プリズマティック・テーブルが長く愛される理由
プリズマティック・テーブル(Prismatic Table)は、彫刻家イサム・ノグチが1957年にデザインしたサイドテーブルである。アルミニウム大手アルコア(Aluminum Company of America)のプロモーションプログラム「フォーキャスト」のために制作された。3枚の折り畳まれたアルミニウム板を接合し、六角形の天板と3本の脚を一体で形づくる。折り紙の原理を金属板に持ち込んだ構造である。
当初はプロトタイプにとどまり、約50年にわたり量産されなかった。2002年にヴィトラがイサム・ノグチ財団との協力で初めて製品化し、現在もヴィトラがドイツで生産している。2023年には、ノグチが構想していた多色の組み合わせに立ち返る3種のグレー・バリエーションが発表された。
本ページでは、プリズマティック・テーブルの購入を検討されている方に向けて、正規品の仕様・カラー・価格、類似商品との比較、暮らしへの取り入れ方、メンテナンス方法、購入方法、よくある質問まで、購入判断に必要な情報を網羅的にお伝えする。
イサム・ノグチの設計思想や経歴について詳しくはイサム・ノグチ プロフィールページをご覧ください。
プリズマティック・テーブルのデザインストーリーについて詳しくはプリズマティック・テーブル紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
現行品はヴィトラがドイツで製造している。2002年の初回製品化時はホワイトとブラックの単色2色だったが、いずれも現在は廃番。2023年に発表された3トーン・グレーの3種が、現在の標準仕様である。
| 正式名称 | プリズマティック・テーブル / Prismatic Table |
|---|---|
| デザイナー | イサム・ノグチ(Isamu Noguchi, 1904–1988) / 日系アメリカ人・彫刻家・デザイナー |
| デザイン年 | 1957年(アルコア「フォーキャスト」プログラムのため) |
| ブランド | Vitra(ヴィトラ)/ イサム・ノグチ財団との協力 |
| 初回製品化 | 2002年(ヴィトラ・デザイン・ミュージアム回顧展に連動) |
| 製造国 | ドイツ |
| 素材 | パウダーコーティング仕上げアルミニウム板 |
| 構造 | 3枚の折り畳みアルミニウム板(ピラミッド状)を接合。六角形天板+3本脚の一体構造 |
| サイズ | 高さ約37.5cm × 幅約41cm × 奥行約41cm |
| 重量 | 約3.0kg |
| カラー(現行) | ライトグレー、グレー、ダークグレー——各テーブルの3枚のパーツがそれぞれ異なるグレーの濃淡で構成される3種 |
| カラー(廃番) | ホワイト、ブラックの単色(2002年の初版仕様)。在庫限りで流通する場合がある |
| 屋外使用 | 一時的な屋外使用は可能。雨・雪・直射日光への長時間曝露は避ける。屋根付きの屋外空間での保管は可 |
| 参考価格帯(税込目安) | 日本国内は税込 ¥110,000 前後が目安。海外正規ディーラーでは概ね $1,000 前後で流通する(いずれも参考価格。販売店・時期により変動) |
| 納期 | グレー・ダークグレー:約6〜8週間。ライトグレー:約8〜10週間。在庫状況により変動 |
平面のアルミニウム板を折ってピラミッド状の立体をつくり、3つを接合する。天板と脚が切れ目なくつながるこの構造が、約3kgという軽さと安定性を同時に成り立たせている。ノグチの友人であったR・バックミンスター・フラーの幾何学研究——三角錐を基調とした構造体が自然な強度を生むという理論——の影響が指摘されている。
3トーン・グレーの各バージョンは、3枚のパーツがそれぞれ異なる濃淡で塗装されている。1台でもグラデーションが奥行きを生み、複数台を並べると六角形が敷き詰められ、濃淡がパターンを描く。ノグチが「プリズマティック」と名付けた所以であり、彼は当初から複数台での使用を想定していた。
類似商品・競合との比較
プリズマティック・テーブルは「彫刻家が設計した幾何学的なアルミニウムのサイドテーブル」という珍しい位置にある。同価格帯のデザイナーズサイドテーブルとの比較を示す。
| 比較項目 | プリズマティック・テーブル(ヴィトラ) | ノグチ・コーヒーテーブル(ヴィトラ / ハーマンミラー) | アイラーセン ペブルテーブル |
|---|---|---|---|
| デザイナー | イサム・ノグチ(1957年) | イサム・ノグチ(1944年) | エリック・ヨルゲンセン |
| 素材 | パウダーコーティング・アルミニウム板 | ガラス天板+ウォールナットまたはチェリー材の脚部 | 天然石またはラミネート天板+スチール脚 |
| 特徴 | 折り紙的構造、六角形天板、約3kg超軽量、彫刻的オブジェクト | 有機的曲線の脚部、ガラス天板の透明感、彫刻的代表作 | 有機的な石型天板、ネスティング可能 |
| サイズ | H37.5cm × W41cm × D41cm(コンパクト) | H40cm × W128cm × D93cm(大型コーヒーテーブル) | 複数サイズ展開 |
| 用途 | サイドテーブル / 彫刻的オブジェクト。複数台の組み合わせ使用を想定 | コーヒーテーブル(リビング中央配置) | コーヒーテーブル / サイドテーブル |
| 価格帯 | 約¥110,000 | 約¥300,000〜 | 約¥100,000〜 |
選び方の指針
ノグチのコーヒーテーブルが有機的な曲線とガラスでリビングの中央を占めるのに対し、プリズマティック・テーブルは軽く、置き場所を選ばない。家具というより持ち運べる彫刻に近い。この性格を求めるなら、代わりになるものは少ない。
リビングの中心に据える大型のコーヒーテーブルを求めるなら、ノグチ・コーヒーテーブルが適している。天然素材の有機的なフォルムを求めるなら、石や木を用いた北欧デザインのサイドテーブルも比較対象になる。
使用感と暮らしへの取り入れ方
軽さがもたらす自由
約3kgという重量は、片手で持ち上げて動かせる。ソファサイドからベッドサイド、書斎からテラスへ。高さ約37.5cmはソファの座面高(約40cm前後)よりやや低く、手を自然に伸ばした位置で飲み物や本に届く。六角形の天板(幅約41cm)は、コーヒーカップやグラス、文庫本を置くには十分である。
複数台の組み合わせ
2台をソファの両側に置く、3台をまとめてコーヒーテーブルの代わりにする——六角形の天板は隣接させたときにこそ効く。3種のグレーを混ぜれば濃淡のパターンが生まれ、同色で揃えれば静かな幾何学になる。
空間別のコーディネート提案
リビングルームではソファサイドに1台を配置する基本的な使い方から、複数台のクラスター配置まで幅広い展開が可能である。六角形の幾何学的フォルムが、ミッドセンチュリーモダンの家具と自然に調和する。ノグチの他の作品(AKARIシリーズの照明、コーヒーテーブル)と組み合わせれば、彼の仕事の幅がそのまま部屋に現れる。
書斎やアトリエでは、デスクの傍らに置く。必要になれば片手で退かせる。アルミニウムの素っ気ない物質感は、金属や石の彫刻作品ともよく合う。
ヴィトラによれば、屋根のある屋外空間での一時的な使用もできる。テラスやバルコニーへ持ち出し、使い終えたら屋内に戻す。ただし雨・雪・直射日光に長くさらすのは避ける。
カラー選びのポイント
ダークグレーは空間に静かな存在感を、ライトグレーは軽やかさを与える。複数台を組み合わせるとその差が際立つ。なお単色のホワイトとブラックは廃番で、入手できるのは在庫品か中古に限られる。
経年変化とメンテナンス
素材の経年変化
パウダーコーティング仕上げのアルミニウムは、耐久性と耐腐食性に優れる。日常使用で天板面に細かな擦り傷が蓄積することはあるが、木材のように反りや割れが出る素材ではない。直射日光に長くさらすと塗装面が退色するため、窓際への恒常的な設置は避けたい。
日常メンテナンス
メンテナンスは単純である。柔らかい布で乾拭きするか、固く絞った布で拭いた後に乾いた布で水分を取る。研磨剤やスコーリングパッドは塗装面を傷つけるため使わない。軽いので裏返して底面を掃除するのも容易である。3枚のパーツの接合部には埃が溜まりやすい。
修理・パーツ対応
ヴィトラはメーカー保証を提供しており、スペアパーツやケア製品も公式サイトで取り扱っている。塗装面の深い傷や剥離が生じた場合は、ヴィトラ正規販売店を通じた相談を推奨する。アルミニウム板の構造的な変形は通常使用では生じにくいが、万一の場合もヴィトラのケア&リペアプログラムで対応が可能である。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
公式サイトと正規ディーラー
ヴィトラ公式オンラインショップにて各国向けに購入可能で、日本向けの公式ストア(store.vitra.co.jp)も運営されている。海外正規ディーラーとしては、smow(ドイツ)、Connox(ドイツ)、twentytwentyone(英国)、hive modern(米国)、Two Enlighten(米国)などがある。イサム・ノグチ財団が運営するノグチ美術館ショップ(shop.noguchi.org)でも取り扱われている。
日本国内での購入
日本国内では、ヴィトラ公式オンラインストア(store.vitra.co.jp)および国内の正規販売店で購入できる。参考価格は税込¥110,000前後(販売店により変動)。実物の展示については、取扱店ごとに事前確認を推奨する。納期はカラーにより6〜10週間程度。
ヴィンテージ市場
2002年のヴィトラ復刻以降の中古品が1stDibs、Pamono等で流通する場合がある。1957年のアルコア・プログラム時のオリジナルプロトタイプは現存数がきわめて少なく、美術館級のコレクターズアイテムである。ヴィンテージ品購入時はヴィトラのラベルや製造マークの確認を推奨する。
購入時チェックリスト
- カラーの選択(現行はライトグレー / グレー / ダークグレーの3種。複数台購入の場合は組み合わせを検討)
- 購入台数の検討(1台で使うか、複数台をまとめて配置するか)
- 設置場所の確認(幅約41cm×奥行約41cmの六角形。複数台配置の場合は配置パターンのスペース確保)
- 納期の確認(グレー系6〜8週間、ライトグレー8〜10週間。在庫状況により変動)
- 正規品の確認(ヴィトラ製であることの確認。イサム・ノグチ財団との協力による正規リエディション)
- 床面との相性(軽量だが、アルミニウムの脚先が繊細な床材を傷つける可能性。フェルトパッド等の使用を検討)
コーディネート事例
ノグチ・ユニバース
AKARIシリーズの照明(和紙と竹)、ノグチ・コーヒーテーブル(ガラスとウォールナット)と並べる。アルミニウムの幾何学、有機的な曲線と透明性、光と和紙の柔らかさ。三つの異なる素材と造形言語が、同じ作者の手から出ていることが見えてくる。
3台のクラスター
ライトグレー、グレー、ダークグレーを各1台、隣接させて置く。六角形の天板が噛み合い、濃淡がパターンを描く。コーヒーテーブルとして使えるが、リビングの中央にあるのは彫刻に近い。
ミッドセンチュリー・ギャラリー
白壁の空間に、ダークグレーのプリズマティック・テーブルを1台置く。イームズのラウンジチェア&オットマン、ジョージ・ネルソンのバブルランプ、アレキサンダー・ジラードのテキスタイルなど、同時代のデザイナーの作品と組み合わせる。イームズとジラードはノグチと同じくアルコア「フォーキャスト」プログラムに招かれている。1950年代アメリカのミッドセンチュリーを軸としつつ、その中でノグチのテーブルだけが違う出自を持つ——そのずれが効くコーディネートである。
よくある質問
- 正規品の価格はどのくらいですか?
- 日本国内では税込 ¥110,000 前後が参考価格帯。海外正規ディーラーでは概ね $1,000 前後で流通している(いずれも参考価格。販売店・時期により変動)。
- どこで購入できますか?
- ヴィトラ公式オンラインストア(日本向けは store.vitra.co.jp)、日本国内のヴィトラ正規販売店。海外ではsmow、Connox、twentytwentyone、hive modern等の正規ディーラー。ノグチ美術館ショップでも取り扱いがある。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- ドイツ・ヴァイル・アム・ラインのヴィトラキャンパス、および日本国内の正規販売店。常設展示があるとは限らないため、来店前の確認を推奨する。ノグチ美術館(ニューヨーク、ロングアイランドシティ)ではノグチの作品群を鑑賞できる。
- 納期はどのくらいかかりますか?
- グレー・ダークグレーは約6〜8週間。ライトグレーは約8〜10週間。在庫状況により変動するため、販売店への事前確認を推奨する。
- メンテナンスはどのようにすればよいですか?
- 柔らかい布での乾拭き、または固く絞った布で拭いた後に乾拭き。研磨剤・スコーリングパッド不可。約3kgと軽量なため取り扱いが容易。パーツ接合部の定期的な清掃を推奨する。
- 屋外でも使用できますか?
- ヴィトラ公式によると、一時的な屋外使用は可能。雨・雪・直射日光への長時間の曝露は避ける。屋根付きの屋外空間での保管は可能。アルミニウム素材は耐腐食性に優れるが、パウダーコーティングの保護が前提である。
- 複数台の購入を検討していますが、おすすめの組み合わせは?
- 現行3種(ライトグレー+グレー+ダークグレー)を1台ずつ揃えると、濃淡のパターンが最もよく出る。2台ならグレー+ダークグレーがコントラストを生む。同一カラーで揃える構成も、静かな幾何学パターンとして成立する。
- 他に検討すべきイサム・ノグチの作品は?
- ノグチ・コーヒーテーブル(1944年、ヴィトラ / ハーマンミラー)、AKARIシリーズの照明(1951年〜、オゼキ)、サイクロンテーブル(1954年、ノル)。それぞれ当サイトの紹介ページで扱っている。