概要
スパニッシュチェアは、ボーエ・モーエンセンが1958年に発表したラウンジチェアである。幅の広い平らな肘掛けと、厚手の一枚革を張った座面・背もたれを組み合わせる。1958年のコペンハーゲン家具職人組合展で公開された。フレデリシアが製造している。
特徴・コンセプト
肘掛けが台を兼ねる
肘掛けは平らで幅が広い。腕を置くだけでなく、本やグラスを載せられる。椅子の脇にサイドテーブルを置く必要がなくなるため、床に置く家具が減る。
1958年の家具職人組合展では、床からテーブルをすべて取り払った「カントリーハウス」と題する住空間の展示の一部として発表された。肘掛けの寸法は、この展示が示す使い方に対応している。
革を構造材として使う
座面と背もたれは、木の枠に厚手の革を渡して構成される。詰め物とばねを入れる代わりに、革そのものの張力で身体を支える。スペインの伝統的な椅子には、頑丈な革を木の構造の一部として使う手法がある。モーエンセンはアンダルシア地方を旅した際に見た椅子から、この構成を取り入れた。
革は使ううちに伸びる。座面と背もたれの裏側には調整できるストラップがあり、緩んだぶんを締め直せる。伸びることを前提に、後から張りを戻せる仕組みが組み込まれている。
素材
フレームには柾目取りのオーク材またはアメリカンウォールナット材が用いられる。仕上げはソープ、オイル、ラッカー塗装などから選べる。革は植物なめしのサドルレザーで、座面の革には帆布の裏張りが施される。留め具には真鍮のバックルを用いる。
エピソード
モーエンセンは装飾的な彫刻を取り除き、水平と垂直の線で構成し直した。元の椅子が持っていた革と木の関係だけを残し、輪郭を整理している。既存の型を検討したうえで部材を減らすという進め方は、J39 ピープルズチェアやハンティングチェアにも見られる。
評価と影響
木と革という二つの素材だけで成り立ち、詰め物を持たない。革が伸びたら締め直し、木は仕上げを重ねながら使うという扱いになる。同じモーエンセンのモーエンセン 2213 ソファが張り込みの構成をとるのに対し、こちらは部材を組み合わせたまま見せている。
ボーエ・モーエンセンの設計思想や経歴について詳しくはボーエ・モーエンセンプロフィールページをご覧ください。
フレデリシアの歴史や他の製品について詳しくはフレデリシアブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | スパニッシュチェア / The Spanish Chair(モデル2226) |
|---|---|
| デザイナー | ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen) |
| ブランド | フレデリシア(Fredericia) |
| 発表年 | 1958年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | ラウンジチェア |
| 構造 | 木の枠に厚手の革を渡し、革の張力で身体を支える。裏側のストラップで張りを調整 |
| 主要素材 | フレーム:柾目取りオーク材またはアメリカンウォールナット材/革:植物なめしサドルレザー/金具:真鍮バックル |
| サイズ | 幅82.5cm × 奥行60cm × 高さ67cm、座面高33cm |
| 肘掛け | 幅広の平面。本やグラスを置く台を兼ねる |
| 初出 | 1958年 コペンハーゲン家具職人組合展 |
Reference
- The Spanish Chair | Fredericia
- https://www.fredericia.com/product/the-spanish-chair-2226