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ゴーストは、チニ・ボエリと片柳トムが1987年に設計しフィアム・イタリアが製造する椅子である。厚さ12mmの強化ガラス1枚を曲げて成形し、座面、背もたれ、肘掛け、脚をすべて一体でつくる。接合部を持たない。

このページでは、搬入と設置に要する条件、ガラス1枚でつくることの制約、選べる仕上げ、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

ゴーストチェアはフィアム・イタリアが唯一の製造元であり、その製造工程はフィアム社が1980年代に開発したパサー(Paser)技術——水と研磨粉を音速の3倍もの速度で噴射するウォータージェット加工——に依存している。この高度に専門化された技術と、職人の手作業による曲げガラス成形を組み合わせた製造プロセスは、事実上の模倣を不可能にしており、各製品は固有の特性を持つ一点物である。

正式名称 Ghost / ゴースト(ゴーストチェア)
製造ブランド フィアム・イタリア
製造国 イタリア
素材 厚さ12mmの強化ガラス1枚。水流で切り出し、型で曲げて成形する
仕上げ 透明度の高いもの、薄く色を付けたもの、裏面に塗装を施したものから選ぶ
寸法 幅約940 × 奥行約795 × 高さ約620mm、座面高約330mm
重量 約36kg
耐荷重 約150kg
構造 1枚のガラスから一体でつくる。接合部を持たず、座面、背もたれ、肘掛け、脚が連続する
製造工程 手作業の工程を含むため、個体によって差が生じる
納期 受注生産。納期は取扱店に確認する
参考価格帯 フィアム・イタリアは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。仕上げで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける
関連製品 小型の仕様が用意される
収蔵 MoMA ゴースト アームチェア(1987年) 収蔵番号 335.2025
環境性能 ガラスは天然素材であり、最もリサイクル性・再生可能性に優れた素材の一つ。2022年コンパッソ・ドーロにおいて持続可能性の観点でも評価
スタッキング 不可
組立 一体成形品のため組立不要

類似商品・競合との比較

透明な素材でつくる椅子は、素材によって重量と割れたときの扱いが変わる。ガラスと樹脂では、質感も手入れも異なる。

比較項目 ゴースト ルイゴースト バブルチェア
素材 強化ガラス(厚さ12mm) ポリカーボネート アクリル
重量 約36kg 軽い 製品による
構造 1枚から一体成形 一体成形 吊り下げる
付きにくい 付きやすい 付きやすい
割れたとき 補修できない 割れにくい 補修できない

選び分けの目安

表面の傷を避けたい場合
ガラスは樹脂より硬く、日常の使用で傷が付きにくい。樹脂の透明な椅子では、細かい傷が蓄積して曇る。
移動させる場合
約36kgと重い。位置を頻繁に変える用途には向かない。
破損の可能性を考える場合
強化ガラスは割れると全体が細かく砕ける。部分的な損傷にとどまらず、補修もできない。

使用感と設置条件

ガラス1枚でつくること

座面、背もたれ、肘掛け、脚が1枚のガラスから連続する。接合部を持たないため、緩みや軋みが生じない。

いっぽうで、部材の交換という考え方が成り立たない。割れた場合は本体ごとの交換になる。

手作業の工程を含むため、個体によって差が生じる。曲面の具合や透明度に個体差がある。

搬入と設置

幅約940×奥行約795×高さ約620mm、重量約36kg。分解できないため、搬入経路の開口がこの寸法を通せるかを実測する。

運搬には複数人を要する。ガラスのため、縁や角を打たないよう扱う。

床の耐荷重も確かめる。脚が床に接する範囲は狭く、荷重が集中する。

座り方

座面高約330mm。一般的な椅子より低く、上体を後ろへ傾けた姿勢になる。詰め物を持たず、ガラスの曲面が身体を受ける。

ガラスは熱を伝えやすい。室温が低い時期は座面が冷たく感じられる。クッションを載せることもできるが、固定する仕組みはない。

経年変化とメンテナンス

素材に起きること

ガラスは経年で変質しない。色が変わることも、弾力が失われることもない。

表面は硬く、日常の使用では傷が付きにくい。ただし砂粒などが挟まった状態で擦ると、細かい傷が入る。

縁と角への衝撃には弱い。強化ガラスは割れると全体が細かく砕けるため、部分的な損傷にとどまらない。

日常の手入れ

ふだん
ガラス用の洗剤で拭ける。透明のため指紋と埃が目立つ。
避けるもの
研磨剤と金属たわしは表面に傷を残す。
床との接地
脚の下に砂粒が入ると、動かした際に床とガラスの双方を傷める。設置面を清潔に保つ。

修理

1枚のガラスから一体でつくるため、割れや欠けの補修はできない。取扱店を通じて対応を確認する。

どこで買うか

取扱店の調べ方

フィアム・イタリアは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。

注文の際に決めるのは仕上げである。透明度の高いもの、薄く色を付けたもの、裏面に塗装を施したものから選ぶ。受注生産のため、納期は取扱店に確認する。

実物を確認する

ガラスの曲面が身体を受ける感触は、座ってみないと分からない。座面高約330mmという低さもあわせて確かめられるとよい。

手作業の工程を含むため、個体によって曲面の具合や透明度に差がある。

中古の流通

1987年以降の個体が流通している。相場は年式、仕上げ、状態で幅があり、一定していない。

確認箇所は、縁と角の欠け、表面の傷、脚の接地部の状態である。欠けがある場合、そこから割れが進む可能性がある。補修はできない。

購入前チェックリスト

  • 仕上げ(透明/薄く色を付けたもの/裏面に塗装)
  • 搬入経路(分解できない。幅約940mm)
  • 運搬の人手(約36kg)
  • 床の耐荷重(脚の接地範囲が狭い)
  • 座面高約330mm(一般的な椅子より低い)
  • ガラスが熱を伝えやすいこと
  • 割れの補修ができないこと
  • 中古の場合、縁と角の欠け

よくある質問

価格はどのくらいですか?
フィアム・イタリアは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。仕上げで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
どこで購入できますか?
フィアム・イタリアの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産のため納期もあわせてご確認ください。
搬入できますか?
幅約940×奥行約795×高さ約620mmで、分解できません。搬入経路の開口がこの寸法を通せるかを実測してください。重量は約36kgあり、運搬には複数人を要します。ガラスのため縁や角を打たないようご注意ください。
座り心地はどうですか?
座面高約330mmで一般的な椅子より低く、上体を後ろへ傾けた姿勢になります。詰め物を持たず、ガラスの曲面が身体を受けます。ガラスは熱を伝えやすいため、室温が低い時期は座面が冷たく感じられます。
割れませんか?
厚さ12mmの強化ガラスで、面への荷重には強くなっています。ただし縁や角への衝撃には弱く、強化ガラスは割れると全体が細かく砕けるため部分的な損傷にとどまりません。1枚から一体でつくるため補修もできません。
傷は付きやすいですか?
ガラスは樹脂より硬く、日常の使用では傷が付きにくくなっています。ただし砂粒などが挟まった状態で擦ると細かい傷が入ります。脚の下に砂粒が入ると、動かした際に床とガラスの双方を傷めます。
収蔵されている美術館はありますか?
ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(Ghost armchair、1987年、収蔵番号335.2025)。
手入れはどうすればよいですか?
ガラス用の洗剤で拭けます。透明のため指紋と埃が目立ちます。研磨剤と金属たわしは表面に傷を残すため使わないでください。設置面を清潔に保ち、脚の下に砂粒が入らないようご注意ください。