このページについて
フェルトリは、ガエターノ・ペッシェが1987年に発表した椅子である。カッシーナが製造する。内部の枠を持たず、樹脂を含ませたフェルトのみで自立する。背もたれを折り曲げられる。
このページでは、枠を持たない構成、背もたれの扱い、素材と手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ガエターノ・ペッシェの設計思想や経歴について詳しくはガエターノ・ペッシェ プロフィールページをご覧ください。
フェルトリ・チェアのデザインストーリーについて詳しくはフェルトリ・チェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
フェルトリ・チェアの正規品はカッシーナ社(Cassina S.p.A., 1927年創業、イタリア・メーダ)が特許技術に基づきイタリアで製造する。カッシーナ研究開発センターで開発された製造プロセスは同社が特許を取得しており、厚手のウールフェルトに熱硬化性樹脂を含浸させて成形する独自の技法である。下部は樹脂含浸比率を高めて剛性と耐久性を確保し、上部は樹脂比率を低く抑えて柔軟性を保持する。成形過程でランダムな折り目が生じるため、同一仕様であっても一脚ごとに微妙に異なる表情を持つ。
| 正式名称 | フェルトリ |
|---|---|
| 製造ブランド | カッシーナ |
| 主要素材 | 厚手のフェルト。下部に樹脂を含ませて硬化させる。麻の紐で結ぶ。座面には着脱できる詰め物が載る |
| サイズ(背もたれの高い型) | 背もたれの高い型は幅1,400 × 奥行710 × 高さ1,270mm。座面の高さ445mm |
| サイズ(背もたれの低い型) | 背もたれの低い型は幅1,400 × 奥行700 × 高さ950mm |
| 重量 | 約20kg |
| 構造 | 内部の枠を持たない。フェルトと樹脂のみで自立する。背もたれは折り曲げられる。座面の詰め物は留具で着脱できる |
| 価格 | カッシーナは価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。型と色で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 色 | 本体と座面の詰め物の組み合わせから選ぶ。取り扱いは取扱店に確認する |
| 納期 | 受注生産。納期は取扱店に確認する |
| 収蔵 | MoMA フェルトリ チェア(1986年) 収蔵番号 403.1988.1-2 |
枠を持たない構成
内部の枠を持たない。厚手のフェルトのみで自立する。
下部に樹脂を含ませて硬化させる。上部は柔らかいまま残る。
そのため、下部が形を支え、上部は手で曲げられる。
麻の紐で結ぶ箇所が外から見える。結び目も意匠に関わる。
選び分けの目安
- 座り心地で選ぶ場合
- 枠を持たない。フェルトが身体に触れる。実際に座って確かめられるとよい。
- 見え方で選ぶ場合
- 紐で結ぶ箇所が外から見える。
- 取り扱いを考える場合
- 上部は柔らかい。強い力を加えない。
背もたれの扱い
背もたれの上部を折り曲げられる。翼のように広げるか、襟のように包む。
そのため、見え方と身体の包まれ方が変わる。設置後に変えられる。
2つの型がある。背もたれの高い型と低い型による。
高い型は高さ1,270mm。置き場所での見え方を確かめる。
選び分けの目安
- 座り方を考える場合
- 背もたれを折り曲げて変えられる。実物で確かめられるとよい。
- 置き場所を決める場合
- 高い型は高さ1,270mm。幅も1,400mmある。
- 用途から決める場合
- 2つの型がある。背もたれの高さで選ぶ。
素材と手入れ
厚手のフェルトによる。繊維の素材にあたる。
水分を吸う。こぼした場合は染みが残る場合がある。
日光で色が変わる。埃も繊維に入り込む。
座面の詰め物は留具で着脱できる。外して手入れできる。
選び分けの目安
- 手入れの手間を考える場合
- フェルトは水分を吸う。染みが残る場合がある。
- 置き場所を考える場合
- 日光で色が変わる。直射日光を避ける。
- 長く使う前提の場合
- 座面の詰め物は着脱できる。本体の手入れは取扱店に確認する。
同種の椅子との比較
椅子は枠の有無と素材で性格が分かれる。
| 比較項目 | フェルトリ | トーゴ | ファースト・チェア |
|---|---|---|---|
| 枠 | 持たない(フェルトのみ) | 持たない(フォームのみ) | 金属の枠による |
| 形の変更 | 背もたれを折り曲げられる | できない | 背もたれの角度を変えられる |
| 素材 | フェルトと樹脂 | フォームと張地 | 塗装した木と金属 |
| 重量 | 約20kg | 約10kg(1人掛け) | 取扱店に確認する |
| 座面の高さ | 445mm | 380mm | 取扱店に確認する |
選び分けの目安
- 形を変えたい場合
- 背もたれを折り曲げられる。固定される椅子とは異なる。
- 手入れの手間を考える場合
- フェルトは水分を吸う。張地の椅子とは条件が異なる。
- 置き場所を決める場合
- 幅1,400mm。椅子としては大きい部類にあたる。
使用感と設置条件
座り心地
フェルトが身体に触れる。座面には詰め物が載る。
背もたれの折り曲げ方によって包まれ方が変わる。
寸法
幅1,400mm。椅子としては大きい部類にあたる。
重量は約20kg。搬入経路を確かめる。
床との関係
本体の下部が床に接する。フェルトによる。
床材によっては擦れる。動かす際に確かめる。
経年変化とメンテナンス
素材に起きること
フェルトは日光で色が変わる。繊維の素材にあたる。
水分を吸う。染みが残る場合がある。
埃が繊維に入り込む。表面から払うことになる。
紐で結ぶ箇所は荷重がかかる。緩みを確かめる。
日常の手入れ
- 本体
- 埃を払う。方法を取扱店に確認する。
- こぼした場合
- すぐに拭き取る。水分を吸うため染みが残る場合がある。
- 座面の詰め物
- 外して手入れできる。留具で着脱する。
- 紐で結ぶ箇所
- 緩みを定期的に確かめる。荷重がかかる箇所にあたる。
修理と部品
本体の補修と座面の詰め物の交換については、取扱店を通じて相談する。
フェルトを樹脂で硬化させる構成にあたる。対応の可否を確かめる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
カッシーナは公式サイトで取扱店を案内している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
受注生産にあたる。型と色を決めてから製作される。納期を確かめる。
実物を確認する
フェルトの質感と背もたれの折り曲げ方は、実物で確かめられるとよい。
幅1,400mmの大きさも現物で分かる。
中古の流通
製造の時期によって色の選択肢が異なる場合がある。年式を確かめる。
確認箇所は、フェルトの色の変化と染み、紐で結ぶ箇所、座面の詰め物、床に接する箇所である。
購入前チェックリスト
- 内部の枠を持たないこと(フェルトのみで自立する)
- 背もたれを折り曲げられること
- 型の選択(背もたれの高い型/低い型)
- 置き場所(幅1,400mm)と搬入経路(約20kg)
- フェルトが水分を吸うこと(染みが残る場合がある)
- 直射日光を避けること
- 座面の詰め物は着脱できること
- 受注生産の納期
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- カッシーナは価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。型と色で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- カッシーナの公式サイトで取扱店が案内されています。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産にあたるため納期もお確かめください。
- どのような構造ですか?
- 内部の枠を持たず厚手のフェルトのみで自立します。下部に樹脂を含ませて硬化させ形を支え、上部は柔らかいまま残ります。麻の紐で結ぶ箇所が外から見えます。
- 背もたれは動きますか?
- 上部を折り曲げられます。翼のように広げるか襟のように包むかで、見え方と身体の包まれ方が変わります。設置後に変えられます。
- 設置に必要な寸法を教えてください。
- 背もたれの高い型は幅1,400×奥行710×高さ1,270mm、低い型は幅1,400×奥行700×高さ950mmです。重量約20kgのため搬入経路もお確かめください。
- 手入れで気をつけることはありますか?
- フェルトは水分を吸うため、こぼした場合はすぐに拭き取ってください。染みが残る場合があります。日光で色が変わるため直射日光も避けてください。
- 座面は外せますか?
- 座面の詰め物は留具で着脱でき、外して手入れできます。本体の手入れの方法は取扱店にご確認ください。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(フェルトリ チェア、1986年、収蔵番号403.1988.1-2)。