水辺に生える草の茎や葉を撚りながら座枠に巻き付けて編む、椅子の座面の材料。主にホタルイ属やガマ属の植物を用いる。紙で代用したものもある。

ラッシュ

ラッシュとは、水辺に生える草の茎や葉を湿らせて撚り、紐状にしながら椅子の座枠に巻き付けて編む座面の材料、またその編み方のこと。英語では rush と呼び、こうして編んだ座面を rush seat という。

解説

材料となる植物は地域によって異なる。イギリスではカヤツリグサ科ホタルイ属の Schoenoplectus lacustris が主に用いられ、海辺ではその近縁種も使われた。北アメリカではガマ属の葉が多く使われる。英語の rush は本来イグサ科の植物を指す語でもあり、畳表に用いるい草もその一つだが、椅子の座面に編まれてきたのは主にこれらの別の植物群である。

編み方は、刈り取って乾燥させた茎や葉を水で湿らせて柔らかくし、数本ずつ撚りながら座枠の四隅から中央に向かって巻き付けていく。撚って紐をつくる工程と編む工程を同時に進めるため、一脚ごとに手間がかかる。編み上がった座面は四方から中心へ向かう三角形の模様を描き、内部には詰め物を入れて厚みと張りを整える。

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、ラッシュの座面を、安価で見た目がよく座り心地のよい材料と説明している。一方で摩耗や破損に弱く、18世紀の椅子に残るラッシュはほぼ確実に後年に張り替えられたものだという。座面は消耗し、編み直すものとして扱われてきた。20世紀に入ると、紙を撚った紐が天然の草の代用品として使われるようになり、ペーパーコードへとつながっていく。

トム・ディクソンのファットチェアは、細い鋼の丸棒で組んだ骨組みに草を編んだ面を当てており、伝統的な木の座枠を離れてこの技法を用いた例である。

Reference

Chair, English, 1725-40(Victoria and Albert Museum, O119026)
https://collections.vam.ac.uk/item/O119026/chair-unknown/
Wooden chairs with rush seats: material and making process(Studia Vernacula)
https://ojs.utlib.ee/index.php/SV/article/view/21321
Chair seating(The Basketmakers' Association)
https://basketmakersassociation.org.uk/about/chair-seating/
Rush Seats for Chairs(Cornell University Cooperative Extension)
https://ecommons.cornell.edu/bitstream/handle/1813/3807/Rush%20Seats%20for%20Chairs.pdf

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