概要

マラルンガは、ヴィコ・マジストレッティが1973年にカッシーナのために設計したソファである。背もたれのヘッドレスト部分を起こして高さを変えられる。1979年にコンパッソ・ドーロを受けた。発表から半世紀を経て生産が続いている。

特徴・コンセプト

背もたれを折って高さを変える

背もたれの内部には、自転車のチェーンを応用した機構が組み込まれる。上部を起こせばハイバックに、倒せばローバックになる。座面高や奥行を変えずに背の高さだけが変わるため、同じソファで姿勢を切り替えられる。会話をする姿勢と、読書のように頭を預ける姿勢とで、必要な支えの高さが違う。

機構はカバーの内側に収まり、外からは折れ曲がる線として見える。この機構はカッシーナが特許を取得している。

スチールのフレーム

木のフレームが標準だった時代に、マジストレッティはスチールのフレームと成形したウレタンフォームを組み合わせた。金属なら断面を小さく保てるため、可動する機構を内部に収める余地が生まれる。クッションには密度の異なるポリウレタンフォームとポリエステル中綿を用いる。

展開

1人掛け、2人掛け、3人掛け、オットマンがある。2014年にはパイピングによる縁取りを施した仕様、2024年には背もたれの傾斜角を広げた仕様が加わっている。

エピソード

マジストレッティは、このソファについて、暖炉や窓辺に置かれた昔ながらの読書椅子のような場をつくることを目指したと述べている。

成立をめぐっては逸話が伝わる。カッシーナの創業者チェザーレ・カッシーナが試作品の背もたれを叩いたところ折れ曲がり、その形をマジストレッティが採用したというものである。真偽は確認できないが、可動する背もたれがこのソファの主題であることは変わらない。

マジストレッティとカッシーナの協働は、1959年のカリマテ チェアから続いている。

評価と影響

1979年にコンパッソ・ドーロを受けている。同じマジストレッティによるセレーネチェアが素材の性質から形を導いたのに対し、マラルンガは機構から形を導いている。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。収蔵されているのはアームチェアの仕様にあたる。

  • MoMA マラルンガ アームチェア(1973年) 収蔵番号 112.1976

基本情報

名称 マラルンガ / Maralunga(品番675)
デザイナー ヴィコ・マジストレッティ(Vico Magistretti)
ブランド カッシーナ(Cassina)
発表年 1973年
デザインの成立国 イタリア
分類 ソファ/アームチェア
構造 スチールフレーム、エラスティックウェビング。背もたれ内部に自転車チェーンを応用した可動機構(カッシーナ特許)
クッション CFC不使用の異密度ポリウレタンフォーム、ポリエステル中綿
ラインナップ 1人掛け、2人掛け、3人掛け、オットマン
バリエーション マラルンガ、マラルンガ40、マラルンガ40-S、マラルンガ マキシ、マラルンガ50
受賞 1979年 コンパッソ・ドーロ
収蔵 MoMA(112.1976)

Reference