イスラーム建築で、小さな窪みのような単位を段状に積み重ね、ドームやヴォールトの下面を覆う立体装飾。鍾乳石飾りとも呼ばれる。

ムカルナス

ムカルナスとは、イスラーム建築で、小さな窪み状の単位を何段にも持ち出して積み重ね、ドームやヴォールト、出入口のアーチの下面などを覆う立体的な装飾のこと。その形から、鍾乳石飾りや蜂の巣状装飾とも呼ばれる。スペインではモカラベと呼ぶ。

解説

もともとは、四角い部屋の上に円いドームを載せるとき、四隅を埋めて移行させる入隅迫持(スクインチ)の工夫から発達したと考えられている。10世紀ごろにイラン北東部と北アフリカでほぼ同時期に現れ、11世紀以降はイスラーム世界の各地に広まった。石、煉瓦、漆喰、木など、地域によってさまざまな素材でつくられた。

ムカルナスの特徴は、構造にも装飾にもなりうる点にある。単位の組み合わせに決まった上限がないため、小さな壁龕から部屋全体の天井まで、規模を自由に変えられる。15世紀の数学者アル=カーシーは、ムカルナスを階段状の天井として定義し、その寸法の求め方を書き残している。

室内での効果は光にある。無数の小さな面が、窓から入る光をさまざまな角度で受け止めて反射させ、時間とともに陰影を変える。グラナダのアルハンブラ宮殿の二姉妹の間では、天井全体が漆喰のムカルナスで覆われ、星空のような効果を生んでいる。

小さな窪みを何段にも重ねてタイルで覆った、鍾乳石のような天井
ゴムのファーティマ・マアスーメ廟のイーワーンの天井(イラン)Amir Pashaei / CC BY-SA 4.0 — Wikimedia Commons

形式には大きく二つの系統があるとされる。北アフリカや中東で多い、下向きの三角形の持ち出しを連ねる形式と、イランで発達した、区画をつないだ段を重ねる形式である。どちらも、平面の幾何学パターンを立体へ展開したものと見ることができる。

Reference

Muqarnas: Introduction / Historical Remarks(Heidelberg University, IWR)
https://vngg.iwr.uni-heidelberg.de/Muqarnas/index.php
Muqarnas(Smart Education & Arts Inclusion, UNESCO Sicilia)
https://www.smarteducationunescosicilia.it/?p=48768

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