティストとして独自の作品世界を絨毯デザインに展開しています。 デザイナーカーペットは正規ライセンスのもとでその作品を製作しています。
- アリック・レヴィ(Arik Levy, 1963–)
- イスラエル生まれ、パリを拠点とするアーティスト・デザイナー。 モジュール的な構成の絨毯などでコレクションに加わっています。
基本情報
| 正式名称 | DESIGNERCARPETS by Teppich Drechsle GmbH & Co. KG / デザイナーカーペット |
|---|---|
| 創業 | 1949年 |
| 創業者 | マグダレーナ・ドレクスレ(Magdalena Drechsle) |
| 代表者 | シュテファン・ドレクスレ(Stefan Drechsle) |
| 所在地 | ドイツ・レラハ(Palmstraße 4, 79539 Lörrach, Germany) |
| 事業内容 | 高級手織り絨毯・キリムのデザイン、製造、流通(受注生産・オーダーメイド対応) |
| 主要素材 | 羊毛(シュアウール)、絹、天然繊維(麻・イラクサ等) |
| 製造拠点 | ネパール(カトマンズ・主拠点)、モロッコ、ポルトガル、インド |
| 正規ライセンス | ヴェルナー・パントン絨毯コレクション、ゲルトルート・アルント/バウハウス、カルメン・シュタルバウマー 他 |
| 公式サイト | https://www.designercarpets.com/ |