スーペルレッジェーラ 699:軽さと堅牢性の完璧な調和
スーペルレッジェーラ699は、イタリアの巨匠ジオ・ポンティが1957年にカッシーナのために創造した、二十世紀デザイン史における最も重要な椅子のひとつである。「スーペルレッジェーラ」とはイタリア語で「超軽量」を意味し、その名の通り、わずか1.7キログラムという驚異的な軽さを実現しながら、卓越した堅牢性を兼ね備えた革新的な作品として、今日まで世界中で愛され続けている。
デザインの哲学と背景
スーペルレッジェーラの誕生は、ポンティの「重いものから軽いものへ」という技術の永遠のプロセスを追求した結果である。ポンティは「スーペルレッジェーラを創造するにあたり、私は不活性な素材と重量を取り除き、形態を構造と極限まで同一化させるという、技術の永遠のプロセスに従った。それは賢明に、そして虚飾なく、つまり実用性と正確な堅牢性を同時に尊重しながら行われた」と語っている。
このデザインは、リグーリア州キアヴァーリの町で伝統的に作られてきた軽量な木製椅子からインスピレーションを得ている。1807年にジュゼッペ・ガエターノによって生み出されたキアヴァーリチェアの伝統を、ポンティはカッシーナの熟練職人たちとの緊密な協働を通じて、モダニズムの言語へと昇華させた。1951年に発表された「レッジェーラ」をさらに洗練させ、1955年から1957年にかけて完成させたスーペルレッジェーラは、伝統的な職人技と工業技術の完璧な融合を示す作品となった。
革新的な構造と技術
トライアングル断面の脚部
スーペルレッジェーラの最も革新的な特徴は、わずか18ミリメートルのトライアングル断面を持つ脚部である。従来の円形断面から三角形断面への転換は、構造強度を維持しながら重量を劇的に削減するという、ポンティと職人たちの大胆な技術的挑戦の成果であった。軽量で柔軟性のあるアッシュ材をフレームに使用し、座面周囲には目が詰まって強度の高いブナ材を採用することで、構造的完璧性を実現している。
職人技と工業生産の融合
カッシーナの職人たちは、座面フレームの無垢材から直接削り出された、ローレット加工されたほぞ継ぎを考案した。この独創的な接合システムにより、極めて細身のフォルムでありながら、卓越した堅牢性を持つ椅子が実現された。木材部品は機械加工された後、手作業で仕上げられ、接着剤は刷毛で塗布され、余分な接着剤は拭き取られ、座面は手作業で編まれる。こうして職人の専門技術と工業的革新が、イタリアデザインの「原型的オブジェ」と呼ぶべき作品において結実している。
伝説的なエピソード
スーペルレッジェーラには、その堅牢性を示す印象的なエピソードが残されている。デザインの最終確認として、ポンティはこの椅子を建物の4階から通りに投げ落とすという大胆な耐久性テストを行った。椅子は地面で跳ね返り、破損することなく無傷のままであった。この結果に満足したポンティは、製品化への確信を得たのである。
また、その驚異的な軽さを伝えるため、カッシーナは子供が指一本でスーペルレッジェーラを持ち上げる姿を描いたユーモラスな広告キャンペーンを展開した。ポンティ自身も「薄暗がりの中では、椅子は二本の脚だけで支えられているように見え、さらに軽やかに感じられるだろう」と語り、視覚的な軽快さまでも設計に織り込んでいた。
世界的評価と文化的影響
スーペルレッジェーラは発表以来、デザイン界における最高峰の作品として認められてきた。ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム、デンバー美術館をはじめとする世界の主要な美術館のコレクションに収蔵されており、二十世紀デザイン史における不朽の名作としての地位を確立している。
2024年6月、スーペルレッジェーラは第28回コンパッソ・ドーロにおいてプロダクト・キャリア賞を受賞した。1954年にポンティ自身が創設したこの権威あるデザイン賞から、創設者への敬意として功労賞が贈られたことは、この作品の歴史的重要性を改めて証明するものである。審査員は「すべてのデザイナーにとって、椅子のプロジェクトは最も複雑な課題のひとつである。ジオ・ポンティはこの対峙から逃れることなく、スーペルレッジェーラを通じて革新と伝統との個人的な関係を具現化し、未来への比較要素として自らを提示した」と評している。
ポンティは生前、スーペルレッジェーラを「形容詞を持たない椅子、椅子そのもの」と表現した。装飾を排し、本質のみを追求したこの作品は、モダンデザインの新たな表現性を体現する象徴となり、イタリアンデザインのアイコンとして、今日もなおカッシーナによって継続的に生産され続けている。
基本情報
| デザイナー | ジオ・ポンティ(Gio Ponti) |
|---|---|
| ブランド | カッシーナ(Cassina) |
| 発表年 | 1957年 |
| 素材 | フレーム:アッシュ材(トライアングル断面)、座面周囲:ブナ材、座面:インド籐または布張り |
| 重量 | 1.7kg |
| 寸法 | W 41cm × D 45cm × H 83cm(座面高:45cm) |
| 受賞歴 | コンパッソ・ドーロ プロダクト・キャリア賞(2024年) |
| 所蔵 | ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム、デンバー美術館ほか |