概要
チニ・ボエリ(1924-2020)は、イタリアの建築家・デザイナーである。ミラノ工科大学で建築を学び、マルコ・ザヌーソの事務所を経て1963年に独立した。座る人の姿勢を限定しない構成を家具の条件とし、1987年のゴーストは12ミリの一枚のガラスを曲げただけの椅子にあたる。建築の設計も並行して行った。
バイオグラフィー
1924年6月19日、ミラノに生まれた。ミラノ工科大学で建築を学び、1951年に修了している。
1952年から1963年まで、マルコ・ザヌーソの事務所に勤めた。同事務所では発泡ゴムを用いた家具の開発が進んでいた時期にあたる。
1963年に独立し、ミラノに自身の事務所を開いた。アルフレックス、ノル、アルテミデなどのために家具と照明を設計している。
1979年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。建築の設計も並行して行い、住宅や店舗を手がけている。2020年9月9日、96歳で没した。
デザインの思想と方法
ボエリが家具に置いた条件は、座る向きと姿勢を一つに決めないことである。背もたれと肘掛けを明確に区別すれば、座り方は定まる。この区別をなくせば、使う人が姿勢を選べるようになる。
正面を持たせない
ボボやセルペントーネのような座具は、どちらを向いて座るかが決まっていない。背もたれと肘掛けの高さが同じであるか、そもそも区別を持たない。使う人が向きを決める。
単位を連結する
セルペントーネは、発泡材の単位を連ねて長い帯とする座具である。連結の数と曲げ方で長さも形も変わる。設置する場所に応じて構成が決まり、設計者は単位の断面だけを決める。
一枚の板を曲げる
ゴーストは、12ミリ厚のガラス板を一枚曲げただけの椅子である。座面、背もたれ、肘掛けが一続きの面で、接合部を持たない。ガラスは曲げられる曲率に限界があるため、輪郭はその範囲で決まる。透明であるため、部屋の中で体積の印象を持たない。
建築と家具を並行して扱う
ミラノ工科大学で建築を学び、住宅と店舗の設計も継続した。家具では、置かれる空間との関係が条件に含まれる。
アルフレックスの歴史や他の製品について詳しくはアルフレックス ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
ボボ(1967年、アルフレックス)
発泡材による座具である。背もたれと肘掛けの区別を持たず、どちらを向いて座るかが決まっていない。使う人が向きを選ぶ。→ボボ
セルペントーネ(1971年、アルフレックス)
発泡材の単位を連ねて長い帯とする座具である。連結の数と曲げ方で長さも形も変わる。設置する場所に応じて構成が決まり、設計者は単位の断面だけを決める。→セルペントーネ
ストリップス(1972年、アルフレックス)
詰め物を布のカバーで覆い、留め具で閉じる構成の座具である。カバーを外して洗える。1979年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。→ストリップス
ゴースト(1987年、フィアム)
12ミリ厚のガラス板を一枚曲げただけの椅子である。座面、背もたれ、肘掛けが一続きの面で、接合部を持たない。ガラスの曲げられる曲率に限界があるため、輪郭はその範囲で決まる。トモ・カタヤナギとの共同設計にあたる。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号335.2025)。→ゴーストチェア
建築の設計
住宅、店舗、展示の設計を並行して行った。家具では置かれる空間との関係が条件に含まれる。
評価と影響
ボエリは一般に、20世紀後半のイタリアの家具設計において、座る姿勢を限定しない構成を追った設計者と評価されている。背もたれと肘掛けの区別をなくすという操作が、その手段にあたる。
マルコ・ザヌーソの事務所で11年間働いた経歴が前提にある。同事務所では発泡ゴムを家具の詰め物に用いる方法が確立された時期にあたり、ボエリの初期の座具もこの材料による。
ゴーストは、一枚のガラス板を曲げただけという構成で知られる。ニューヨーク近代美術館は2025年に収蔵しており、照合時点で最も新しい収蔵の一つにあたる。
受賞・収蔵
受賞
- 1979年 コンパッソ・ドーロ賞(ストリップス)
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。
- MoMA ゴースト アームチェア(1987年) 収蔵番号 335.2025
V&A、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。イタリア国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1967年 | 座具 | ボボ | Arflex |
| 1971年 | 座具 | セルペントーネ | Arflex |
| 1972年 | 座具 | ストリップス | Arflex |
| 1987年 | 椅子 | ゴーストチェア | Fiam Italia |
| 1970-80年代 | 家具 | ノルのための家具 | Knoll |
| 1970-80年代 | 照明 | アルテミデのための照明 | Artemide |
| 1960-2000年代 | 建築 | 住宅・店舗・展示の設計 | イタリア各地 |
プロフィール
| 生没年 | 1924年6月19日〜2020年9月9日 |
|---|---|
| 出身地 | イタリア・ミラノ |
| 国籍 | イタリア |
| 活動拠点 | ミラノ |
| 分野 | 家具、照明、建築 |
| 主な協働ブランド | Arflex、Knoll、Artemide、Fiam Italia |
Reference
- Cini Boeri Architetti
- https://www.ciniboeriarchitetti.com/
- Cini Boeri | Arflex
- https://www.arflex.it/en/designers/cini-boeri/
- Fiam Italia
- https://www.fiamitalia.it/en/
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325