概要

コノイドチェアは、ジョージ・ナカシマがペンシルベニア州ニューホープの工房で設計した木の椅子である。座面を支える脚は後ろ寄りの2本だけで、床に沿って前後にのびるそり状の足から立ち上がり、座面はそこから前へ張り出す。名称は、ナカシマが同じ敷地に建てたコノイドスタジオに由来する。現在も米国のジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズと、日本の桜製作所が製作を続けている。

特徴・コンセプト

2本の脚と張り出す座面

2本の脚は、それぞれ床を前後に這うそり状の足から垂直に立ち上がり、座面と背の笠木を支える。座面の前半はこの支柱から片持ちで張り出しており、前端の下には脚がない。4本脚の椅子のように前脚が座る人の脚の位置に来ることがなく、座面の下が空く。

スミソニアン・アメリカ美術館の解説によれば、ナカシマはこの脚を、カーペットの上でも椅子を動かせるように考えた。ウッドワーカーズもカーペット敷きの床に向く椅子として紹介している。点で接する脚は柔らかい床に沈んで引っかかるが、床に沿ってのびる足は荷重を前後に長い線で受けるため、敷物の上を滑らせやすい。

ウォールナットの本体とヒッコリーのスピンドル

脚・座面・笠木にはウォールナットを用い、背の細い棒(スピンドル)にはヒッコリーを用いる。ヒッコリーは粘りが強く、細く削っても折れにくい。背は座面から立ち上がるスピンドルを並べ、緩い弧を描く笠木で受ける構成で、板一枚の背よりも軽く、背中との接点が棒ごとに分かれる。

座面は上面を浅く削り込んで成形している。平らな板では体重が坐骨の下に集まるが、窪みに沿って接する面が広がれば当たりが和らぐ。

エピソード

名の由来となったコノイドスタジオ

コノイドスタジオは、ナカシマが自邸と工房のある敷地に1957年に着工し、1959年に完成させた建物である。円錐の一部を切り取った曲面(コノイド)を屋根に用い、ナカシマが試みた曲面シェルの建物のなかで唯一の鉄筋コンクリート造となった。南側の大きなガラス壁は、冬の日射を室内に取り込む。

椅子の名はこの建物から取られた。スミソニアン・アメリカ美術館の解説は、細いスピンドルが弧を描く横木を支える背を、スタジオの窓壁になぞらえるとともに、植民地時代のアメリカで作られたスピンドルバックの椅子を想起させるものとしている。コノイドの名は椅子のほか、テーブル、デスク、ベンチにも付けられている。

日本での製作

日本では、高松の桜製作所が1964年ごろからナカシマの指導のもとで家具の製作を始めた。1969年には、東京国立近代美術館にミングレンIIテーブルとともにコノイドチェアを納めている。

ミングレン・テーブル

一脚ごとの記録

ウッドワーカーズの家具は受注を受けて一点ずつ作られ、材の木目によって個体ごとに表情が異なる。シカゴ美術館が収蔵する1脚(収蔵番号 1988.204)には、座面の裏にペンで、納入先、座面が一枚の杢板であること、ナカシマの名と1988年4月29日の日付が書き込まれている。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(AIC=シカゴ美術館、Met=メトロポリタン美術館)。

  • AIC コノイドチェア(1988年製作) 収蔵番号 1988.204
  • Met コノイドチェア(1986〜87年製作) 収蔵番号 Inst.1987.19
  • Met コノイド ラウンジチェア(1986〜87年製作、7脚) 収蔵番号 Inst.1987.2〜Inst.1987.8

MoMA、V&A では該当する収蔵は確認できなかった。

基本情報

デザイナー ジョージ・ナカシマ(George Nakashima)
製造 ジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ、桜製作所
主要素材 ウォールナット(脚・座面・笠木)、ヒッコリー(スピンドル)
構造 2本脚、片持ちの座面
サイズ(ウッドワーカーズ) 幅20.75 × 奥行21.5インチ、座面高17インチ(約527 × 546mm、座面高約432mm)
サイズ(桜製作所) 幅535 × 奥行570 × 高さ900mm、座面高440mm
重量(桜製作所) 7.4kg
仕上げ(桜製作所) オイル仕上げ

製造元の変遷

期間 製造元 形態 地域 根拠
1964年頃〜(現在) 桜製作所 ライセンス生産(許諾元:ジョージ・ナカシマ/ナカシマ・ウッドワーカーズ) 日本 製造元の公式サイト
時期不明(現在) ジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ 製造元 米国(ニューホープの工房) 製造元の公式サイト

日本で正規に流通するのは:桜製作所

確認日:2026年10月21日 製造元・ライセンス台帳

Reference

Conoid Chair | George Nakashima Woodworkers
https://nakashimawoodworkers.com/furniture/conoid-chair/
Conoid Studio | George Nakashima Woodworkers
https://nakashimawoodworkers.com/ground/conoid-studio/
Conoid Chair | Smithsonian American Art Museum
https://americanart.si.edu/node/40379
Conoid Chair | The Art Institute of Chicago
https://www.artic.edu/artworks/111283
Conoid Chair | The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/72292
会社概要・沿革 | 桜製作所
https://www.sakurashop.co.jp/about